第15話「仮面の傭兵」
毎日2話投稿の8日目です。
今回はネタ回ですw
僕はバルハムントの街に出た。
街はずれの目立たない場所で待ち合わせている。
約束の場所に着いた時にはすでに三日月が待っていた。
「待たせたな、三日月」
「いいや、オレもさっき着いたところだよ」
言葉を交わした後、三日月の後について近くの店に入る。
どうやらここが三日月が馴染みの店らしい。
「いらっしゃい――」
扉を開けて店に入ると、奥に座っている小柄な老人が陰気な声で出迎える。
店内には所狭しとさまざまな仮面が飾られている。
「ここなら種類も豊富だし、情報が漏れる心配もない。オレのお勧めの店だ」
三日月が言う通り、種類が多すぎて迷うな。
「あんたはどんな仮面がいいんだ?まずはその目立つ傷を隠さないとな」
そうだ、この頬の傷は隠さないと。
そのためには大きめの仮面がいるな。
フルフェイスはジェイソンみたいだから却下。
アメフトみたいなヘルメットタイプもあるけど世紀末のダメ三男みたいだからこれも却下。
やっぱり顔の上半分、鼻まで隠す感じの金属製で、色はシルバー。
目の穴は悪役っぽく細めの鋭い感じで開いてる奴がいい。
そんな感じで探しているとちょうどいいのがあった。
「それなかなか似合うじゃないか。いいんじゃないのか?」
三日月もそう言うので、これに決めた。
素材はスターリングシルバーという銀の合金だ。
彫刻でちょっと飾りが入っていておしゃれだ。
その分ユロア金貨3枚とお高いけど、悪役は身なりに気を使わないとな。
今日はたっぷりと軍資金を持ってきたから大丈夫。
その場で着けるための革紐も付けてもらってお持ち帰り。
というかここで着けて行く。
なぜここで着けるかというと、これから冒険者ギルドに登録に行くからだ。
これで今日から僕も冒険者の仲間入りか。
ワクワクするな。
ギルドの建物に入ると、そこは一見酒場のような雰囲気。
大勢の冒険者たちが大声でワイワイと話し合っている。
奥にはいくつかのカウンターがあり、そこで依頼を受けたり報告したりするようだ。
ピカールが言う通り冒険者のほとんどはいかがわしくて粗野な感じの男たちだ。
「登録はこっちだぜ」
三日月に連れられて一番奥のカウンターへ向かう。
部屋を横切ると顔見知りだろう、テーブルの男たちが三日月に声を掛ける。
「三日月、仲間連れとは珍しいじゃねえか。見ない顔だな。しかしお揃いで仮面とはねえ」
「お前の新しいコレかあ?今度俺のお相手もしてくれよ」
三日月はそんな野卑な声にも全く耳を貸さず通り過ぎる。
「ここが登録カウンターだ」
カウンターにはやる気のなさそうなお姉ちゃんが座っている。
「新規登録の人ぉ?だったらこの用紙にぃ名前と得意な武器、魔法、年齢、職業を書いてねえー」
名前、名前か。
考えてなかったな。
カルロと書く訳にはいかないからな。
先に他のところから書こう。
試験でも分かる所からやるのは鉄則だし。
武器はバスタードソードに片手剣、両手剣も可。
得意な魔法は火属性の魔法。
かなりのノーコンなのは内緒。
年齢はちょっと上にサバ読んで25歳。
職業は傭兵、っと。
あとは名前だな。
うーん、悪役で銀の仮面と言ったら「ヒ〇メス」とか。
頬にやけどじゃないけど傷があるし。
それじゃ「偽ヒル〇ス」の方になっちゃうな。
いやいやいや、っていうかそれはさすがにまずいだろう。
それじゃあズバリ過ぎる。
「銀仮面卿」ってのも冒険者っぽくないし。
じゃ、じゃあ、やっぱり主人公のライバルで仮面キャラと言えば……「シ〇ア」か?
やっぱり仮面キャラなら種より1stだろ。
「見せてもらおうか、勇者の性能とやらを!」とか言ったりして。
でもさ、さすがにそれはあまりにあれだよな。
だったら「赤い彗星」これなら固有名詞じゃないし、いけるんじゃね?
でも僕どこも赤くないし、自分で「俺は赤い彗星だ」とか言うのもなあ。
あ~、悩む、悩むぞ!
