第33話「襲撃」
今までの話を2章に分けて、第1章の最後にそれまでのあらすじと登場人物一覧を入れてみました。
今の話は第2章「王都リュアン」編になります。
ブックマーク、評価してくれたみなさん、ありがとうございます。すごく嬉しくてやる気がでます☆これからもっともっと盛り上げていくので、よろしくお願いします!
翌日、僕は三日月と一緒に昨日の空家へ向かった。
そこではギャン達5人の男が支度をして待っていた。
「おう暁、三日月、待ってたぜ。準備はいいか?」
ギャンが何事もなかったかのように僕らを迎える。
昨日僕らの後をつけさせていたのなんておくびにも出さないのがさすがだ。
もっとも僕らもそれに気付いて撒いたことなんて素知らぬふりだけど。
「ああ、準備はいいぞ。ドムル、昨日は悪かったな」
「い、いや、あれは俺が悪かったんだ、気にしないでくれ」
ドムルに話しかけると、ドキッとした表情を浮かべて愛想笑いしてくる。
だいぶ薬が効いたようだ。
こいつらの用意した馬に乗って、目的地に向かう。
場所はバルハムントを出て人気の少なくなる辺りで、道の脇の木立ちに隠れて待つようだ。
もちろん全員覆面をして顔が分からないようにしている。
僕と三日月の仮面の上に覆面ってなんか間抜けだな。
僕はギャンと三日月と一緒に身を潜めた。
「もうじきここを馬車の一行が通る。前をドムル達4人が塞ぐから、俺たちは後ろから襲うんだ」
「護衛たちはどうする?」
「皆殺しだ。お付きの一人だけはわざと逃がして、これが街道の盗賊による誘拐だと報告させるがな」
何でもない事のようにギャンが僕たちに指示を出す。
クールにひどいことを言う奴だな。
これなら先輩たちの方が全然愛嬌があるよ。
「来たぞ、あれだ」
1時間もしないうちに街道を馬車が通りがかる。
かなり豪華な馬車で、3人の護衛が守っている。
相当警戒しているのか、周りをしきりに見回しているようだ。
「止まれぇ! 俺たちは街道の盗賊だ! 馬車の中身に用がある。大人しく出てこい!」
ドムルが大声で叫ぶと同時に4人が馬車の前に飛び出した。
慌てて3人の護衛が剣を抜く。
「暁、俺たちも出るぞ!」
ギャンが言いながら飛び出すのに従って、僕らも飛び出した。
すでに前の4人は3人の護衛と交戦中だ。
「へへ、こりゃあ楽勝――あれは何だ?!」
ギャンが笑いながら後ろの僕たちを振り向いた瞬間、目を丸くして硬直した。
僕も後ろを振り向くと、後方から土煙を上げて騎馬の集団が向かってくる。
「そこの者ども、待て! 我らは近衛騎士団1番隊である! 大人しく投降せよっ!」
「クソッ、騎士団の哨戒に引っかかったかっ! お前ら、散れ!!」
ギャンが慌てて叫び、僕たちも馬を駆って逃げ出すが相手は訓練を積んだ上にスピードに乗った騎士だ。
瞬く間に追いつかれて混戦になる。
「畜生、こうなりゃやるしかねえ。お前ら、何とかして活路を切り開け!」
「おう!」
追ってきた騎士の数は5人、その先頭はルーノスだ。
護衛の3人と合わせると数の上でもこちらが少ないうえに、近衛騎士団の騎士とこいつらでは実力が違う。
各自がそれぞれ戦闘になった。
「ふん、騎士風情がこのオレ様を相手にしようってのか、10年早いぜっ!」
三日月は騎士を相手にしているが、全く引けを取らないどころか押しているようだ。
これは心配なさそうだな。
「くっそ、こんな所でやられてたまるかぁぁぁ!」
前にいたドムルは騎士を相手に押されてはいるが何とかしのいでいる。
問題は残りの3人だ。
「ぐはあっ!」
まず騎士を相手にしていた男の一人が袈裟がけに斬られてもんどりうって落馬する。
「わあああ!」
それを見て慌てて逃げ出そうとする別の男に、護衛たち二人が斬りかかる。
しばらく逃げたところで後ろから斬られたようだ。
馬から落ちてピクリとも動かなくなった。
「くそっ……がっ!」
最初の一人を切った騎士がもう一人の護衛と戦っていた男に横から斬りかかった。
護衛相手には優勢に戦いを進めていた男だったが、騎士の不意打ちには全く無防備だ。
首筋に剣を受け、派手な血しぶきを上げて倒れ落ちる。
