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ラ・カーム戦記  作者: 神名 信
19/70

第19話

三人が出ると、ラ・カームは入浴後のようでミルシャと話して三人を待っているようだった。

 「ラァ、ラナ、とチナちゃんか、おかえり」

 入浴後のラ・カームは短い白髪に軽装で、爽やかな匂いがしていた。

 三人の少女はそれぞれにドキっとしていた。

「私たちはラ・カームとシュナイゼル団長と合流するから、先生入ってね」ラァが気を遣う。

 「ありがとうございます。少し打ち合わせをしてから、ゆっくりさせて頂きます」

 「あ、それとチナちゃん、今日は一緒に寝てもいいかな?」ラナが尋ねた。

 「はい、大丈夫です、私からお父様には伝えておきます」

 「やったー」ラァとラナが言った。

 「ありがとうございます」大きなリボンを揺らしながらチナがお辞儀した。

 

 ミルシャが入浴している間、ラ・カームと三人の少女はシュナイゼルと合流して男性用客室のリビングにいた 

 「いいお風呂だったね」ラァが言う。

 「うん、よかったぁ」ラナも続けて言った。

 「団長も入ってくださいね」とラ・カーム

 「はい、ありがとうございます」シュナイゼルはいつものように淡々と言った。

 「私まで同室させていただいて、すみません」とチナが申し訳なさそうに言う。

 「友達でしょ、気を使わないで」ラァが気を遣う。

 「え、友達??そんな、とんでもないですよ、私はそういう身分ではありません」チナが驚いたように言った。

 「友達だよ、僕らには先生はいても友達はいなかったし、よかったら僕も友達になってほしいな」ラ・カームもそう言った。

 「チナちゃん素直だし、私も友達だと思っているよ」とラナ

 「ありがとうございます。私はみなさんのことを尊敬しています」

 「みなさんは、私と同じ年なのにもう二系統の魔術のマスターなんですよね。魔術院でいつも話題になっています」

 「私もラナもマスターなのは水だけだよ、他の系統はまだ勉強中、ラ・カームはまだ雷のマジシャン止まりなんだから」ラァが説明した。

 「雷の術式はリザ・グラウンドが難しいんだよ、あれを当てられるようにならないとマスターになれなくて」

確かに、雷を使う術式は上空にあるマナからエネルギーを得るものであるため、地上にいる敵をピンポイントで攻撃するのは相当難しかった。

 「でも、私と同じ年でそこまでいけるなんてすごいです。私は基本のエンチャントすらまだできなくて、テイマーにすらなれるか分からないですよ」とチナが話す。

 「焦らないで、私たちは生まれつきそういったものがあったみたいだから、アドバイスするの難しいけど、世界に満ちているマナの流れをロッドに集めるイメージをきちんと持てば、自然と身に着くと思うよ」ラァが言った。

 「はい、ありがとうございます」

 「チナちゃんなら大丈夫だよ」ラナも励ました。

 「ありがとうございます」

 コンコン、ドアがノックされた。

 「どうぞ。」シュナイゼルが告げる。

 「お夜食をお持ちしました」

 「おなかすいてたんだー」ラァがはしゃいだ。

 

 テーブルにはケーキ類や果物、柑橘系の飲料などが豪華に乗せられた。

 「美味しそうだね」ラナ

 「うん、チナちゃんも食べてね」ラ・カームもそう言った。

 「はい、ありがとうございます」

「このチーズケーキめちゃくちゃ美味しい!」ラァがチーズケーキをほおばりながら言った。

 「ほんと?食べてみるね」とラ・カーム

 「食べさせてあげようか?」ラァが少し意地悪く言った。

 「ばか、自分で食べるよ」ラ・カームは言いながら照れていた。

 「ラ・カーム照れているよ」とラナ

 「からかうなよ、もう、チナちゃんもいるんだから」

 「わたしは、気にしないでください」

 「あ、チナちゃんも食べなよ、ほんとに美味しいんだから」ラァが勧めた。

 「はい、遠慮なく頂きます」

 「チナちゃんは王都に来たことはあるの?」ラ・カームが尋ねる。

 「いえ、わたしはここみたいな田舎しかわからなくて、まだ王都には行ったことがないんですよ」

 「だったら、一度お誘いしたいな、僕たちも休暇はあまりないからいつになるか分からないけど、王都には五十万人も住んでいて、マーケットにしてもチナちゃんが気に入るものがきっとあると思うよ」

 「もったいないお言葉です、もしお誘いいただければ喜んでお伺いいたします」

 「うん、お気に入りのお店があるんだ、チナちゃん連れていきたいよ、あそこのお店とかチナちゃんに合いそうな服おいているよね、ラナ」

 「うん、あそこなら多分いいと思う。王都でもすごい人気あるんだよね」ラナも相槌を

打った。


 話しているとミルシャが入ってきた。

 入浴後なのだろう、金髪が少し水分を持っていたが、それがいつにも増してミルシャを綺麗に見せていた。

 「先生、おかえりー」ラァが言った。

 「盛り上がっていますね」

 「先生、大人の色気がすごいよー」とラァ

 「大人をからかうものじゃありません」

 「でも、ラ・カームなんかかなり惚れ直しているみたいよ」ラァが言った。

 「ば・ばか、つまらないこと言うなよ」

 「ラ・カームはえっちだから」ラナもからかう。

 「ラナまで言わないの」ラ・カームは顔が真っ赤になっていた。。

 「でも、そろそろ就寝ですからね、ラァ様、ラナ様、チナさんお部屋に戻ってください」

 「えー」とラァ

 「また明日があります、明日は湖ですからね」ミルシャが説得する。

 「ですよね」ラナ

 「海かー、じゃあ戻るとするかな」ラァが言った。

 「ラ・カームもシュナイゼル団長もゆっくりしてね」ラナも二人に声をかける。

 「楽しかったです。ありがとうございました」チナが丁寧にお辞儀した。

 「じゃあ、部屋に戻るけど、ラ・カームのぞきとかしたらだめだからね」とラァがなおも茶化す。

 「しないよ!」


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