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作者が転生?!~りっぱな悪役になってやる!  作者: 梅田遼介
「迷宮探索」前編
52/81

第50話「愛人騒動」

今日から新章に入ります。

今日はちょっと短めです。


※名前を間違えていたのを修正しました。

ご指摘ありがとうございます!

「メリッサ、今日は晩飯はいらん。外で食べてくるからな」


「まあ、久しぶりに帰っていらっしゃったのにもうお出かけですか?! せっかく腕によりをかけて――」


「悪い、それは明日の朝にでも食べるから置いておいてくれ」


 メリッサのお小言を背中に聞きながら僕は屋敷を出た。 



 途中人目のつかない場所で覆面をして、隠れ家に向かう。

 屋敷の外でドッヂとすれ違ったが、小声で「しっかり送り届けておきましただ」と言ってた。

 でも正直、エルサは隠れ家にいないんじゃないかと思う。


 ああいう話になったけど、あの時初めて会った訳だし。

 改めて冷静に考えれば後悔していても不思議はない。

 僕との間に借用書があるわけでもないから、ここで逃げ出せばエルサは自由の身だ。

 だいたい愛人なんて普通じゃないよな。


 だから僕はもしエルサが居なくても、ガッカリしたり怒ったりするのだけはやめようと思った。

 それはあまりに男として情けない気がするから。

 もしそうなっていても笑って済ませるぐらいの度量がほしい。

 それでこそ人気の悪役カルロ、ってもんじゃないだろうか。


 そんなことを考えて、ドキドキしながら僕は隠れ家についた。

 ドアをノックしようか考えたけど、自分の家だしもし中にフラウが居なかったらカッコ悪すぎるから、家主のばあさんにもらっていたスペアキーの1本で鍵を開けて中に入った。


 ガチャ


 ドアを開けるとそこには――エルサが立っていた。

 逃げずに僕を待っててくれたんだ。

 僕は感激して抱きしめようと近づいた。


「エル――」


「きゃああああああああ!」


「なんだ、どうしたっ?!」


 エルサが絶叫すると、奥の部屋から三日月が飛び出してきた。

 何でお前がここにいるんだ?


「へ、変な格好をした人が急に入ってきて!」


 エルサは急いで三日月の後ろに隠れた。 

 あ、覆面してたの忘れてた。


「お前、変な人って、暁じゃねえか! お前は暁の愛人だって言ってたろ?」


「え?」


 エルサは三日月の言葉にきょとんとしている。

 この子、ひょっとして……天然かな?


「いや、驚かせてすまん、俺だ」


 僕は覆面を外した。


「カルロさまっ」


 エルサは急にうれしそうな表情になった。

 よかった、僕に会えて喜んでくれてるみたいだ。


「どういうことだよ、暁の旦那。ちゃんと説明してくれよ」


 三日月がキツい口調で聞いてくる。

 っていうかだから何でお前がここにいるんだ?




 とりあえず居間に座ってお茶を飲みながら話をすることにした。

 うん、エルサの入れてくれるお茶も悪くないな。

 もうちょっと濃い目に入れたほうが好みだけど。


「最近暁の旦那の顔が見えねえから、ここにいるかとさっき訪ねてきたらこの女がいてさ」


 三日月が僕に話し出す。

 仮面の奥の目がどう見ても冷ややかだ。


「で、お前は誰だって聞いたら『暁さまの愛人です』とか言うんだよ」


 うーん、そのすぐ人に愛人です、っていうのは直した方がいいね。

 なんかイメージ悪いから。

 

「だって、わたし、本当にカルロさま……ではなくて暁さまの愛人なんです。ね、そうですよね、カルロさま?」


 えっと、だいぶカルロと暁がごっちゃになってるね。

 まあそれも仕方ないことだとは思うんだけど。


「エルサ、これからはいつでも俺の事は『暁』と呼ぶようにしてくれ」


「あ、すいません、その……暁さま」


 さあ、三日月に話をしようか。


「このエルサが言っていることは本当だ。この子はこれからここに居てもらうことになった」


「へーえ『この子』ねえ。つい最近冒険者デビューしてここを借りたと思ったら、さっそく愛人を囲うなんてさすがは『暁さま』だ」


 なんでこいつはそんなに怒ってるんだ?


「そういや『女には不自由してない』とか言ってたなあ。そうか。そういうことか」


「そういうことでもないんだが色々あってな。まあ仲良くしてやってくれ」


 だいたいなんで僕がこんなにドキドキしなきゃいけないんだ?

 僕は三日月とは一緒に仕事をして2つの球体を時々眺めているだけの仲だぞ?

 その眺めるのだって散々お金をむしり取られてるんだから当然の権利のはずだ。

 それに、そもそも僕はエルサにまだキスしかしてない。

 完全に無実(どうてい)の身なのに怒られるなんて理不尽だ。




「それはそうと、三日月は何か俺に用があったのか?」


「ふん、まあいいだろう。そうだよ、ギルドに久々に迷宮探索の依頼が入ったっていうから誘いに来たんだ」


 何とかうまく話題を変えられたか。

 こういう訳が分からない理由で怒るところが、僕が女の人が苦手な理由の一つなんだ。


「迷宮か、それは面白そうだな」


「だろ? そういうと思ってせっかく誘いに来たっていうのにこんな……」


「じゃ、じゃあさっそくギルドに行ってみなきゃな。三日月、すまんが先に行っておいてくれ。俺も後からすぐ行くから」


 僕は何とか三日月を追い出してエルサと二人きりになった。


「よく来てくれたな」


「カル……暁さま、こんなにいいお家に住まわせてもらっていいんですか?」


「ああ。自由に使ってくれていい。あと俺は普段この仮面をつけているからな」


 僕は部屋から仮面を取ってきてつけて見せた。


「まあ、なんかちょっと恐ろしいような。でもよくお似合いです」


「そうか。俺はなかなかここに来れないから寂しいだろう、自由に外を出歩いて構わないからな」


 僕は金貨を3枚取り出してエルサに渡した。


「とりあえずこれで生活してくれ。余ったらもちろん仕送りに使っていい。足りなかったら言うんだぞ?」


「まあ、こんなにたくさん。ありがとうございます。足りないなんてとんでもないです」


「でも俺の買い物も頼んだりするかもしれないし、とにかくちゃんと言ってくれ」


 そして僕は立ち上がってエルサに近づいた。


「ひょっとしたら、エルサはもうここから出て行ってるんじゃないかと思ってた」


「どうしてですか? ちゃんとお約束しましたのに」


「いや、一度しか会ってなかったから。本当にありがとう」


「お礼を言うのはこちらです。良くしてくださって有難うございます」


「改めて聞くけど、本当に俺でいいのか?」


 僕の質問に、エルサは恥ずかしそうに下を向いて小さな声で答えてくれた。


「……もちろんです。だって、あの、とってもカッコ良くて一目ぼれだったんです。それに、私の初めての口づけの相手ですし」


 僕はたまらなくなってエルサを抱きしめた。

 しまった仮面を外すの忘れてた……これじゃ仮面が当たってキスできない。

 残念!

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