第14話「三日月」
やっと仮面の傭兵(巨○)の登場です。
このキャラの構想は一番初めからあって、一番書きたかったキャラでした。
謎の仮面の傭兵で、しかも巨○美女……惹かれるのって俺だけですかね?w
「カルロさま、お帰りなさいませ。その方たちは?」
僕はミレアさんとルチアちゃんを白王に乗せ、三日月を連れて屋敷に帰った。
出迎えてくれたメイドのレイナにメイド頭のメリッサと執事のピカールを呼んでくれるよう頼む。
「あんた、領主さまだったのかい。驚いたな」
仮面の傭兵、三日月が僕を見て唖然とした口調で言う。
ここが領主カルロの館だという事を知っていたらしい。
「りょ、領主さま……?!」
ミレアさんはそれを聞いて固まってしまっている。
驚かせちゃったかな。
「言わなくてすまなかったな、領主のカルロ=ド=メリチだ。メリッサ、この二人を頼む。怪我をしてるんだ」
やって来たメリッサに恐縮するミレアさんとルチアちゃんを任せて、三日月を連れて執務室に入った。
部屋に入るなり三日月が僕に詰め寄ってくる。
「おい、あんたが領主だろうと約束の物は払ってもらうからな。今さら払わないとかまけろとかは無しだぜ」
詰め寄ってくるから少し目線を下げるとすぐ眼の前に二つの丸い山が見える。
なんて見事な丸み、これこそ地球が造り上げた奇跡だ。
これは寄せて上げて出来てるんだろうか、それとも天然ものなんだろうか。
チェリーな僕にはそれを見分ける鑑定眼がない。
「おい、あんた、聞いてるのか?!」
ああ、つい山に気を取られて聞いてなかった。
なぜ山に登るのか、それはそこに山があるからだ。
「あんた、いい加減にしろよ!」
「カルロ様、お呼びでしょうか」
三日月が本気で怒りだした時、いいタイミングでピカールが入ってきた。
「ピカール、すまんがユロア金貨を5枚持ってきてくれ。悪党どもに襲われたところをこの者に助けられてな、報酬を約束したんだ」
「かしこまりました、では直ちにお持ちいたします」
ピカールが頭を下げて出て行くと、三日月は急に機嫌が良くなった。
「払ってくれるんならいいんだよ。しかし領主さまとは驚いたぜ。金払いがいい訳だよな」
「三日月と言ったな、傭兵をやっているのか?」
「そうだよ。一匹狼の傭兵をやっている。さっきも言ったが『傭兵の三日月』と言えば腕が立つと評判さ」
「金になることなら何でもやるのか?」
「ああ、そうだ。領主さまも何か人に言えない仕事なんかがあれば引き受けるぜ。ただし金次第だがな」
うーん、どう考えても暁のキャラクターにそっくりだ。
そこへピカールが小袋を持って戻ってきた。
「お待たせいたしました」
カルロから受け取った小袋を三日月に渡すと、中から金貨を出して確かめている。
偽金なんか渡さないって、カルロはそんなケチな悪者じゃないんだ。
「ピカール、俺はこの者と話がある。しばらく二人きりにさせてくれ」
「大丈夫なのですか?」
「心配ない。しばらく人を入れないように頼む」
「かしこまりました」
ピカールが出て行くと、三日月は急に警戒したように話し出した。
「なあ、オレがいくら女で金の為なら何でもするって言っても、そういう事はしないからな」
そういう事ってなんだよ。
カルロは悪役だけど、中の人はチェリーなんだからそんなこと出来ないよ。
あ、中の人なんていません。
「分かっている、そういうつもりで人払いをしたんじゃない。女に不自由はしてないしな」
不自由ってなんだ、僕はいつ自由になれるんだろう。
強がったけどつい哲学的な悩みに迷い込みそうになる。
「そうか、そりゃあそうだろうな。で、オレに何か用か?」
「ああ。『暁』という男を知らんか?同じように仮面を付けた傭兵なんだが」
「傭兵の暁?オレと同じ仮面だって?なんだその偽物臭いのは。オレはそんな奴聞いたこともないな」
