第10話
それぞれの授業が終わって、三人がまたそろった。
三人とも言葉を交わさなくても、お互いがどれくらい大変な授業を受けたかわかっていた。
「寝よう・・・」ラ・カームがようやく声を出した。
三人はそれぞれ個室が設けられており別室で寝ているが、その日はリビングで三人が重なるように寝ていた。
食事についてもミルシャが作るようになっていたが、リビングで倒れている三人をみつけると、そのまま一人ずつ寝室まで運びベッドに寝かしつけた。
・・・寝顔はまだまだ子どもね、皇子様たちには私の全てを捧げます。幸せになってください。
ミルシャはそう祈った。
夜中、というよりはもう日が昇る直前、ラ・カームは空腹で目が覚めた。
・・・あれ?ラァとラナは、あ、そうかミルシャ先生か。
ベッドから起きながらラ・カームはそう悟った。
リビングに向かうとミルシャが椅子に座って眠っていた。
テーブルの上には、ミルシャ手作りのサンドイッチが置かれていた。
「ありがとう、先生」
そう言いながらラ・カームはサンドイッチを三人分持ち帰った。
「ラァ、起きてる?」
「起きてるよ、ラナももう起きてると思う」三人は遠く離れていてもお互いの状態がなんとなく分かる。
「リビングで食べると先生を起こしちゃうかもしれないから、ラナの部屋で食べよう。」
「ラナ、起きてる?」
「ん・・おなかすいたぁ」
「そう思ってサンドイッチもってきたよ」
「ありがとう・・・わたしトマト苦手・・食べて」
「えと・・わたしも苦手なのよね・・ラ・カームぅ・・・」ラァもこういうときだけは甘えた声を出す。
「もう、先生がいたら怒られるぞ」
そう言いながらも、ラ・カームは三人分のトマトの入ったサンドイッチをほおばっていた。
『ラ・カームありがとう』ラァとラナは同時にそう言った。