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作者が転生?!~りっぱな悪役になってやる!  作者: 梅田遼介
「王都リュアン」編
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第43話「DDT作戦Ⅰ」

今日はアレルギー性鼻炎で最悪です(涙)

 フラウと会った翌日の朝、僕はルーノスとナルスに襲われたことを話した。

 何しに出かけたのか、と聞かれなかったのは気を使ってくれたのかな?


「黒装束に覆面の男たちですか」


「ああ、あれは明らかにプロの集団だ。動きも連携が取れていたし、秘密を守るために命も惜しまない」


「レジューム公かそれに近い者の命で動いているのは間違いないでしょうね」


 ナルスの言葉にルーノスもうなずく。


「そうですね。カルロ様、また襲ってこないとも限りません。くれぐれもお気を付け下さい」


「うん、お前たちも一応気を付けるようにな。でルーノス、お前の方はどうだった?」


「頂いたリストの中で明らかにレジューム公と仲の良くない貴族数人と連絡をとり、うち二人がカルロ様にお会いしたいと申しております。お会いになりますか?」


「出来るだけ早く会いたい。手はずを整えてくれ」


「先方もそう思っているようです。今日にでもお会いになれるよう調整してみます」




 昼から僕はルーノスが渡りを付けてくれた反レジューム派の貴族二人に会った。

 二人とも弱小貴族でしかも年輩だが、気骨のありそうな爺さんたちだ。


「いや~、カルロどのはお若いのになかなかしっかりしとるな」


「そうじゃそうじゃ、あのレジュームの奴になびかず国王陛下のお役にたちたいとは立派な志」


「大体あのレジュームなど今はああやって偉そうにしとるがわしらは鼻たれの頃から知っておる」


「そうじゃそうじゃ、あいつは昔寝小便ばかり垂れておったくせに年上のワシらを軽く見おって」


「カルロどの、ここはわしらが手を組んで、こしゃくなレジュームをキャンと言わせてやりましょうぞ」


「そうじゃそうじゃ、国王陛下の御為にわしらが頑張らねば! そもそも先代の国王陛下の御代にはワシとて剣を取り陛下のために――」


 延々と長い昔話を聞かされたが、そのおかげでなんとか味方になってくれたようだ。

 シャロンとの婚約にも賛成してくれるそうだ。

 何か二人で鉄板ネタがあるらしく、結婚披露の宴では自分たちにぜひそれをやらせろと約束させられてしまったが、まあ結婚する予定はないのでいいだろう。

 年よりの相手は疲れるよ、同じ話ばっかり出てくるしね。

 でもこの話のおかげで収穫もあった。

 二人に昨日襲ってきた黒装束の忍びの事を聞いてみたんだ。


「おお、それは闇の軍団に違いない」


「そうじゃ、コウガの里の闇の軍団じゃな」


「コウガの里? どこですかそれは」


 僕の質問に二人はペラペラ教えてくれた。

 年寄りは昔の話はよく覚えてるよな。


「マクベル伯爵の治める領地にある里の名前じゃ。そこにはコウガと呼ばれる隠れ里があるという」


「そうじゃそうじゃ、コウガの者はみな幼い頃から暗殺術を叩きこまれると聞いたぞ」


 マクベル伯爵――?

 どこかで聞いた名前だな。


「マクベルの奴はレジュームや他の奴らから裏の仕事を受けては闇の奴らにやらせておると言うぞ」


「そうじゃそうじゃ、それでマクベルはレジュームに取り入ったんじゃ」


 あ――思い出したぞ。

 僕が国王に謁見したときに後ろからごちゃごちゃいちゃもん付けてきたカマキリみたいな奴か。

 あいつやたらとカルロに反感持ってるみたいだったしね、間違いない。

 そのうち落とし前を付けさせてやる、今に見てろ。




 爺さん貴族たちとの話し合いも終わり、僕は屋敷に帰った。

 ナルスは今日も大臣と折衝で遅くなる、ルーノスも引き続き情報収集に動いてくれているようだ。

 よし、今日こそ前からの計画を実行するチャンスだ。


 僕は晩御飯を食べてから身なりを整える。

 風呂に入って下着も新しい物に着替えた、歯も磨いた、ルーノスをまねて服もちょっとおしゃれに。

 特に香りは重要だ。

 こっそりルーノスの付けている香水を拝借した。

 クンクン。

 これが女性受けのいい香りなのか、覚えておいて今度買いに行こう。


 よし、準備万端。

 あとはピカールに貰った小袋とオリハルコンの剣を持って。

 

