第61話「石の迷宮V」
昨日はPV数が急増していて驚きました。
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「キトラの推理は当たっているような気がするな。だとすれば突っ込んでみるのも悪くない」
僕がそう言うと、三日月が大きくうなずいた。
「そうだな、ごちゃごちゃ言ってても始まらねえ!」
「でも外れた時のことも考えて進まなきゃ危なくないですか?」
クノップはやはり冷静だな。
「もちろんそうだ。だから、しょっぱないきなりぶちかまして、それで様子を見る」
僕は作戦を説明した。
「やり方は単純だ。俺と三日月が先頭に巣に近づく。だが中には突っ込まず、外に引っ張り出す。もし奴らの中に上位種がいるならそこで出てくるだろう。そいつが出てくるにせよ出てこないにせよ、その後ろを目掛けてクノップに火球を炸裂させてもらう。酸素を加えてデカいのを思い切り、な」
「なるほど、引っ張り出したところを背後からドカーンか、いいねえ」
それを聞いた三日月がニタニタ笑っている。
この作戦がお気に召したみたいだな。
「相当数はいるみたいでしたし、その方が楽でいいですね。アタイはスリングで石を投げてやりますよ」
「じゃあわたしは残った奴らに弱体化の魔法を掛けるわ。ゴブリンには特別よく効くから」
これで大まかな作戦は決定した。
僕らは部屋を出て、さっきの曲がり角までやってきた。
「三日月、柵に近づきすぎるなよ。クノップの魔法に巻き込まれるからな」
「お嬢ちゃんの魔法の威力は良く知ってる。オレはそんな命知らずじゃねえよ」
「じゃあ出るぞ、準備はいいな?」
まずは僕と三日月で武器を手に飛び出した。
そのまま柵の方へ走っていく。
その姿を見つけた衛兵らしきゴブリンが耳障りな叫び声を上げて、武器を持って走ってくる。
「この辺りでいいだろう」
僕たちは柵から適当な距離を取ったところで足を止め、ゴブリン達を迎え撃つ。
衛兵に続いて柵の中からゴブリン達が飛び出して来る。
ワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラ
「おい、これどんな数だよ!」
三日月が叫ぶ。
キトラの予想通り、上位種のモンスターはいなさそうだがゴブリンの数が半端ない。
あっという間に40匹、いやもっとそれ以上の数のゴブリンが襲いかかってくる。
この分じゃあまだまだ出てきそうな勢いだ。
これはちょっとまずいか――
シュルシュルシュル、ダガアアアアアアアン!
そう思った瞬間、頭の上を越えて火の玉が飛んで行ったかと思うと、柵の内側で炸裂した。
どでかい爆発音とともに大勢のゴブリン達が吹っ飛ぶ。
これじゃまるで特撮のヒーローもの、いやこの規模だと戦争映画だな。
「いまだ、行くぞ三日月」
それに驚いて後ろを振り返ったゴブリン達に僕らが斬りかかる。
更にそこへ黒い煙がゴブリンを包み込む。
煙に触れたゴブリン達はガクッと動きが遅くなった。
闇魔法の威力、すげえ。
僕たちがアレに触れないようにしないと。
フラフラになったゴブリン達を片っ端から斬り捨てる。
僕が両手で大剣を思い切り振るうと、その一撃で2、3匹のゴブリンが一度に吹っ飛ぶ。
そこへピックが放つ石弾が飛んできて別のゴブリンにヒットして倒す。
三日月も両手の武器で舞うようにゴブリン達を屠っていく。
こっちに向かってきたゴブリンをあらかた退治し、余裕の出来た僕は横目でその揺れる双丘を楽しむ。
ダンジョンの中だからはっきり見えないけど、それがまた色っぽかったり。
「はあ、はあ、こっちはこんなもんかな?」
数が多かっただけに三日月は肩で息をしている。
そのたびに豊かな双丘も自然に揺れる。
まさに神秘だなあ。
コイツって性格はアレだけどお肌はスベスベで、まるでどこかの裏生徒会の副会(略)。
「よし、じゃあ中に踏み込んでみるか」
