第25話「花束」
2週間連続2話投稿も残すところあと2日、早いものです。最近はブックマークも少しずつ増えて、ムッチャ嬉しいです☆これからも頑張って書いていくんで、ヨロシクお願いします!
仕事で疲れた僕は、呼び鈴を鳴らしてメイドを呼んだ。
「お呼びでしょうか?」
入ってきたのはメイド姿のミレアさん。
もうすっかり腕の怪我も治ったようでよかったな。
しかし若いレイナのメイド姿もいいけど、ミレアさんのメイド姿もなかなかいい。
これだけ美人なのに未亡人で子供がいるなんて信じられないよ。
「あ、あの。カルロさま、何かご用でしょうか?」
……あ。
ミレアさんが頬を赤らめて僕を見てる。
僕がじっと見つめていたせいで恥ずかしがらせちゃったようだ。
「ああ、ルチアはどうしてる?元気か?」
「おかげ様で元気に学校に通わせていただいております。友達もできましたようで」
「そうか、それは良かった。ミレア、紅茶を一杯もらえるか?」
「はい、ただいまお持ちいたします」
ミレアが持ってきてくれた紅茶を味わう。
美味しいんだけど、砂糖が入ってないのが残念だ。
砂糖はほとんど手に入らない高級品らしい。
甘いものが食べたいなあ。
そろそろ日も傾いて夕暮れ時だ。
ちょっとお腹もすいてきた。
あ、そうだ、いいことを思いついた。
今日は外で晩ご飯を食べよう。
小鹿亭のビーフシチューだ。
つ、ついでにフェリシアちゃんにも会えるかもしれないしな。
「ミレア、今日はこれから出かける」
「こんな時間からお出かけですか?」
「ああ、晩飯は外で食べるから不要だとメリッサに言っておいてくれ」
「かしこまりました」
「それと、どこかに花屋はないか?花束を作ってくれるような」
僕は屋敷を出て、ミレアが教えてくれた花屋に向かった。
ちょっと不思議そうな顔をされたけどミレアが知っていてよかった。
僕直轄の近衛隊長になったルーノスが付いてくるといったが断った。
あんな色男、絶対に連れていくもんか。
花屋で花束を作ってもらった。
この世界で男が花束を頼むのは珍しいらしく、怪訝な顔をされたけど手に入ったぞ。
鮮やかな色の花を何種類かと、たっぷりの霞草。
花言葉は何なんだろう。
「これはこれはカルロ様。またのお越し、有難うございます。どうぞこちらのお部屋へ」
小鹿亭の小太りの店主、ファッツが出迎えてVIPルームへ案内してくれた。
「この間の子牛のシチューがまた食べたくてな。つい来てしまった」
「お気に入り頂けましたようで光栄に存じます。では急いで子牛のシチューをご用意いたします。あとまたフェリシアを来させましょうか?」
胸がドキンとなる。
良かった、今日もフェリシアちゃんいるんだ。
出来るだけなんでもなさそうなフリをして答える。
「ああ、そうだな。ではフェリシアに来てもらおうか。それと料理はゆっくりでいいぞ」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
ニヤリと笑ってファッツが出て行った。
「カルロさま、失礼いたします」
しばらくしてフェリシアちゃんが入ってきた。
ああ、やっぱり可愛い。
吸い込まれそうな瞳に大人しげな表情がたまらない。
ロゼアみたいな大人の女もいいけど、はかなげで控えめなフェリシアちゃんは最高だ。
「フェリシア、これを取っておけ」
買ってきた花束をフェリシアちゃんに渡す。
指輪かネックレスを、とも思ったけど1回しか会ってない男からいきなりもらってもキモいだろうし。
だから花束にしてみたんだけど喜んでくれるだろうか。
「まあ、これを私に?!なんて綺麗なんでしょう。それにいい匂い……」
フェリシアちゃんは花束に顔を近づけて香りを楽しんでいる。
良かった、喜んでくれたようだ。
「いや、ここへ来る途中に偶然花屋を見つけてな」
僕の嘘つき。
わざわざそのために遠回りしてきたくせに。
でもそれを言う根性がない。
「私、殿方からこのような物を頂いたのは初めてです。有り難うございます」
フェリシアは丁寧に頭を下げてお礼をしてくれた。
この世界では男が女の子に花束を贈る習慣はないらしい。
