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作者が転生?!~りっぱな悪役になってやる!  作者: 梅田遼介
「王都リュアン」編
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第48話「秘密」

ヤバい、完全にストックが切れました。

明日は落とすかも知れません(涙目)

頑張りますので元気玉(ブックマーク&評価)下さい(笑)

「あの、ゴホン、そちらの方を紹介して頂いてもいいですだか?」


「きゃあっ!」

 

 キスをした瞬間声を掛けられて、エルサは悲鳴を上げて僕にしがみついた。

 人生で2回目のキスをしていた僕も腰を抜かすほど驚いた。


「やあ、待たせたな、ドッヂ」


「カルロ様、オラのこと忘れてお楽しみだったですだね?」


「ま、まさか、そんな訳ないだろう」


 ……やばい、完全に忘れてた。

 ドッヂがジト目でこっちを見てくる。

 こっち見んな。


「エルサ、これはドッヂだ。俺に仕えてくれてる。力が強くて勇敢で、実に頼りになる男だ」


 忘れていたことを誤魔化すために持ち上げてみるけどあまり効果はなさそうだ。

 あの気のいい、忠誠心の高いドッヂが疑わしげに僕を横目で見てる。


「ドッヂ、この娘はエルサという。これからバルハムントに連れて帰るからな」


「初めましてドッヂさま、エルサです。カルロさまの愛人になりましたのでよろしくお願いします」


 そうそう、今日から愛人になった……っておい!

 エルサ、なにを堂々と宣言してるんだ?!


「あ、あ、愛人って……どういう意味だか?」


 今度はドッヂがビックリして目を白黒させている。

 いや、意味っていってもその、そのままの意味だけど。


 でもここで気付いた。

 エルサをもし屋敷に連れて帰ったらピカールやメリッサに何と言われるか。

 想像しただけでも恐ろしい。

 勢いで愛人なんか作っちゃったけど、後のことを考えてなかった。

 大体まだチェリーどうていなのに。


 うーん、どう考えてもエルサを連れて帰るのはまずい。

 というかリュアンでの屋敷でルーノスやナルスに会わせるのだって同じことだよな。

 そんなことしたら絶対ピカール辺りにバラされる。


 どうしていいのか分からなくてモジモジしているエルサと、僕の愛人だと聞いてうろたえているドッヂを見ながら考える。

 やっぱりここは隠れ家に連れて帰るしかないな。

 でもその為にはエルサに暁の話をしておかなきゃいけないし、エルサをどうやって隠れ家まで連れて行くかも問題だ。


 あー、どうすりゃいいんだ!

 さっきまで頭の中がピンク色で幸せだったのに、現実に戻ると問題だらけだよ。

 だんだん面倒くさくなってきた。

 もう、行き当たりばったりでいいや!