「ドッヂ、今から出かける。ついて来てくれ」


 入り口を守っていたドッヂに声を掛けて僕は屋敷を出た。

 昨日のフラウとの待ち合わせもドキドキしたけど、今日もやたらと緊張する。




 野ウサギ団から仕入れた情報をもとに、王都リュアンの裏路地を歩く。

 だいぶ夜も更けて静かだった町が、だんだん賑やかになってくる。

 あちらこちらの店の中から酔っぱらいの騒ぐ声や女たちの嬌声が聞こえてきた。


 そう、ここはリュアンの夜の顔を代表するエリアだ。

 一番華やかな飲み屋などが並ぶ通りを抜けて、一本裏の通りに入る。

 情報ではこの辺りから始まるはずだ。


 僕がバルハムントを出る前から立てていた計画、それは名付けて「DDT作戦」。

 DDTとは何か。

 それはズバリ、「脱・童貞」だ。


 僕の書いていた小説「勇者転生」の中のカルロは、悪党だけど女にもてる。

 あちらこちらで女の子を泣かすキャラクターだ。

 そんなカルロ、つまり僕がいつまでもチェリーどうていでいいのだろうか?

 いや、よくない。


 思わず反語を使いたくなるほどこの問題は深刻だ。

 この物語を美しいエンディングへ導こうという、作者である僕の使命の為。

 一刻も早くこの問題を解決する必要がある。

 そのために計画、立案されたのがこの「DDTだつどうてい作戦」なのである。


 DDT作戦の内容はこうだ。

 僕は元の世界で母親以外のほとんど女性と関わったことがない。

 デートもしたことないし、それ以上は当然皆無。


 この世界に来て少し話をしたりロゼアに手を握られたり、という体験はした。

 それだって元の世界の自分から考えたらすごい進歩だ。

 でもやっぱり緊張してそれ以上となるととても無理。


 昨日はフラウと……と思ったけど結局空振りしたし。

 そんな僕に必要なものは何か。

 それは経験と、それから来る自信ではないのか。


 ルーノスやFと比べればともかく、カルロだって充分イケメンのはずだ。

 これに経験と自信が加われば怖いものはないはず。

 ではそれをどうやって手に入れるか。


 そんなことを悩んでいる時に、野ウサギ団から有力な情報がもたらされた。

 それは「王都には娼館が建ち並ぶ場所があり、経験豊富で美人な女性が揃っている」ということ。

 それってまさに僕にうってつけの場所なんじゃないのか?


 そこには愛くるしい女の子からお色気満点のお姉様まで様々なタイプの女性がいると言う。

 またそのレベルや金額もお店によってさまざまらしい。

 僕はその中でも最高レベルのお姉さま方を集めているという優良店を聞き出すことに成功した。


 元の世界にいた時から、正直そういうお店への興味がなかったわけじゃない。

 でもやっぱりなんか怖いよね。

 どんなお姉さんが出てくるのか分からないし、ひょっとして怖いお兄さんが出てきて脅されたらどうしよう。

 そもそも女性と二人きりになったらどんな話をしてどう行動すればいいのか分からない。

 だからそんなお店に行くなんて絶対無理だった。


 しかし。

 この世界での僕はカルロで、しかも作者補正が掛かってる。

 そこら辺のチンピラが出てきたところで怖がる必要はない。

 念のためにボディーガードとしてドッヂも連れてきたし。

 

 ただ問題は、やっぱり女性と二人きりになった時にどうするのか、だ。

 そんなの絶対緊張するし。

 何をどうすればいいのかさっぱりわからないし。


 そこでこの「DDT作戦」だ。

 僕はまず情報を得た「最高の店」へ向かう。

 そこで、経験豊富なお姉さま方を何人も同時に指名するんだ。

 そうすればマンツーマンじゃないから緊張もほぐれるんじゃないだろうか。

 しかもそんなお姉さま方が何人もいれば僕が何もしなくても全部やってくれるに違いない。

 ああ、これぞまさに酒池肉林。

 悪役カルロのデビュー戦にふさわしい華やかな戦いだと言えるだろう。


 よし、これだ。

 ただし問題点は、そんなことをしたらとてつもない金額が掛かるだろう、という事だ。

 最高のお店でそんなことをして安い訳がない。

 でも僕の作戦は完璧、抜かりはない。

 この為にピカールからあらかじめお金をもらってきたんだ。

 もちろんピカールには王室への工作資金だと言ってあるけどね。


 その予算、なんと白金貨で5枚。

 日本円に直すと500万円という大金だ。

 これだけあればどんな事があっても大丈夫だろう。

 

 さらば、僕のチェリーよ。

 ただ今よりDDT作戦を決行する、各自粉骨砕身努力セヨ。

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