第14話
七月三十日の未明
「ラ・カーム起きて!」ラァは元気よく起こした。
「まだ五時だよ・・・」
「今日は海よ、海」
「だから湖だよ」
「細かいことにこだわっていたら、いい国王になれないわよ」
「まあ、いいけど、あと二時間したら起こして」
「ちょっと、寝ないでよ!」
「ラナのほうにいってくれ」
「もう・・・」
ラァはしぶしぶ自室に戻った。
ラナは熟睡しているのが分かっていたのでラァはまたベッドに戻った。
「ラァ時間過ぎているよ」
「え?」
「なんで起こしてくれなかったの?」
「起こしたけど、あと五分とか言っていたよ」
「それでもきちんと起こしてよ、ラ・カーム」
「えっと・・ラァすごく眠そうだったし」とラナ
「とりあえず、はやく正門のところへ行こう、先生たちが待っているよ」
三人は大きなバッグを背負って正門のところまできた。
「みんな、そろいましたね」ミルシャが話した。
「今日から五泊六日で合宿になります。引率はわたしとシュナイゼル団長が行います」
「馬車で行くことになりますが着くのは今日の夜になります」
「途中休憩もはさみますが、あまり遠くにはいかないでください」
「ラァ、言われているよ」
「うるさいわね」
「それでは、乗ってください」
三人にとっては王宮の外で宿泊することは初めてであったし、このように長距離の移動も初めてであった。
馬車は、王室専用のものではなく、魔術院のものを借りることにした。
王室専用のものを使用すると目立つし、三人の髪の色だけでもただでさえ目立つのに、イグニクェトゥアと戦争状態にある中であまり目立つ行動はしたくなかった。
馬車の車内は向かいあった形になっていて、進行方向にラァ、ラ・カーム、ラナが座り、それと対面する形で皇太子たちを見るようにシュナイゼルとミルシャが座っていた。
「王都がだんだん遠くなるね」ラ・カームが後ろを振り返りながら話した。
「わーほんとだ、学校とか全然見えなくなった」とラァ
「クアナ湖は王都と南部海岸の中間あたりなんですよね?」ラナが確認するように尋ねた。
「はい、そのとおりです、ラナ様」シュナイゼルが答えた。
「今回の宿泊先には王室の特別保養宿舎が選ばれています。宿舎には十名のスタッフの他殿下たちと同じ年ごろの女の子もいますので、気軽に話しかけてあげてください」ミルシャがざっと説明した。
「はーい」三人は元気よく答えた。
二時間走ったところで、旅館の前で一時休憩となった。
「休憩といたします。トイレなどすませてちょっと体も動かしてください」ミルシャが三人に告げた。。
「うーーーん」ラァが大きく伸びをする。
「ちょっと疲れたねー」とラ・カーム
「・・トイレいってくるね」ラナはそのまま旅館の中に入っていった。
道中の休憩所や要所には、既に近衛団が平服で配置されていた。
普段とは見慣れない風景にラァとラ・カームは楽しそうに周りを見渡していた。
「すごーい、大きな木があるね」ラァが言う。
「ちょっと見ていて」ラ・カームがラァに告げたと同時に、。
「ッ」
ラ・カームが、少し気合を入れると、跳んだ。
木のこぶに一回足を引っ掛けて跳ねると、大きな木の枝のところまで到達していた。
「わ、ラ・カームいつの間にそんなことができるようになったの?」
「見ていたらできるかなって、思って」
「これ食べれらるんじゃないかな?」木になっている果実を取ってかじった。
「美味しい」
「ラァとラナの分も落とすよ、受け取って」
木の上からラァに向けて落とす。
ラァは器用に受け取りながら上を見ていた。