「エルサ、ドッヂ、聞いてくれ」


「はい、カルロさま」


「なんですだか?」


 僕は二人にいっぺんに説明することにした。


「エルサをバルハムントに連れて帰るわけだが、俺の屋敷に連れて行くわけにはいかん」


「そりゃそうですだ、メリッサ様に知られたら怒られますだ」


 悪役のカルロがメイドに怒られるとか。

 でもやっぱりドッヂもそう思う訳ね。


「あの、ではわたしはどこに行けばいいのでしょうか……」


 エルサはすでに不安そうだ。


「実はな、俺はバルハムントに隠れ家を持っている」


「え、隠れ家! そりゃあなんだかカッコいいですだね」


「エルサにはそこに行ってもらおうと思う」


「わたしは置いて頂けるならどこでも大丈夫です」


「そこは俺が秘密の仕事をするための拠点だ。これはメリッサもピカールも、他の誰も知らない秘密だ。ドッヂ、秘密は守れるな?」


「も、もちろんですだ。死んでも秘密は洩らしませんだ」


 誰も知らない秘密を教えられたドッヂの顔は真剣だ。

 隠れ家の事は三日月は知ってるけどドッヂとは面識がないからな。

 それを見て思わず笑いそうになるのをこらえて、僕は真顔で話を続けた。


「ドッヂなら信用できるから話すんだ。そこでは俺は仮面を着けて『あかつき』と名乗ってる」


「仮面……! ますますカッコいいですだ」


「なにせ秘密の仕事だからな。でドッヂ、お前に頼みがある」


「なんですだか?」


「このエルサをこっそりその隠れ家へ送り届けて欲しい」


「うん、分かりました。間違いなく送りますだ」


「うん、ドッヂなら出来ると分かってる。道中もしっかり護ってやってくれよ」


「任せておいてください!」


 特別な任務を頼まれてドッヂは張り切ってる。

 すっかり鼻息が荒い。


「エルサ、今夜はもう遅い。一晩どこかに泊まって明日出発するといい。この辺りに宿屋はないか?」


「はい、ここから少し行ったところに小さな宿があります」


 僕とドッジはエルサをその宿まで送り届けた。

 途中でエルサにも僕のことを「暁」と呼ぶように言っておいた。

 上手い具合に部屋に空きがあったので一部屋取ってお金を払い、エルサを置いて宿を出た。


「ドッヂ、明日の朝早くこっそり屋敷を抜け出してエルサを迎えに来てやってくれ」


「……分かりました。ルーノス様にもナルス様にも他の騎士さまたちにもバレないように気を付けますだ」


 まだ屋敷についていないと言うのにドッヂはすでにヒソヒソ声だ。

 まあそれだけ気合いが入っておるという事だからいいか。


 屋敷に着くとまだルーノスもナルスも戻っていなかった。

 僕はドッヂを自分の部屋に入れ、隠れ家の地図と鍵と、いくらかの費用を渡した。


「では頼んだぞ、ドッヂ」


「……お任せくださいだ」


 なぜかドッヂは忍び足で部屋を出て行った。

 怪しすぎるぞ。




 翌朝起きると、ドッヂの姿はすでになかった。


「カルロ様、見張りを頼んだドッヂの姿がないのですがご存じありませんか?」


「ああ、ちょっと用事を思い出してバルハムントに先に戻ってもらったんだ」


 ルーノスが不思議そうに聞いてくるから適当に答えておいた。


「ナルス、ヴァルス内務大臣との話はどうなった?」


「無事まとまりました。まず軍備に関しては王室の許可なく拡充することを黙認してくれるそうです。独自の関税を取ることも問題ないと確認しました。あとバルハムントと王都の間の街道の舗装も特別に許可されました」


 よし、王都とバルハムントの間の街道の舗装の許可が出たことは大きいな。

 他国が攻め込んできて王都に向かう場合や、貴族が反乱を起こして王都に攻め込むことを想定して、主要な街道は舗装を許されていない。

 そのことが物流の大きな妨げになっているし、何かあった時に王都に軍を送る時間が掛かる原因だった。

 これを舗装すれば保守派の貴族が不穏な動きを見せた時にすぐ対応できるし、将来僕がクーデターを起こす時にも都合がいいからぜひやっておきたかった。


「シャーロット王女の件はどうだ?」


「はい、婚約自体はカルロ様の功績によって判断するとなっていますが、それを前提に他の王女殿下の婚約話は全て中断、もしくは取りやめにするとのことです」


 これで知らない間にシャロンが他の誰かと婚約する事はなくなった。

 あとは僕が保守派貴族との戦いで功績を上げればいいわけだ。


「良くやってくれた。これでかなり自由に動けることになりそうだな」


「そうですね、後は出来るだけ早く軍備を整えていつでも動けるようにしておかないと」


 

 王室ともつながりを持ってシャロンとの婚約への糸口も出来たし、アルマンディー公たちに反感を持つ貴族(ただし爺さんたち)とも知り合えた。

 最大の目的だったDDT作戦は失敗し、代わりになぜか愛人が出来るというハプニングはあったけど大体の目的は達成できたから、そろそろバルハムントへ戻ろうかな。


「では明日の朝バルハムントへ戻るとするか」


「そうですね、あまり長居するとここのご婦人方に恨まれそうですし」


 ルーノスも情報収集のために女性に近づいたものの、あまり深入りすると後が大変だろう。


「では私は今日のうちにヴァルス大臣と正式な文書をかわしてきます」


「頼む。俺も一応王城へ上がろう」


 僕はナルスと一緒に城へ向かった。

 出来たら最後にフラウディアに会いたかったからだ。


 エルサとあんな風になっていながらフラウの事が気になるなんて、僕も結構悪い男だな。

 まあいまだにチェリーなんだけど。


 王城に入って一応ヴァルス大臣やドルズ将軍に挨拶をした。

 カマキリ野郎ことマクベル伯爵がいないか探してみたけど見つからなかった。

 あいつ、僕の暗殺に失敗して隠れてるに違いない。

 

 結構あちこち歩き回ってみたけどフラウも見つからないし、王城の中の廊下を歩きながらそろそろ諦めようかと思っていた時にばったりフラウに出会った。

 

「カルロさま!」


「フラウ、あの後大丈夫だったか?」


「はい、カルロさまもご無事で何よりです」


「うん、明日の朝リュアンを立つことになった」


「それでお城に来られたのですか?」


「ああ、フラウに会えるかもしれないと思ってね」


「……まあ」


 フラウは恥ずかしそうにうつむいてしまった。

 頬が赤く染まっているのが可愛すぎる。


「しばらく会えないけど、出来るだけ早くまた来るから元気でいてくれよ」


「カルロさまもお体を気を付けてください。ご武運を祈っております」


 この子はだいたいの事情が分かっているからな。


「ああ、頑張るさ」


 シャロンとの婚約が出来ればフラウと会える機会も増えるだろう。

 本当は抱きしめたかったけど見つかると大変なので、そっと頬に軽く触れて別れた。

 いつまでも見送ってくれているのが背中で分かる。


 さあ、バルハムントに戻って頑張ろう。

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