第44話「DDT作戦Ⅱ」
今日も何とか間に合いました。
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ありがとうございます!
これからも頑張ります。
華やかな表通りから一本裏へ入っただけで、雰囲気がガラッと変わった。
両側にある店の窓にはどれもカーテンがかかっている。
入口の扉は開け放たれ、ピンク色の明りがこぼれているけど。
その光で店の入口に立つ人のシルエットが浮かび上がる。
露出度満点の服を着た肌もあらわな女の人たちだ。
「ねえそこの立派な旦那、アタシと遊ばないかい?」
「それよりアタイとイイ事しようよ~。天国に連れて行ってあげるよ」
そばを通るとセクシーなお姉さんたちが次々と声をかけてくる。
一緒にいるドッヂは目を白黒させている。
「カ、カルロ様、このおなごたちは何でこんなにハレンチなカッコしてるだか? それに天国って……?」
正直僕だってドキドキしてるけど、それを表に出すわけにはいかない。
目的の店は決まってるから寄り道するわけにはいかないしな。
「ドッヂ、こういうところは初めてか?」
「は、はい。さすがカルロ様は慣れていらっしゃるだね」
ドッヂが尊敬のまなざしで僕を見てくる。
ふふん、この様子じゃドッヂは絶対チェリーだな。
今はまだ僕もそうだけど。
でももうすぐDDTするからな。
目的の店はこの一番奥のはずだ。
しばらく歩くとひときわ立派な建物の前に出た。
ほかの店とは違い扉は閉ざされ、「女神たちの館」という看板がかかっている。
間違いない、ここだ。
「すまんがここで待っていてくれ」
僕はドッヂに声をかけた。
ドッヂは立派な建物を見上げて度肝を抜かれたようだ。
「は、はい、ここでお待ちしていますだ」
すーっ、ふうー。
僕はドッヂに気づかれないように深呼吸して、扉を開けた。
通りで見た他のいかがわしい雰囲気の店と違い、明るい光で照らされた高級感のある作りになっている。
目の前には真っ赤なフカフカのじゅうたんが敷かれた大階段に巨大なシャンデリアが吊られている。
「いらっしゃいませ。ご予約はなさっておられますか?」
てっきり色っぽいお姉さんが迎えてくれると思ったんだけれど、黒い礼服を着てネクタイを締めたシブい感じのおじさんが深々とお辞儀をして迎えてくれた。
「いや、予約はしていないが」
「かしこまりました。過去に当店のご利用はございますか?」
「初めてだ」
「そうですか、ご来店ありがとうございます。当店はこのリュアンで最高の女性たちを取りそろえた店でございます。お客様、本日はどのような女神をお求めでしょうか?」
さあ、ここからが肝心だ。
「そうだな、最高の女たちを5人ほど選んでほしい」
「は? 5人でございますか?」
「そうだ。5人同時に相手にしてもらおうか。金は気にせず最高の女を取りそろえてくれ」
「こ、こちらの部屋でしょ、少々お待ちくださいませ。責任者を呼んでまいりますので」
黒服のおじさんは急に焦って僕を大階段の横の小部屋に案内してくれた。
こじんまりとはしているが調度品も豪華な部屋だ。
特別なお客を待たせるための部屋なのだろうか。
僕がソファに座ってしばらく待っていると扉をノックする音が聞こえ、人が入ってきた。
さっきの黒服のおじさんに続いて入ってきたのは紫のドレスを着た大柄な女性だ。
年齢でいえば30代後半から40代前半くらいか、年で言えばおばさんだが昔はかなり美人だったんだろう、っていうか今でもじゅうぶん美人ではある。
ドレスの胸元からは豊かな谷間がのぞいている。
確かに経験豊富でリードしてくれそうな感じだけど、正直もうちょっと若い人の方が……。
でも最初はこれぐらいの人の方がいいのかな、でもやっぱりなあ。
そんな感じで一瞬のうちに僕の頭の中がグルグル回っているとその女性がお辞儀をして話し出した。
「いらっしゃいませ。わたしがこの女神たちの館の主人、ドロアでございます」
あ、ここの主人だったのか。
てっきり相手してくれる人かと思って焦った。
「本日は最高の女を5人というお話だとか?」
「そうだ。5人まとめて相手してもらいたい」
「恐れ入りますがわたくし共は高級店でございます。5人同時となりますとかなりのお値段になりますが」
「かまわん。金ならある」
僕はそう言って、小袋から白金貨5枚を出してテーブルに置いて見せた。
こんなことをしたらボラれるかもしれないが、一生に一度の事だ。
ケチケチする気は最初からない。
「まあ、白金貨。それも5枚も……」
ドロアと名乗った女性はしばらく思案していたが、妖艶に僕に微笑んだ。
「遊び慣れておいでですのね。それで一人ではもう満足できない、と」
「あ、ああ、まあそんなところだ」
……見栄を張ってしまった。
「なるほど、さすがはメリチ辺境伯さまですわ」
?!
