第20話「剣技大会Ⅰ」
お待たせしました!ここまで「どこがファンタジー?」という話が続いてきましたが、やっと、やっと戦うシーンが出てきます。ここからはどんどん盛り上がっていきますので、よろしくお願いします☆
それから数日後、いよいよ近衛騎士団の団長の座を決める剣技大会の日がやって来た。
場所はバルハムントの街の中心、サン・ペリエ大聖堂のそばの競技場。
せっかくだからこの大会を一般市民にも開放して一大イベントにすることにしたんだ。
「我らが主君カルロ=ド=メリチ辺境伯様のご意向により、近衛騎士団の団長を辞し将軍を拝命することとなった。ついては後任の近衛騎士団長を隊長5人の中から選ぶこととなり、その方法としてこの度の剣技大会にて最も成績の優秀だった者を新たな団長とすることになった!」
大会の開会に際し、現騎士団長のマーカスが開会を告げるスピーチをしている。
「なおこの大会には、特別にカルロ様もご参加になる!カルロ様からは例え主といえども試合となれば一切の手加減は無用と強く言われておる。各参加者はその実力をすべてこの場で発揮するように!」
超満員の観客から地響きのような歓声が上がる。
僕の参加は今日まで秘密にしていたから、そのサプライズにみんな驚いたようだ。
次は僕の開会宣言だ。
正直こういうのは性格に合わないし、経験もないからめっちゃ緊張する。
やばい、トイレに行きたくなってきた。
でもその暇はもうない。
落ち着け、僕はカルロだ、ふてぶてしい悪役なんだ、頑張ろう。
「みな、よく来てくれた。俺がカルロだ。今日はこの場で新たな近衛騎士団の団長が決まる。その戦いを大いに楽しんでくれ。さっきマーカスが言ったように、今日は俺も参加する。俺と当たることになった者は絶対に手抜きをするな。もし俺に負けたら減給にするから覚悟しておけ!」
ここで観衆から笑い声が起きた。
良かった、受けたみたいだ。
「ではこれより剣技大会を開催する。マーカス、対戦カードを発表してくれ」
……はあ、なんとか上手くいった。
正直試合なんかよりこっちの方がずっと緊張したよ。
舞台の上ではマーカスが公正に決めたトーナメント表を発表している。
僕はA組のシード、FはB組の1回戦からの出場で上手く分かれた。
僕とFが戦うのは決勝という事になる。
いやあ、うまく分かれてよかったなあ。
騎士の試合は剣技でも基本的に馬上試合らしい。
A組の1回戦は細身のロングソードと盾で戦う騎士と、長い柄のハルバードを使う巨漢の騎士との戦いだ。
この勝った方と僕が戦うことになる。
ロングソードを使う細身の騎士は、スタイルが正統派なだけあって凛々しい感じだ。
年は30代後半だろうか、顔も口ひげをはやしてなかなかのいい男だ。
名前を紹介されると声援が上がったからなかなかの人気者のようだな。
それに比べて相手の巨漢の騎士はどうも人気がないらしい。
名前を呼ばれるとブーイングが上がった。
見た目がごついせいだろうか。
体が大きいだけじゃなく、顔つきも武骨で恐ろしい。
年は恐らく20代後半で相手よりだいぶ若そうだ。
長いハルバードをこれ見よがしにブンブン振り回している。
かなりの力自慢のようだ。
いよいよ試合が始まった。
たがいに礼をするや否や、巨漢の騎士が馬を突進させる。
巨体を乗せているだけあってかなり大きな馬だ。
もちろん白王には見劣りするけど。
「うらあああああ!」
大声で叫ぶと同時に、遠距離から長いハルバードを打ち下ろす。
細身の騎士はそれを盾で受け止めるが、かなりの衝撃が来たようだ。
それでもなんとか衝撃を受け止めて自分の剣が届く距離まで詰めようとするが、巨漢の方はなかなか馬の扱いに長けているらしい。
馬を巧みに扱って相手を懐に入らせないようにしている。