でも僕はチェリーだけど現代の男子だ。
こうすれば女子が喜ぶと言う知識は持ってる、経験はないけど。
今日はこの間ほどお店も忙しくないらしく、しばらくこの部屋に居てくれた。
その間にいろいろな話をした。
フェリシアは今年で19歳になるそうだ。
幼い頃から歌やダンスを習っていたが商売をやっていた父親が倒産。
母親の実家があるバルハムントに来て、家計の助けにとここで歌っているそうだ。
その苦労を考えると涙がでそうだよ、僕。
ちなみにこの間の剣技大会を見たかと聞いてみたが、来てなかったそうだ。
僕の雄姿を見てもらえなかったか、残念無念。
今日も1曲歌ってもらい、フェリシアはホールへ戻った。
その後シチューを食べて僕は帰った。
ホールを横切る途中、また歌っているフェリシアちゃんと目が合った。
この間よりはっきりと微笑みながら、目で僕にサヨナラを言ってくれる。
今日はだいぶ親しくなれた気がするなあ。
幸せな気分で店を出る。
小鹿亭を出た後、僕は隠れ家に寄った。
窓に明かりがついていないのを確かめ、念のため覆面をして中に入る。
隠れ家の中にピックはいなかった。
服を暁の服に着替え、仮面を付けて家を出る。
冒険者ギルドに入ると、中は夜だというのに結構にぎわっていた。
「よお暁、こっちだ」
「兄貴、ご無沙汰です」
仮面の傭兵三日月とピックが僕を呼ぶ。
ピックは僕が「人前ではお頭ではなく兄貴と呼べ」と言った事をちゃんと覚えていたようだ。
感心感心。
「なんだ、夜だというのにえらく賑わってるな」
「それなんだよ、暁。ちょっと大きな仕事が来てな」
「兄貴、ルイードの森のそばの集落に、トロールが出たっていう話です」
「そうなんだ。しかもな、二つ頭だ、っていうんだぜ」
三日月が嬉しそうに言う。
二つ頭のトロールか、厄介だな。
まだ領主としてのカルロのもとにそんな報告は来てない。
報告が上がってくるとすれば冒険者が討伐に失敗して軍の出動の要請がある時か。
でもそうなった時にはすでにかなりの犠牲が出ているだろう。
トロールはファンタジーでは比較的メジャーな生き物で、鈍重な巨人と言ったイメージで知られている。
この世界でもそれは変わらず、トロールは身長約3メートルと背が高くて力が強い。
大きな棍棒を振り回したり、岩を投げつけたりして攻撃してくることが多い。
ただ知能は高くはないため討伐はそれほど難しくない。
モンスタークラスではCクラス、冒険者の1パーティーで対処できるレベルだ。
しかしトロールには亜種がいる。
それが今回出たという「二つ頭」や「三つ頭」と呼ばれる個体だ。
これは文字通りトロールに頭が複数付いているのだが、頭が複数になると同時に身体は大きくなり、知能も高くなるのが普通だ。
しかも場合によっては魔法さえ使ってくることもある。
こうなればモンスタークラスもB、数パーティーが合同で当たる必要が出てくる。
「二つ頭とは厄介な相手だな。魔法は使うのか?」
「それがまださっき入って来たばかりの依頼で、詳細は分からねえんだとよ。なあ暁、そいつをオレ達でやっちまわないか?」
明らかに三日月がワクワクしているな。
報酬もだいぶいいのだろう。
「しかし二つ頭のトロールともなれば、モンスタークラスはBかも知れないぞ」
「大丈夫だって、暁!」
三日月はそういうと、いきなり僕の頭を左手で抱え込んでピックに聞こえないように耳元で言う。
「アンタの試合、見たぜ。スゲエじゃねえか。アンタとオレが一緒なら楽勝だよ」
この間の剣技大会の話をしてるんだな。
それはいいけど、胸が僕の仮面に当たってるぞ、胸が。
こういう時に仮面がものすごく邪魔だという事を今日僕は学習した。
この悔しさは二度と忘れない、忘れるもんか。
「分かった分かった。じゃあ明日またここに来るからやってみるか。俺の知り合いの魔法使いを連れてくるから」
「やったぜ、だからアンタ好きだぜ♪」
「兄貴、アタイもご一緒します」
まあ、大丈夫だろ。
僕には作者補正もついてるし。
2話目の投稿は10時過ぎの予定です。
次からはトロール退治のお話になります!




