第21話「剣技大会Ⅱ」
2週間連続2話投稿の11日目です。
近衛騎士団長を決める剣技大会の続きです。
いよいよカルロが登場します☆
続いてはAブロックの第2試合、巨漢騎士と僕の試合だ。
僕は白王にまたがって競技場に出た。
大丈夫、緊張感はそれほどない。
さっきのスピーチに比べたらどうってことはない。
巨漢騎士の名前が呼び上げられると、さっきとはうって変わって歓声が巻き起こる。
「勝てよー!」「やっちまえー!」などの声も聞こえる。
あれ、こいつって人気なかったんじゃないっけ?
「カルロ=ド=メリチ辺境伯様!」
続いて僕の名前が呼ばれるが、場内からはパチパチという拍手だけ。
いかにもお愛想、っていう感じだ。
どういうことだ?
しばらく考えてやっと分かった。
これはどうもこの間の増税が効いているようだ。
そりゃあ人気も落とすよな。
しかも偉いさんがこんな所にしゃしゃり出てきて、という反感もあるかもしれない。
いいよ、人気なんかなくたって。
俺はどうせ悪役だからね。
でもひょっとしたらどこかで歌姫のフェリシアが見てるかもしれない。
そう考えると無様なところは見せられない。
カッコいいところを見せてやる!
「カルロ様、手加減は無用とおっしゃいましたな?お言葉通り思い切り行かせて頂きますぞっ!」
巨漢の騎士が吠えて、それにまた歓声が沸く。
でっかい声出さなくても僕はそんなに離れてないんだから充分聞こえるよ。
観客に聞こえるように叫びやがって、この目立ちだがり野郎め、やっつけてやる。
これは試合だからオリハルコンの剣が使えないのは残念だが、試合用のバスタードソードを構える。
相手は今回もハルバードだ。
どうせリーチの差を生かして攻撃してくる気だろ、いいさ受けて立ってやる。
互いに礼をすると同時にまた巨漢の騎士は突進してきた。
自分の間合いに入ると同時に長いハルバードを振り下ろしてくる。
僕はそれを真正面から受け止めた。
ガッキーーン!
金属質の音が響き、そのまま力比べに入る。
巨漢騎士は僕よりだいぶ背が高いが、僕は白王に乗っているからそれほど高さの差はない。
相手は上からグイグイ押してくるが、僕はそれをしっかり受け止めて下がらない。
「うおおおおおお!」
この白熱した力比べに観客から大きな歓声が巻き起こる。
見たか、この作者補正のチートな力を。
でもこんなもんじゃあないぜっ!
「ふんっ!」
僕は力を込めて、相手のハルバードを押し返した。
その衝撃で相手がよろめくが、あえてそこは攻撃しない。
体格も腕の太さも無視した、圧倒的な力の差というものを見せつけてやる!
「はあ、はあ、はあ」
相手はすでに息が上がっている。
おいさっきの威勢はどうした、まだまだこれからだよ。
僕の余裕の表情を見て、巨漢騎士は恐怖を感じたようだ。
力任せにハルバードを振り回し始めた。
ガンッ!キンッ!ガキーン!
上から、横から、斜めから相手の振るうハルバードが振り下ろされるのを全て弾き返す。
これぐらいのスピードならどうという事もない。
観客は想像もしなかった展開に度肝を抜かれたように静まり返っている。
「ゼエッ、ゼエッ、ゼエッ」
相手の攻撃がやんだ。
どうやら無茶苦茶にハルバードを振り回したせいでスタミナ切れのようだ。
そろそろ僕のターンかな。
「そろそろいいか?行くぞ」
観客に聞こえないように静かにそう告げると、相手の騎士の目が恐怖に見開く。
僕は白王に気合を入れて相手の距離を一気に縮めると同時に相手の苦し紛れの一撃をかわしてかいくぐり、一合も打ち合うことなく剣先を相手の喉元に付きつけた。
「ま、参りました」
「勝負あり!カルロ様の勝利!」
観客たちは静まり返っている。
しまった、やりすぎたか。
でもちょっとはカッコいいところ見せれたかな?