細身の騎士はこの距離で戦うのは不利だと判断したのだろう、馬を操って一度距離を取った。
離れたところでしばらく睨み合っていたが、突如細身の騎士が突撃した。
一気に自分に向かってくる細身の騎士に対して巨漢の方はハルバードを振り下ろしたが、細身の騎士は盾を使って上手くそれを逸らして相手の懐に潜り込んだ。
これはなかなか上手い。
接近戦ではハルバードの長い柄が却って邪魔になる。
しかし巨漢騎士の実力はかなりのもので、その近距離の攻撃を柄を使ってうまくしのいでいる。
しばらく攻防が続いていたが、細身騎士のロングソードの攻撃を巨漢の方が柄で受け止めた瞬間に細身騎士は持っていた盾を巨漢に叩きつけた。
シールドバッシュというやつか、初めて見た。
それで巨漢騎士は少しよろめき、その隙をついて細身の方がロングソードを鋭く突きだす。
しかし巨漢はその突きをハルバードの柄で激しく弾いた。
その衝撃で二人の距離が少し離れ、ハルバードの間合いになる。
その瞬間を逃さず巨漢騎士はハルバードを相手に叩きこみ、それを受け損ねた細身の騎士は馬から落ちた。
「勝負あった!」
審判を務めるマークスが叫ぶと同時に、戦っていた二人の動きが止まった。
騎士の馬上試合ではどちらかが落馬するか手を挙げて降参の意志を示すと勝敗が決まるそうだ。
巨漢騎士は大きく手を上げるが観客からは「ああ~」というため息が聞こえた。
こいつやっぱり嫌われてるな。
これで僕の試合の相手はこの巨漢に決まった。
この試合を見た限りでは負ける要素はなさそうだ。
次の試合はBブロックの1回戦、Fと両手剣を使う騎士の戦いだ。
やはり知られていないからか、Fの名が呼ばれても会場はほとんど盛り上がらなかった。
フフ、この試合の後の観客の反応が楽しみだ。
それに対して相手の騎士の名が呼ばれるとなかなかの歓声が沸いた。
見たところ40代後半、ベテランの騎士らしい。
身長185センチのFと比べるとやや背が低いが、胸板は厚くがっしりした印象を受ける。
試合が始まると両者は互いに向き合って礼をし、ゆっくりと馬を操って距離を縮めていく。
Fの表情は兜のせいで全く見えないが、動きからすると落ち着いているようだ。
さあF、その実力をみんなに見せてやれよ。
両者の剣が互いに交わる距離にまで近づいた。
礼としてお互いに剣を差しだし軽く打ち合うと、相手の騎士の方から動いた。
重い両手剣を軽々と扱い、素早い動きでFを横から払うように打ち付ける。
しかも盾で受けにくいように剣を持つFの右側から攻撃するところがベテランらしい。
しかしFは慌てずそれを剣で受け流す。
すると遠心力がついている分相手の身体が傾いて隙が出来る。
そこを逃さずFの剣が襲う。
相手も必死でそれを受けるが、しょせん剣の重さにも腕にも差がありすぎる。
一方的に攻めるFの剣をなんとか受け、かわしていた相手だったがすぐに勝負はついた。
Fの剣が相手の小手を打ち、その衝撃で相手の左手が剣から離れたのだ。
重い両手剣を右手だけでは自在に扱えない。
その隙をついてFの剣が首筋に当てられ、相手が両手を挙げた。
「勝負あり!フィッツモーリス=フィッツジェラルド卿の勝利!」
マーカスの声に突如歓声が起こる。
あまりの手際の良さにそれまで息をのんでいたようだ。
Fがゆっくりと兜を脱ぐと、最前列で見ていた婦人の間から黄色い歓声が上がった。
そりゃそうだ、Fは超美男子だからな。
くそ、顔で勝てなくてもせめて勝負には勝ってやる。
まあ難しいだろうけど。
やっと出てきた戦闘シーン、いかがでしょうか?
同じパターンの繰り返しは避けるように努力していきますので、感想など聞かせていただけると嬉しいです!