「早くしろよ!後ろつかえてんの見えねえのかよっ!」
死ぬほど悩んでいると、後ろから怒鳴られて驚いた。
振り返ると高校生ぐらいの兄ちゃんがめっちゃ怒ってる。
なんか気合の入った髪型をして、僕の苦手なタイプだ。
やばい、早く書かないと。
どうしようどうしようどうしよう。
焦ってつい書いてしまった。
「暁」と。
ぐわあああああああ
僕が暁になってどうする。
謎の仮面の傭兵「暁」の正体はカルロ。
良く分からない話になってるじゃないかあああ。
「はーい暁さん、これで書類は大丈夫でぇーす。30分ほどで登録証が出来ますのでお待ちくださーい」
お姉ちゃんがやる気がなさそうに受け取る。
後ろの兄ちゃんは僕にめっちゃガン付けながらカウンターに向かった。
「アンタ暁っていう男を探してたんじゃないのか?自分で暁って名乗っていいのか?」
三日月、それは聞かないでくれぇ。
30分ほどして、冒険者登録証が出来上がった。
見事に仮面の傭兵、暁の誕生だ。
もう僕は開き直った。
「俺が暁として名を上げれば、それを聞いた本物の暁が来るかもしれないだろ?」
「なるほど、考えたなアンタ」
三日月は感心してくれたけど、なんかもう絶対にそうならない気がするね。
これはただの作者の勘ですけど。
僕の準備が出来たら試しにダンジョンに潜ることにして、決まり次第連絡すると約束した。
ギルドを出て三日月と別れ、僕は一人で街を歩く。
謎の仮面の傭兵、暁として。
向かっている先は鍛冶屋だ。
実はこのバルハムントの街には伝説の鍛冶屋がいる。
将来、勇者の剣を鍛えることになるドワーフの鍛冶屋だ。
これは僕が自分で書いたことだから間違いない。
途中の酒屋で「ホビットの火酒」という特別な酒を買う。
その鍛冶屋は頑固だが、この酒に目がない。
これも僕がそう書いたんだから間違いない。
人に道を尋ねて、目的の鍛冶屋に着いた。
小屋の中でガンガン金属を叩いている小柄で長い髭の男。
これが伝説の鍛冶屋、モーハンだろう。
「すまない、モーハンという男を探してきたのだが」
「モーハンは俺だが、何の用だ?」
「バスタードソードを一振り作って欲しい」
「すまんが今は注文が手いっぱいでな。また来てくれ」
やっぱりこの人頑固だなあ。
そう簡単には引き受けてくれそうにない。
ここで例の酒の出番だ。
「これ、つまらないものだが受け取ってくれ」」
「おいおい、これは俺の好物じゃないか。くれるのか?」
「ああ。これでも飲んで憂さを晴らしてくれ」
「ありがとよ。で、あんたどんな剣が欲しいんだ?」
ムフフ、イチコロだな。
「バスタードソードで片手でも両手でも使える奴だ」
「ほう、このご時世に珍しいな。魔法でも使うのかい?」
そう、実はこの世界では片手剣と盾か、両手剣のどちらかが主流だ。
なぜかというと、剣を使いながら魔法を唱える魔法戦士は非常に稀だからだ。
魔法を使うには最低片手を開けなければいけないので、盾は持てない。
「で、素材はどうする?青銅が一番安くて次が鉄。鋼は高級品だ」
「そんなものが欲しけりゃあんたの所には来てない。オリハルコンがあるだろう」
「あんた、何でそれを知ってるんだ?」
伝説の金属、オリハルコン。
ファンタジーの世界ではミスリルと並ぶ希少金属だ。
ただ硬いだけでなく靱性にも優れ、しかも魔法との相性がいいことで知られる。
後に勇者もここでオリハルコンの武器を鍛えてもらうことになるんだ。
「ちょっと風の噂でな。あるんだろ?」
「あるにはあるが、高えぞ」
「かまわん。いくらだ?」
「白金貨10枚もらおうか」
どわあああ!
出ました、伝説の白金貨、しかも10枚。
つまり金貨だと100枚、日本円換算で1000万円ですよ。
驚いたけどそれを表情に出さないように必死に耐える。
ここでびびっちゃあ男がすたる。
「構わん、造ってくれ。今日は手付で金貨10枚置いていく」
「おう、それでいいぞ。一週間ほどで出来上がるから取りに来てくれ。残金を忘れずにな」
ご愛読ありがとうございます☆
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