第72話「ボーナス」
連続投稿2日目です。
いよいよ新章突入です!……といっても前章の続きですがw
エルダーほにゃららオンラインの誘惑を退けつつ書いて行きますのでよろしくお願いします。
あ、馬だけでもやっとかないと(謎)
いよいよ年の瀬も近づいてきた。
メリッサに特別な年末年始の行事があるのか聞いてみたが、休暇ぐらいで特にイベントはないという。
なるほど、そういう事ならいい考えがあるぞ。
「メリッサ、ピカールとレイナ、あとミレアも呼んでくれないか」
「かしこまりました」
「お呼びでしょうか?」
「おおピカール、それにレイナもミレアもよく来た。年の瀬が近づいてきたな」
「そうですね、今年は何か特に色々あったような気がいたします」
そりゃそうだ、主君であるカルロの中身が入れ替わったんだからな。
みんなにとってもそうだろうけど、僕にとってもこの数カ月は怒涛の日々だった。
ただのダメリーマンが自分で書いたファンタジー小説の悪役になるとか。
どんな転職だよ。
「うむ、今年も皆よく働いてくれた。そこでボーナスを出そうと思う」
「ぼーなす? なんでしょうかそれは?」
「ああ、臨時の賞与のことだ。それと、ゆっくりと故郷で過ごす為の休暇を与える」
「お気づかい、有り難うございます。しかし賞与はともかく、皆が一度に休暇を頂いてしまいますとカルロ様のお世話をする者がいなくなります。休暇は交代で取らせて頂きますので」
それは困る。
それでは僕のアイデアが台無しだ、なんとかしなきゃ。
「そう言ってくれるのは嬉しいが、それでは俺の気が済まん。俺は皆に故郷でゆっくりと過ごして欲しいんだ。レイナ、お前も久しぶりに両親の元へ帰りたいだろ?」
「カルロさま、有り難うございます! 長い間両親の顔を見ていませんし、臨時でお給金を頂けたらお土産も買えるのできっと喜ぶと思います!」
レイナは素直ないい子だな。
これで腐ってなければ言うことないんだが。
「メリッサにもいつも迷惑をかけてばかりいるからな。今年の年末は故郷でゆっくりしてくれ」
「そんな……暖かいお言葉を有り難うございます。でもわたしにはカルロさまのお世話という役目がありますので、お言葉だけで結構です」
メリッサは目に涙を浮かべながらもはっきり断ってきた。
素直に休暇を取らせるのはなかなか難しそうだ、どうしようか。
「メリッサ様、カルロさまのお世話でしたら私にお任せいただけませんか。私には帰るべき家もございませんし、カルロさまにもメリッサ様にもご恩がございます。是非ここは私にお任せください」
ミレアさんがメリッサに向かって熱っぽく語りかける。
そうか、ミレアさんには帰る所はないんだったな。
でも残るのがミレアさんだけなら何とかなるだろう。
お母さんとして娘のルチアちゃんの世話もしなきゃいけないだろうし。
「メリッサ、せっかくの申し出だ。ミレアの言うとおりにするといい。俺もこの年末年始は公務は忘れてダラダラ過ごすつもりだから、ミレアだけで世話は充分だ」
「まあカルロさま、いけませんよ。私がいないからって羽目を外されるおつもりなのでしょ?」
よし、メリッサが笑ったぞ。
これなら何とかなりそうだ。
「という訳だ、ピカール。この年末年始は特に公務をするつもりもない。何か特別な事態でも起こればすぐにお前の所に使いをやるから、安心して家族と過ごすといい」
「わかりました。そうまでおっしゃって頂けるのであれば、私もお休みを頂きます。たまには妻と息子の顔も見てやらなければいけませんし」
やった、上手く行った……じゃなくて、えぇぇ?!
ピカールって奥さんと息子がいたの?!
作者なのに全然知らなかった。
結婚したときは髪が生えてたんだろうか、それともハゲ好き……気になる。
しかし作者が知らない設定が色々あるなあ。
まあいい、これで舞台は整った。
「ではカルロさま、お言葉に甘えて休暇を取らせて頂きます。お体にはお気を付け下さいますよう」
「分かってるさ、メリッサ。無茶はしないから安心しろ」
「そうだとよいのですけれど。ミレア、しっかりお世話を頼みましたよ」
「かしこまりました。お任せください」
「マーカス将軍と近衛騎士団にも休暇を取るよう伝えましたが、本当に良かったのですか?」
「大丈夫だピカール。すぐ近所にはFもいるしな。何かあったらすぐ連絡するから安心しろ」
「かしこまりました。なにぶん心配性でして」
そう言ってピカールは光る頭を深々と下げた。
きっとその頭は心因性のストレスが大きな原因だな。
言うと胃を壊すといけないから言わないでおくけど。
「ではレイナもしっかり親孝行して来いよ」
「有り難うございます、お体にはお気を付け下さいね!」
レイナ、その鞄から覗いている薄い本は一体なんだ?
新作とかじゃないよね……怖いから聞かないけど。
「では行ってまいります」
こうして皆は屋敷を出て行った。
「皆さん行ってしまわれましたね」
「そうだな。でも良かったのか? ルチアをどこかに連れて行ってあげたりしなくて」
「いえ、あの子は学校で出来たお友達と遊ぶ方が楽しみのようですので」
応接のソファに座った僕にミレアさんは微笑んだ。
さて、ここからが本題だ。
「ミレア、ちょっといいか。頼みがあるんだが」
「はい、何でしょうか?」
「実はな、俺はこれから当分の間ここを留守にしようと思う。それでだな、その、なんだ……」
「そのことをメリッサ様やピカール様に内密にするように、という事でしょうか」
ミレアはニッコリ笑って図星をついてきた。
な、なんでバレてる?
「あ、いや、まあ平たく言えばそういう事なんだが」
「ウフフ、そんな事ではないかと思っておりました。お二人がいらっしゃるとカルロさまも羽を伸ばしにくくていらっしゃいますものね」
「いいのか?」
「もちろんです。私は娘ともども、カルロさまに命を助けていただいた上に、働き場所や学ぶ機会を与えて頂きました。どれだけ返しても返しきれない恩がございます。どんなことであってもご命令には従います」
やばい、ちょっとジーンときた。
そこまで感謝してくれてたのか。
悪役としてはどうかとも思うけど、正直嬉しいな。
「それに、カルロさまは立派な大人でいらっしゃいますのに、メリッサ様は少々過保護でいらっしゃいますよね。是非この機会に存分に羽を伸ばしてくださいませ」
そう言ってミレアさんは悪戯っぽくウインクしてきた。
やばい、これが大人の女の余裕ってやつか。
さすがは未亡人、分かってるなあ。
「すまない、感謝する。その分賞与は弾むからな、期待していてくれ」
「まあ、ぼーなすですわね、有り難うございます。それでルチアに何か買ってやりますわ」
こうして僕は自由な時間を手に入れた。
他の人の小説いろいろ読んでると、改めて面白いなあと。
刺激を受けたので、今までより120%(当社比)面白くなるように頑張ります!
エルダーうにゃうにゃオンラインも面白いなあ。




