第16話「オリハルコンの剣」
本日2話目の投稿です。
悪役だけでなく作者としての苦労が始まりますw
一週間後、僕は鍛冶屋のモーハンの元を訪れた。
もちろん仮面をつけるのを忘れずに。
モーハンはドワーフで、その腕前から伝説の鍛冶屋と呼ばれている。
カズマが転生してバルハムントに来た時にモーハンにオリハルコンの剣を打ってもらう事になってる。
そのエピソードを書いていたから、どうしても僕も欲しくなって頼んでしまった。
それにしても白金貨10枚は高いよなあ。
日本円に直すと1000万円だよ。
それだけ希少性も性能も高いんだろうけどさあ。
そういやカズマはどうやってそのお金払うんだ?
そこは書かなかったから作者の僕にもわからない。
ピカールに金を出してくれって言ったらなんだか嫌な空気になったけど、文句は言わずに出してくれた。
他にも予定があるから多い目に白金貨20枚も出してもらったけど悪かったかな?
まあ今年は豊作と増税で税収はアップしているだろうから大丈夫だろう。
どうせ僕は悪役だし、いいよな。
一応また酒屋に寄って「ホビットの火酒」を買う。
モーハンのオヤジにはまた剣を砥いでもらったりしなきゃいけないしね。
「前に頼んだものは出来ているか?」
「暁だったな。ほらよ、出来てるぜ。オリハルコン製のバスタードソードだ」
おお、出来てるじゃないか。
なんというか、すごく白い。
鉄や鋼、銀と比べてもずっと白い気がする。
しかも軽い。
プラスチックなどの弱々しい軽さではなく、しなやかで鋭く振れる感じの軽さ。
これなら片手でも十分扱える。
「どうだ、軽いだろ?普通の両手持ちの剣は重さを叩きつける感じだが、こいつはまさに斬るための剣だ。あんたの腕によるが、手練れが扱えばそこらの鎧なら切り裂くぜ」
凄い、そんなに切れるのか。
それじゃあまるで斬鉄剣だよ。
切れ味のいい日本刀を達人が使うと金属でも切れるっていうけど、あんな感じかな。
だとすると僕ももっと腕を磨かなきゃ。
それにしても勇者カズマはどうやってこの剣を買うんだ?
最終的には聖剣を使うようになるんだけど、それまではモーハンの作った剣を使うことになるはずだ。
この剣のお陰で身に付ける必殺技なんかもあるから、どうしても手に入れてもらわないと困る。
でもこんな大金作れるとは思えないしなあ。
仕方ない、ここは一つ手を打っておくか。
「オヤジ、頼みがあるんだが」
「おう、なんだ?言ってみなよ」
「恐らく5年ほど後に、この店にカズマっていう名前で黒髪の妙な雰囲気の男が来るだろう。年は17になってるはずだ。そいつが来た時に、同じオリハルコンの剣をそいつにプレゼントしてやってくれないか」
「おいおい、無茶言うなよ!こんなもの他人にくれてやる訳ないだろうが」
「もちろん金は払う。ただそいつには俺の事は一切言わず、あんたからの贈り物だってことにしてほしい」
「そりゃ金がもらえるなら嫌も応もないけどよ。でもあんた本気で言ってんのか?」
「ああ、取り合えず今日はそっちの半金も払う。そのカズマっていう男が現れたら俺に連絡をくれ。その時に残りの金は払う、ってことでいいか?」
「5年後っていうけど、そんな奴本当に来るのかよ?俺はどうも信じられねえなあ。それにもし来たら、何と言って渡せばいいんだ?」
「そうだなあ、お前には勇者の素質がある、長年剣を打ってきた俺にはそれが分かる、だからこれをやろう、っていう感じがいいな」
「お前には勇者の素質がある、ねえ」
「何とか頼むよ」
「まあ別にかまわんが、あんた払えるのか?この間の残りと合わせると白金貨で14枚にもなるんだぞ」
日本円で1400万円か。
なんだか金銭感覚がおかしくなるなあ。
でも僕は最強の悪役、カルロ=ド=メリチ辺境伯だ。
これしきの金でビビってちゃいけないんだ。
僕は小袋から白金貨を出してモーハンに手渡した。
これで残りは6枚。
「あんた何者だ?そう簡単に払える額じゃあねえぞ」
「そこは詮索しないでもらおうか。もしカズマが来て俺に連絡を取りたいときは、冒険者ギルドに暁を指名で依頼を出してくれ。それで分かる」
「分かった、これ以上は聞かねえよ。カズマって奴が来たら剣を作ってやろう。まだ正直半信半疑だがな」
よし、これでカズマが剣を手に入れることが出来るぞ。
それに僕もカズマが来たことを自動的に知ることが出来て一石二鳥だ。
そのあと、僕が暁の傭兵として戦う時用の鎧を見繕ってもらった。