あっという間に3人が斬られて、残る男たちはギャンとドムルだけになった。
見ればギャンは隊長のルーノスと交戦中だ。
かつてバルハムント最強と呼ばれたルーノスの剣が縦横無尽に襲いかかる。
ギャンは必死にそれを防いでいるが、このままでは討ち取られるのも時間の問題だ。
ましてこっちの数が減っている分、一人で相手にしなければいけない人数は増える一方だ。
ここで何とかしなければ全滅は間違いない。
「うおおぉぉ!」
僕は目の前の騎士に向かって力いっぱい大剣を振り下ろした。
騎士はそれを盾で受け止めようとするが、衝撃で吹っ飛んで落馬する。
「ギャン、無事かっ!」
僕はその隙にギャンとルーノスの間に割って入った。
2対1になるがさすがはルーノス、まったくひるむことがない。
僕の突きだす大剣を巧みに盾で捌きながら剣でギャンを攻める。
僕はそれをさせじと大剣でルーノスの剣を受け止めた。
「ほう、このルーノスを相手になかなかやるが何者だ?」
さすがはルーノス、僕の腕前に気付いたようだ。
でも僕にはここでルーノスとやり合っている余裕はない。
「こいつは俺が何とかする。逃げろっ!」
「すまねえ、お前も逃げろよっ!」
ギャンは隙をついて逃げ出した。
見ればドムルも三日月に助けられて一緒に逃げ出したようだ。
僕はルーノス達騎士に囲まれながら、逃げた3人が十分に距離を取るまで待つ。
「悪いが相手をする気はない。ここで失礼させてもらおう」
「そうはいかん。誰の差し金かゆっくり聞かせてもらおうか」
ジリジリと近づいてくる騎士たちに対し、僕は剣から片手を離した。
心の中でサラマンダーの精霊、レウスを呼び出す。
「ほう、観念したか? いい心構えだ」
そう言いながらも油断せず近づいて来ようとするルーノスに対し、僕は左手で印を結んだ。
「ファイヤーウォール!」
炎の壁が一瞬で立ち上がり、僕と騎士団の間に立ちはだかる。
僕はその隙に馬を走らせ、なんとか逃げることに成功した。
しばらくそのまま馬を走らせ、追手がいないことを確かめてから別の門を通って僕は街に戻った。
そのままギャン達の居るだろう空き家に向かう。
「おお、暁!無事だったか?!」
やはりギャンは先に戻っていた。
「な、オレが言った通りだろう。暁はあれぐらいで捕まる奴じゃねえってな」
三日月とドムルも一緒だ。
「さっきは本当に助かった。お前がいなけりゃ全滅は間違いなかった」
「すげえよあんた。どうやってあいつらから逃げ延びたんだ?」
ドムルが聞いてくるから、僕はライトの呪文を唱えて火の玉を宙に浮かべてやった。
「この通り、俺は炎の魔法が使えるんでな。炎の壁を出して行く手を塞いできた。まあ奥の手、って奴だ」
「なんて奴だ、あの大剣の上に魔法まで使えるのか。スゲエよ、凄すぎるだろ……」
僕が不敵に笑うと、ドムルが心底驚いている。
まあなんてったって作者補正が掛かってるからね。
チートでほんとすいません。
「しかし、なんであんな所に騎士団が居やがったんだ」
ギャンが悔しそうに言う。
「アンタが昨日言ってたじゃないか、最近警戒が厳しくなってるって。それでだろ」
「そうだな、それで巡回してやがったんだ。畜生」
三日月の言葉に納得はしたようだが、ギャンもドムルも仲間がやられて悔しそうだ。
「それでどうする? これで仕事は終わりか?」
僕が聞くとギャンはしばらく悩んでからこう言った。
「それは俺には決められねえ。と言ってこうなってはこのままやることも出来ねえ。上に聞かなきゃなんねえが、俺一人で行けば責任を問われて殺されちまうかもしれねえ。暁、済まねえが俺と一緒に行って俺がヘマしたわけじゃねえってことを説明してくれねえか」
さあ、来た来た。
僕が仲間だと完全に信じ込んだみたいだな。
でもここは焦らず慎重に。
「正直俺にとっては面倒な話だがな。まあお前が殺されても寝覚めが悪いし、今回の報酬についても言っときたいことがある。仕方ない、行ってやろう」
「ありがてえ、暁。恩に着るぜ」
さあ、いよいよ黒幕のお出ましだ。
頑張って続き書くので応援よろしくお願いします☆