「なぜ俺の名前を知っている?」
ひょっとして僕が転生する前に来たことがあるとか?!
そりゃあまずいぞ、馴染みの娘なんかがいたら……。
カルロは百戦練磨だったかもしれないけど、僕は今夜が初陣の新兵だ。
馴染みの娘が相手じゃ絶対バレる。
どうしよう、ドキドキ……。
「このドロア、伊達に長く夜の世界で生きてませんよ。その金髪に頬の傷、さらにこれだけのお金を一晩の遊びに出そうという方はそうはいません。ちょうど今、メリチ辺境伯さまがこのリュアンに来られているという情報は入ってますからすぐ分かりました」
ドロアは得意げに微笑んでいる。
良かった、カルロを知っている訳ではなかったのか。
それにしても僕が落馬して怪我したのはつい最近だぞ。
この人、凄い情報収集能力と分析力だな。
「参ったな、人に知られず遊ばせて貰おうと思ったんだが」
思わず苦笑すると、ドロアも笑った。
「辺境伯さまご安心下さい、こういう仕事ですから秘密は守ります」
「カルロでいい。そうして貰えると助かるな」
「ではカルロさま、申し訳ありませんがご要望にお応えすることが出来ません」
「なぜだ、金が足りないのか?」
「まさか、そうではありません。それが、明日は休日ですので」
明日は休日だったっけ、それがどうしたんだ?
「このような店は休日の前の晩が一番忙しいのです。しかも私どもでは働いている娘は一晩に一人のお客様しかお相手致しません。これはお客様から高い料金を頂く代わりに、心行くまでゆっくりお遊び頂こうと言う考えからでございます。残念ながら本日は、カルロさまにお勧めできるほどの娘はみなお客様についてしまっておりまして」
ガーン。
そ、そんなあ。
せっかく勇気を振り絞ってDDT作戦を決行したのに。
「それでは最高の女でなく、それなりでもいい。5人でなく3人でもいい。何とかならないか?」
「カルロさまほどのお方に自信のない娘をおつけする訳には参りません。でも自信を持ってお勧めできる娘は一人残らず接客中でして……」
「そ、そこを何とかならないか?」
僕、必死だな。
でも今夜を逃すと当分チャンスがない気がするし。
ドロアはしばらく考え込んでいたが、何か思いついたらしく悪戯っぽい瞳をして話しかけてきた。
「カルロさま、ご希望とは違いますが別の形で遊んでみませんか?」
「相手をしてもらえるならぜひ頼みたいが、別の形とは?」
「カルロさまほどの方だからこそお願いできることです。遊び慣れた方には堪らないと思いますが」
全然遊び慣れてないですけど。
遊びどころか本気も全く未経験ですけど。
でもそんなこと言えないし、この際なんとしてもDDT作戦を成功させなきゃ。
「ほう、面白そうだな。それはどういう事だ?」
「実はつい最近この店に入ったばかりで、まだ一度もお客様についたことのない娘がおります。今日まで礼儀や作法を教えておりまして、明日にでも店に出そうと思っておりました。いかがです、この娘の初めてのお客様になって頂けませんか?」
いやいやいやいや。
それ無理でしょ!
僕自身経験ないのに、初めてお店に出る子とか。
そんなの絶対無理だって!!
でも断れる雰囲気じゃないぞ、どうする、カルロ?!
この続き、展開は決まってるんですがどう書いていいものか悩み中…