鎧は軽さと動きやすさを重視して、三日月と同じく胸だけを護るブレストプレートだ。
兜は見た目重視で無しにした。
鎧の代金を払い、持ってきたホビットの火酒をモーハンに渡して僕は外に出た。
次は家さがしだ。
この剣はともかく仮面にしろ鎧にしろ、毎回屋敷からこっそり持ち出すのは面倒だ。
だからカルロとしての屋敷とは別に暁としての隠れ家を借りることにした。
場所は出来るだけ出入りが人目に付かないところがいい。
今は別に狭くてもいいのだが、いずれ何かに使うかもしれないのでちょっと広めで。
どこがいいか良く分からないので、とりあえずギルドに行って三日月を探してみることにした。
ギルドのホールに入ると、三日月が一人で飲んでいた。
端の目立たない所にいたが赤い仮面のお陰ですぐ分かった。
「よお、カル……じゃなくて暁じゃないか。どうしたんだ?」
「じつは隠れ家を借りようと思ってな。場所は何処がいいか相談しに来たんだ」
「あの屋敷じゃまずいのか?」
「あそこにこの格好で入ったら正体がバレバレだろ」
「あはは、違いないな。いいだろう、ちょうどいい場所があるぞ。オレが金貨1枚で案内してやろう」
金取るのかよ。
まあ仕方ないから金貨を渡して三日月に付いてきてもらった。
「この辺なんかどうだ?人気はあまりなく、それでいて治安もそれほど悪くない」
なるほど、人通りの多い通りから一本入った小道を曲がった路地の奥。
ここなら人から見られる心配は少なそうだ。
「この突き当りが確か空き家だったはずだ。ここの持ち主はオレの知ってるばあさんでな。金に細かいが金さえ払えばうるさい詮索はしない。会ってみるか?」
そのばあさんが住んでいるのはすぐ近くだという。
僕は三日月と一緒にその大家のばあさんを訪ねた。
「おや三日月、ご無沙汰じゃあないか。今日はどういう風の吹き回しだい?」
「ばあさん、あんた持ってる空き家の住人を探していたろう?オレが連れてきてやったぜ。カル……暁だ」
「暁だ。よろしく頼む」
「三日月、あんたと同じ仮面の男とはね。正体も分からないんじゃあ怪しいねえ。金はあるのかい?」
「金払いの良さはオレが保証するよ。その点は大丈夫だ」
「そうかい、金さえちゃんと払ってくれたら文句はないけどねえ」
まだ中も見せてもらってないし肝心なことを聞いてない。
「すまんが中を見せてもらえるか?」
「ああいいよ、ちょっと待っとくれ」
大家のばあさんは家の中から鍵の束を持ってくると、空家へ一緒に向かった。
2階建ての空き家の中は結構広々している。
1階は暖炉の付いた大き目のリビングに台所、トイレ、風呂とあとは部屋が2部屋。
現代風に言うと2LDKだな。
風呂が付いてるのがポイント高い。
水はすぐ裏の井戸から汲めるそうだ。
2階には小部屋が3部屋ある。
あと屋根裏にも小さな部屋があるようだ。
「いいだろう。家賃はいくらだ?」
「月にユロア金貨2枚でどうだい?週に一度掃除もしてやるよ」
「高いな。2ヶ月で金貨3枚でどうだ」
「お話にならないね。まけにまけて月に金貨1枚と銀貨40枚だね」
週に一度の掃除付きで月の家賃が18万円、ってことか。
正直思ったより安いけど、今日は散財してるから値切ってみた。
半年だと108万円で金貨10枚と銀貨40枚になるな。
1枚10万円の金貨の次が1枚2000円の銀貨しかないところが不便だ。
とりあえずここはもうちょっとだけ値切っておくか。
「週に一度の掃除付きで、半年間まとめ払いでユロア白金貨1枚でどうだ?駄目なら他所をあたる」
「あんた頭が回るねえ。そういうのは嫌いじゃないよ。いいだろう、今すぐ払えるかい?」
よかった、敷金とか礼金っていうのはこの世界にはないみたいだ。
正直そんなの面倒なだけだもんなあ。
銀貨40枚、8万円相当を値切って契約することにする。
僕は大家のばあさんに白金貨を渡した。
これで残りの白金貨は5枚になった。
「どうやら本物のようだね。なかなかお目にかかれる代物じゃあないからねえ」
「ばあさん、オレが言ったとおり金払いがいいだろ?いい客連れてきたんだから手数料寄こしなよ」
「ふん、仕方ないねえ。ほらよ」
大家のばあさんは三日月に金貨を2枚渡した。
「へへ、今日は儲かったぜ。毎日こうだといいのにな」
っていうかお前さっき僕からも金取ったろ!
毎日取られてたまるか!
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