僕らは吹っ飛んだ柵の残骸を乗り越え、ゴブリンの巣の内部へと足を踏み入れた。
クノップの特大火球の炸裂で、辺りは惨憺たる有様だ。
あれはもう兵器だな。
バルバロイや保守派貴族との戦争になったら手伝ってもらえるように後で頼んでおこう。
そう考えると「カルロ=暁」だってクノップに伝えたのは正解だったな。
「特に金目のものは残ってなさそうだな」
三日月が心底残念そうに言う。
「あったわ、これよ!」
キトラは熱心に残骸をあちこち覗きまわっていたが、嬉しそうに声を上げた。
手には何やら黒っぽい珠を持っている。
「なんだ、それ。売れるのか?」
君はホントそればっかりだな。
「これはね、魔力を中継する珠よ。これを使って誰かがゴブリンに魔力を与えていたのね」
「それを探してどうするんですか?」
クノップの質問にキトラはニッコリ笑って答えた。
「いまはそれはナイショ。でもイイコトよ」
結局それ以外には大して収穫はなくゴブリンの巣の探索は終了した。
「さあ、これからどうしますか? この奥には強いのがいる可能性が高いんですよね?」
ピックの言葉でみんな考え込む。
「どんな敵がいるのか分からない以上、慎重に行くに越したことはないと思いますが」
クノップはやはりここでも冷静だ。
「まあまあ稼げたしな、探索の方もここまでやりゃそこそこの金になるだろう。ここで戻るのも手だな」
「三日月、珍しいな。お前ならもっと奥まで行って稼ごうと言うかと思ったが」
僕が突っ込むと、ちょっと照れくさそうに三日月が返した。
「へへ、今まで欲張りすぎて何度も痛い目にあってるからな」
「はは、そうか。キトラはどうだ?」
「わたしは正直この奥に興味があるし、いい使い魔も見つかってないから奥に行きたい気持ちはあるわ。けどいくつか骨も見つかったし、この珠も見つかったからひとまず戻ってもいいわよ。ただ条件として、またこの奥に行く時は必ずわたしを連れて行くこと。いいわね?」
まあ上に先輩たちもいるし、あんまり待たせるのもアレだな。
それに今までの相手より強いのと戦うなら、頼りになるFも連れてきたいところだ。
そういう事でとりあえず今回はここまでにしておくか。
「よし、じゃあ今回はここまでにして戻るとするか」
かなり複雑な迷宮だが、マッピングしておいたおかげでスムーズに戻れた。
途中、生き残ったゴブリンの残党と時々出会ったが問題なく退治した。
「着きました、ここですね」
上を見上げると落りてきた穴が開いて、そこから先輩たちが覗き込んでいた。
「お頭、姉御、おかえりなさい!」
「いまロープを投げますんで」
僕たちは先輩たちの投げてくれたロープを使って上った。
先に僕とピックが上がり、4人でクノップとキトラを引き上げる。
「見た目によらず意外と重いんだな」
「何言ってるのよ、あなた達に力がないだけよ!」
僕がキトラをからかうと、むきになって反論してくる。
闇の司祭もこういう所は可愛いな。
人骨収集の趣味はぜんぜん可愛くないけど。
最後に残った三日月が上がってきて、全員が揃った。
「待たせたな」
「いえ、下はどうでした?」
入り口に戻りながら三日月やピックが下での出来事を話す。
「いやあ、さすがのオレもあのゴブリンどもの数を見た時にはちょっと焦ったぜ」
「ですよね、でもその後のドカーーーン!」
「そうそう、あんな威力のファイヤーボールなんて有りえねえよな」
「そうですよ、あんなの反則です。凄すぎますよ、クノップさん!」
「そんな、それほどの事じゃ……」
三日月とピックに持ち上げられて猫耳娘のクノップが照れている。
耳がフニャンとなってるところが可愛い。
でもあの威力は確かに反則だけど。
「いやあ見たかったっすよ、それ!」
「そうですね、俺も見てみたかったです」
なんか先輩たちがいたら爆発に巻き込まれてそうな感じがするのは、気のせいかな?
こうしてダンジョンの初めての探索は終了した。




