第18話
浴室にはラァとラナ二人だけで入ることになった。
「先生も入ればいいのにねー」ラァが言う。
「そうだよね、でもミルシャ先生はいつも護衛してくれているから」
「うん・・・」
二人は裸になって浴室に入った。
「ラァ様、ラナ様」女の子の声がした。
「ん?」
「先ほど挨拶をしたチナです、よろしければ湯あみのお手伝いなどをさせていただこうと」
「チナさんか、大丈夫だよ、お風呂くらい自分たちで入るから」ラァが言う。
「しかし、申し付けられていますので」
「いいから、チナさんも一緒に入ろう」ラナも言う。
「え?ですが」
「よーし、チナさんも裸にしちゃおう」ラァが襲い掛かる。
「え、ちょっと待ってください」
「一緒にはいろ」ラナも一緒になってチナを脱がしていた。
「あ、はい、すみません、ご一緒させて頂きます」チナも観念したようだ。
チナは薄い赤色の髪に大きな黒い瞳の女の子だ。
いつもは大きな水色のリボンをつけていてそれがお気に入りのようであった。
身長もラァやラナとそんなに変わらない。
ラァやラナは長い髪を器用に洗っていた。
「お二人ともきれいな髪ですよね」チナが言う。
「そう?ありがとう」ラァが答える。
「チナちゃんの髪の毛もきれいだよ」ラナもそう言った。
「いえ、わたしは髪の色あんまり好きじゃないんですよ。金髪でもないし」
「ミルシャ先生みたいな金髪もきれいだけど、チナちゃんはその色が似合っているよ」ラァもフォローした。
「ありがとうございます」
「チナさんは魔術院っていうことは、王都に通っているの?」ラナが聞く。
「いえ、わたしはここから二時間ほど北へ向かったところにある分校なんですよ」
「魔術院にはそんなところもあるのね」とラァ
「チナちゃんは好きな人とかいるの?」ラナが聞いた。
「いえ、私にはそんな人は・・・」
「もう、ラナはそういう話ずばっと聞きすぎ」
「だって気になるじゃん」
「今日も馬車のなかでミルシャ先生たち困らせていたでしょ」
「え、もしかして、あのお二方付き合っているんですか?」チナが聞いた。
「気になるよね」とラナ
「それが分からないのよ、ミルシャ先生は元カレがキリスオーにいるらしいんだけどね、シュナイゼル団長も彼女とかたくさんいそうだし」とラァ
「団長は噂があるだけで、ほんとかわからないよ」ラナがちょっと反論する。
「団長は毎晩私たちの警護で遊んでいる時間もなさそうだものね」ラァも同調した。
「シュナイゼル団長もですけど、殿下はかっこいいですよね」とチナ
「そういえばラァさっき、ラ・カームにだっこされていたよね」
「え・・・いや、別にわたしがしてとかいったわけじゃなくて、でも、なんていうか、ちょっとどきっとした」
「わかっているよーだ」
「こういうのばれちゃうの三つ子だと困っちゃうよね・・・」ラァが顔を赤くして言った。
「私一人っ子なので、兄弟とか憧れます」
「そうなんだ、チナちゃん、今日は一緒に寝ようよ」ラァが提案した。
「うん、そうしよう、ミルシャ先生もいいって言ってくれるよ」
「いや、自室がありますし、怒られちゃいますよ」
「大丈夫だよ、お父様には伝えておくから」
「ミルシャ様がご了承くだされば」
「そうだよ、チナちゃんも一緒に寝よう」ラナも同意していた。




