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作者が転生?!~りっぱな悪役になってやる!  作者: 梅田遼介
「迷宮探索」前編
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第58話「石の迷宮Ⅱ」

ちょっと遅くなりました。

 大群を魔法で全滅させてみると、部屋の真ん中には何人かの冒険者らしい白骨や武器が転がっていた。

 可哀想に、この部屋で大ムカデたちに襲われて綺麗に骨になるまで食べられてしまったようだ。


「あら残念ね。せっかくいい感じで骨が揃ってるのにこれだけ焼かれちゃ使えないわ。骨って焼かれるともろくなるのよねえ」


 残った骨を見た闇の美少女司祭のキトラがこっちを横目で見てくる。

 せっかく退治したのにそんな責めるみたいな目で見なくても。


「あーあ、全部燃えちまってるなあ。何か金目になるものもあっただろうに、もったいねえ。武器も防具もこれだけ焦げてちゃ売れねえだろうなあ」


 仮面の女傭兵三日月も、燃えた後のものをシミターでつついてため息をついてる。

 あーもう、お前ら何なんだよ!

 せっかく勝ったんだからもうちょっと喜べよな!

 ほら見ろ、猫耳の魔法使いクノップが申し訳なさそうにしてるじゃないか。


 しかし勝っても経験値が入るとか、モンスターが魔石を落とすかないのね。

 これもここがゲームの世界じゃなくて僕が作った小説の世界だからなんだろう。

 こういう事ならモンスターに勝つたびになんかメリットがある設定にしとけばよかった。

 仕方ない、次からは勝つ事だけじゃなく『勝ち方』にもこだわってみようか。

 それも余裕があれば、だけど。


 部屋はここで突き当りみたいだ。

 壁をホビットの女盗賊ピックがいろいろ調べてみたけど何もない。

 仕方ないからさっきの四つ角に戻って右折することにした。

 右手を壁に付けっぱなし作戦継続中だ。



 今度の道は左右に折れ曲がって続いている。

 途中、道の壁のところどころに扉や空きっぱなしの部屋の入り口があった。

 とりあえず入ってみると、最初の部屋には大ネズミが2匹。


 ネズミといっても巨大なドブネズミ、大きさでいえば大型犬並だ。

 前歯もその分大きいし、なんか目が血走っていて気味悪い。

 やたらと攻撃的でいきなり襲いかかってきたけど、ピックと三日月が落ち着いて仕留めた。

 特に噛まれたりもしてないようで良かった。

 これってなんかの病原菌持ってそうだからねえ。

 特にこれという収穫は無し。

 


 次の部屋は何もなくからっぽで、その次の部屋にはお約束のアレがいた。

 そう、スライムだ。

 部屋の奥で半透明のゼリー状の物体がブヨブヨとうごめいている。

 大きさはタテヨコ高さ1メートルほどで色は黄色っぽい。

 僕は初めて見たスライムに結構感動していたんだけど、ほとんどのみんなは無反応。

 こっちに近づいてくるけど動きは遅いし、特に価値のある物も落とさないからシカトに限るそうだ。

 ベース先輩だけが「なんかぷよぷよしてる、触ってみてぇ!」とか騒いでるけどガン無視されてる。

 僕はちょっとその気持ちわかりますよ、先輩。


 ちなみにスライムは刃物の攻撃のダメージを吸収し、その色によって様々な魔法にも耐性を持つらしい。

 だから面倒くさがってみんな相手にしないんだな。

 ただし例外もある。

 それが全身金属光沢を放つ「メタリック・スライム」だ。

 その種類にはシルバーゴールド、中には七色に輝く虹色レインボーまでいる。

 それぞれ色に合わせて銀や金といった貴重な金属を落とすので冒険者から人気だが、動きが素早いので攻撃を当てるのが難しく、しかもすぐ逃げてしまう。

 ……この辺は僕が書いた小説の設定通り。

 なんか聞いたことあるみたいな設定だけど、これはあくまでパクリではなくリスペクトですよ!

