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作者が転生?!~りっぱな悪役になってやる!  作者: 梅田遼介
「軍事演習」編
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第68話「軍事演習Ⅵ」

「では、参ります。全員、突撃!」


 ルーノスの言葉と共に青旗の軍勢が突撃を開始した。

 各部隊を指揮する騎士のもと、歩兵たちが突撃するとともに弓兵たちが前進しながら矢をつがえ、放つ。

 



「来たぞ、斜線陣を取れ!」


 それに対してカルロはナルスに言われていた通り右手の丘の側の部隊を前に、左手の林側の部隊を後ろという斜めの陣形を取るように命じた。

 訓練を受けた歩兵たちは長い槍を構え、上を盾で守りながらすぐさま斜線陣の形になる。


「弓隊、矢をつがえろ! 十分に引きつけてから撃てよ!」


 弓兵たちはいっせいに矢をつがえ、何時でも打てる体勢で指示を待っている。


「よし、撃て!」


 僕の号令と共に、100人の弓隊が放つ矢が至近距離まで近づいてきた相手の上に一斉に降り注いだ。

 この一度の斉射である程度の兵に塗料をつけて脱落させることが出来たようだ。

 悔しがる相手の声が聞こえてくる。

 それに対しこちらはじっと待ち構えているおかげで、届く矢のほとんどは防げたようで歩兵たちの被害は軽微だ。




「ひるむな、正面から当たらず横に回って攻撃しろ!」


 ルーノスの言葉に青旗側の兵たちは赤旗の長槍の側面に回って攻撃しようとしているが、こちらが斜線陣を引いているために逆に後ろの隊の長槍に横から突かれる形になってしまう。

 5メートルの長槍の効果は絶大で次々と相手の歩兵、更には騎兵にまで赤い塗料を付けていく。


「くっ、このままでは……!」


 ルーノスが味方の苦戦に渋い表情を浮かべたその時、林側から迂回していた部隊が突撃してきた。


『うおおぉぉぉ!』


『来たぞ、転回して防げええ!』


 青旗の奇襲部隊は勢いよく斜線陣の一番後ろの部隊目掛けて突撃していくが、まだ交戦していなかった赤旗の槍兵たちは待ち構えていたかのように見事な動きで方向を変え、それに対応する。

 さらにその後ろにいた弓兵たちが突撃してくる青旗の部隊に対し矢を放ってその数を減らした。


「奇襲も失敗か、この上は」


 ルーノスは味方部隊に対し大声で叫んだ。


「全軍本陣まで撤退せよ! 本陣にてマーカス将軍の指示を仰げ! 退却!」


 そう叫んだあと、指揮をするカルロの方を見て呟いた。


「さて、せっかくの機会です。もう少しお付き合いいただきますよ」






 うん、これは上手く行った。

 ナルスの策がこれほど当たるとは、やるなあ。

 奇襲作戦にはちょっと驚いたけど、斜行陣を引いていたおかげで兵たちは落ち着いて対処してくれてる。

 この分なら問題なく勝てそう……なんて気軽に考えていた時期が僕にもありました。


「全軍本陣まで撤退せよ! 本陣にてマーカス将軍の指示を仰げ! 退却!」


 ルーノスが叫ぶのを聞いて「こりゃ勝ったな」と思ったその瞬間、その当人が突っ込んでくるじゃありませんか!


 え? え?

 なんで逃げないの?

 

 戸惑っているうちにルーノスが真っ直ぐ目の前にやってきて、


「カルロさま、一騎打ちを所望します!」


 なんて言ってくる。


「ちょ、ちょっと待て、ここはそういう場所じゃないだろう」


「互いの将が一騎打ちをするのは別におかしくないと思いますがね」


 そう言いながら木剣と盾を手に打ちかかってきた。

 問答無用かよっ!





 剣技大会でのFとの試合を見て、ルーノスの腕前は嫌というほど分かってる。

 誘拐犯の一味の仮面の傭兵、暁としてルーノスとやり合った時はほんの2、3合打ち合っただけだった。

 もともと茶番だったしすぐ魔法使って逃げ出したけど、十分その強さは肌で感じた。

 さすが「元」とはいえバルハムント最強と言われた騎士、強敵なのは当然だ。

 しかも女の子にモテるイケメンだから戦いたくないって言うのに!


 勝っても別に嬉しくないしファンの女の子には恨まれそうだし、かといって負けたら腹立つし。

 だからやりたくないと言っても、この感じじゃとても許してくれそうもない。

 なんでこいつはこんなに僕とやりたがってるんだ?!


「どうしました? 総大将が討ち取られてはまずいんじゃないですか?」


 おっと、そんなことを考えながら危なく斬られる(といっても塗料が付くだけだけど)所だった。

 ルーノスの言葉で我に返った。


「なんでそんなに一生懸命なんだ? これは所詮演習だろう」


「だからですよ。せっかくの遊び、これで終わるのはもったいないじゃないですか。大会の決勝を見ていつかお相手願いたいとずっと思っていたんですよっ!」


 そう言いながら鋭く斬りかかってくる木剣を受け止めながら説得を試みる。


「まあそれはまたいつか、という事でどうだ? ここは素直に引いてくれないか?」


 ただでさえ早いルーノスの剣が、木剣のおかげでますます速くなって防ぐのがやっとだ。

 こっちはオリハルコンの剣も使えないし魔法も使ったら暁のことがバレそうだし、勘弁してよ。


「この速さを話をしながら捌くとは、やはりカルロさまは只者ではありませんね」


 そう言ってニヤリと笑いながらルーノスめ、調子に乗ってますます攻めてくる。

 誰か手助けを、と思っても周りにいるのは歩兵と弓兵ばかり。 

 みんな初めて間近で見る騎士同士の一騎打ちに、相手の軍を追うのも忘れて見ている始末。

 残念すぎる。


 たしかに全体としては勝っても総大将が討たれたら画竜点睛を欠く、ってかカッコ悪いな。

 むしろもしかしたら実質的に負けたことになるとか?

 うーん僕、思いもよらない形で絶体絶命――


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