見ててくれたかな、フェリシアちゃん。
続いてはBブロックの第2試合、Fの出番だ。
さっきとは違い、Fの名が呼ばれるとある程度の黄色い声や歓声が上がる。
さっきの試合で出来たファンのようだ。
しかし続いて相手が出てくると、割れんばかりの歓声がとどろいた。
美しい金髪をしたこれまたすごい美男子だ。
僕だって金髪なのになんでこうも扱いが違うんだ。
「ルーノス卿!」
相手の名前が呼ばれると拍手と歓声、それに足踏みで競技場全体が揺れている。
異常な人気だ。
「これはいったい何事だ?」
僕のそばにいたピカールに聞くと、すぐに教えてくれた。
「ルーノス卿は見た目の美しさと共にその剣の実力でもバルハムント1と言われております。生まれも高貴で立ち居振る舞いも美しく、結婚したい男性ナンバー1の地位を何年も守っているお方です」
こいつが兜をかぶってないのは自分の顔が良く見えるようにだな。
決めた、こいつは敵だ。
やってしまえ、F。
二人は剣を構え、礼をした。
ルーノスは礼の仕方まで優雅なのがムカつく。
しかもそれだけでキャーキャー言うミーハーな客にも腹が立つ。
フェリシアちゃんはこんな男には心惹かれないに違いない。
使う武器は二人ともロングソードに盾という正統派の騎士スタイル。
互いにゆっくり近づいて、軽く剣を合わせると同時に攻防が始まった。
ものすごいスピードで互いの剣が交錯する。
剣同士が、剣と盾が、ぶつかり合うたびに高い金属音が響き渡る。
さすがにバルハムント1の腕前と言われてきただけあって、ルーノスの剣技は相当なものだ。
あのFとまともに打ち合っているのだから間違いない。
ルーノスが上段から振り下ろす剣をFの盾が受け止める。
ほぼ同時に突き出されたFの剣をルーノスが盾で防ぐ。
すぐさま引かれたお互いの剣が宙でぶつかり合って火花を散らす。
おそらく普通の観客には残像しか見えないであろう程の高度な技の応酬。
しばらく攻防が続いたあと、二人はどちらともなく距離を取った。
その瞬間に観客からものすごい賞賛の拍手と口笛が二人に降り注ぐ。
「驚いたな、フィッツジェラルド卿。貴公のような手練れがこの領内にいたとは」
「こちらこそ、ルーノス卿。あなたの腕は噂を上回る」
あああ、そんな美男子同士の褒め合いなんて見ていて何も面白くないよ。
二人とも負けてしまえ!
そんな僕のよこしまな願いをよそに、再び試合は動き出す。
先ほどまでとは打って変わって、睨み合い、隙をうかがうばかりで手を出さない。
互いに必殺の一撃を狙っているようだ。
「はあっ!」
しばらくその状態が続いた後、ルーノスが気合いと共にそれまでとは比べ物にならないほど鋭い振りで上段から剣を振り下ろした。
キィィィン!
その瞬間に勝負が決まった。
ルーノスの振り下ろした剣が跳ね上げられると同時にFの剣が相手の首筋ギリギリで寸止めされた。
後の先。
Fが持つ必殺技の一つだ。
相手に先に攻撃させ、それを跳ね上げると同時に叩きこまれるカウンター。
正直、僕の目にも見えなかった。
「勝負あり!勝者、フィッツジェラルド卿!」
ルーノスが両手を挙げ、Fの名が告げられると同時に競技場全体が歓声に包まれた。
紙吹雪までが舞っている。
新たなヒーローの生まれた瞬間だ。
「参ったな、私の完敗だよ。貴公こそ我が近衛騎士団の団長にふさわしい」
「いえ、これも時の運です。またお相手願います」
二人が馬を降りて固く手を握り合うと、競技場のボルテージはさらにヒートアップする。
嫌だねえ、そんなイケメン同士の友情物語なんて嘘くさくって見てられないよ。
だいたいまだトーナメントは終わってない、終わってないぞ。
僕だってそのイケメン仲間に入れてくれよ!
次の投稿は10時過ぎの予定です。
よろしくお願いします☆