 ちなみに虹色のスライムが落とすのが、カルロぼくや勇者の愛用する剣の素材であるオリハルコンだ。

 道理で値段が高い訳だよな。


 結局スライムは放っておいて先に進む。

 

「ちょっと待ってください」


 先頭を行くピックが突然声を上げて止まった。

 はいつくばって道の先の床を丁寧に調べていく。

 石畳の床をコンコンと叩いて行くと、突然その先の床がガラガラと崩れ落ちた。

 床がかなりの規模で完全に抜けて、向こうへ進めなくなった。

 かなり大がかりな罠だな。


「うわーあぶねえ。お前よく気付いたな」

 

 三日月が感心したように言う。

 

「へへ、これがアタイの仕事ですからね」


 褒められたピックは得意げだ。

 すると後ろから先輩たちも前に出てきた。


「そうですよ、俺達にとってはこれぐらい朝飯前です」


「そうだそうだ、俺たちはこういうの慣れてますからね、一目で見破れますって」

 

 悪いけど先輩たちに先頭で道案内を任せようとは思わないな。

 罠なんか絶対見落としそうな気がするし。

 あんたたちに自分の命を掛ける気にはなれないよ。


 それにしても不思議なのは床が抜けていなかったことだ。

 あの罠に今まで誰も引っかかってない、ってことか?

 もし引っかかった奴がいるなら、あそこは床が抜けた状態になってなきゃおかしい。


「あの罠が発動してなかった、ってことは俺たちより前にあそこに行った奴がいないってことか?」


 僕の質問にちょっと首を傾げてキトラが答えた。


「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないわね」


「それって誰かが引っ掛かった罠を、別の誰かがもう一度仕掛け直したってことですか?」


 キトラのあいまいな答えに、クノップが聞き直す。


「やっぱりあなたは理解力があるわね。そういう可能性もある、って事よ。じゃあ戻りましょ」


 それだけ言ってキトラはスタスタと戻り始めた。

 みんな慌てて後を追う。

 また四つ角に戻ってきた。

 さらに右に曲がって、残った道を行く。


 この道をしばらく行くと、周りの壁や床、天井が石から土に変わる。

 ゴツゴツした岩肌がむき出しになっている。

 これまでの人工的な感じが消えて、いかにも自然にできた洞穴っていう感じだ。


「なるほど、やっぱりここはもともとあった自然の洞穴を利用して作ったのね。で、他は全部作り替えたのにここだけそのままってことは……」


 キトラがアゴに手を当てながら少しうつむいて考え込む。

 みんなそれを黙って見ている。

 邪魔すると何を言われるか分からないからな。


 それにしてもここは殺風景だな。

 周りを見ても土だけ。

 わずかに動くのは地面を走る小さい蜘蛛ぐらいだ。


「なんとなく分かった気がするわ」


 考え込んでいたキトラが顔を上げた。


「聞いてもいいか?」


 僕が聞いてもキトラは左右に首を振った。


「単なる推測にすぎないし、進めば自然に分かることよ。行きましょ」


「なんだよ、教えてくれよぉ。気味悪いだろうがよぉ」


 三日月が頼んでもキトラは表情一つ変えずに無視している。

 この美少女は見た目以上に気が強いなあ。

 そのキトラの澄ました様子にみんな却って緊張して、ゆっくりと進んでいく。


「な、何か聞こえねえか?」


 三日月が小声で囁く。


 カサコソカサコソ……


 みんなが息を潜めて耳を澄ますと、確かに暗闇の先から微かな音が聞こえる。

 明らかに「何か」が動いている音だ。


「この音なんですか、姉御」


「そんなんオレが知る訳ないだろうが!」


「二人とも静かにしてくださいよ、気付かれる!」


 ヒソヒソ声で言い争いながら忍び足で進んでいく。

 これ絶対気付かれてる気がするけど。


 しばらく進むと洞窟は急に広くなった。

 天井も高くなっている。


 カサコソ……


 さっきより音は明らかに大きくなった。

 暗闇で見えないが、奥の方から聞こえてくるようだ。


「おい、お前ら、奥に行って見て来いよ」


「また姉御はそう言う! 教会でも俺たちに行かせたじゃないすか!」


「そうだそうだ、そりゃあ酷すぎるってもんだぜ、姉御。お頭もそう思うでしょ?」


 この期に及んでこいつらまだ揉めてるよ。

 頼むから話をこっちに振るな。


「仕方ない、みんなで揃って行ってみるか」


 クノップとキトラ、ピックを後ろにして、僕と三日月を挟んで先輩たちが両端で進む。

 近づくうちに、さっきまでしていた音がピタリとやんだ。

 音がしないことが逆に緊張感を高める。

 さすがにみんな無言で、ソロソロと進んでいく。

 すると突然叫び声が上がった。


「わあっ!」


 この声はドラムか、どうした?

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