やっぱり知らないか。
となるとこの三日月が暁の代わりのキャラっぽいな。
どこでどう間違えたのかしらんが、この山々があるからまあいいとしておこう。
山は素晴らしい、いつかその頂きの景色が見てみたい。
なんだか僕もすっかり山男の気分だ。
「それならいい。三日月、俺は近々ダンジョンに潜ることにしている。その時に手を貸してくれないか?」
「ちゃんと金は払ってくれるんだろ?だったら喜んで付き合うさ。あんたほど金払いのいい客はいないからな」
三日月は嬉しそうに答える。
いい儲け話だと思っているようだ。
「ついてはひとつ相談なんだが、人に知られずに冒険者としてギルドに登録する方法はないか?こういう立場だと何かとうるさくてな」
「そっか、あんたみたいな人が冒険者になると人目を引いて仕方ないもんな。うーん……」
三日月はしばらく悩んでいたが、思い付いたように言う。
「そうだ、オレみたいに仮面をつけたらどうだ?それで偽名をつかえばバレることはないだろ。仕事を聞かれたら傭兵だってことにすればいい。そうすりゃ調べようもないからな」
なるほどな、それならピカールにバレる心配もなさそうだ。
しかも仮面をつけるなんて悪役っぽくてカッコいいかも。
「名案だな、それで行こう。いいアイデアだ。礼を言う」
「いいってことよ!あんたが行けなきゃオレも金にならないからな」
三日月は笑って上機嫌だ。
本当にお金が好きなんだな。
そんなに稼いで何に使うのか、そのうち聞いてみよう。
あと仮面をつけて素顔を隠している理由も。
余計な事を聞くなって怒られるかな?
僕が冒険者ギルドに登録する時は三日月が付いてきてくれる事になった。
仮面を買うのに愛用の店も紹介してくれるそうだ。
お得意様へのサービスらしい。
三日月が帰ったあと、メイド頭のメリッサがミレアさんを連れて来た。
左手を包帯で釣っているのが痛々しい。
ルチアちゃんは疲れ果てて寝てしまったようだ。
ホッとしたんだろうな。
「カルロさま、この度は私と娘の命をお助け頂きありがとうございました」
ミレアさんが深々と頭を下げてお礼を言ってくれる。
「気にしなくていい。偶然通り掛っただけだからな。それより傷の具合はどうだ?」
「お陰さまでお医者さまに手当てをして頂きました。元通り動くようになるとの事で、ホッとしております」
「それは良かった。それで、この後はどうするつもりだ?親戚の者を頼ってきたと言っていたな」
「それなのでございますが、カルロさま」
ミレアさんは僕の顔を真剣な表情で見つめる。
「もしよろしければ、ここで私を使ってはいただけないでしょうか。今は怪我をしておりますが、家事は得意です。傷が治ればもちろん、それまでもできる限りの事は致します。ルチアにも手伝いをさせます。私とルチアをなにとぞここに置いて下さいませ」
えっと、困ったな。
こういう展開は予想してなかった。
どうしたらいいのか分からなくてメリッサを見る。
「カルロさま、私はよろしいかと思います。話をしたところ物覚えも性格も良さそうですし、身の上も同情すべきところがあります。カルロさまのお世話をするのに私とレイナだけでは行き届かないところもありますので、近々人を探そうと思っていたところですし」
「そうか、メリッサがそういうならいいだろう。ただし一つ条件がある。ルチアをちゃんと学校で学ばせることだ。金は俺が出す。手伝いは学校の勉強以外の時間にすればいい。その条件でよければここで働くといい」
「か、カルロさま、ここに置いて頂けるのみならず、ルチアを学校にまで……有難うございます。心よりお仕えいたします」
あれ、ミレアさん泣いちゃってるよ。
それだけ不安だったんだろうし、ルチアちゃんを学校に行かせることができて嬉しいのかな。
悪役としてはちょっとあれだけど、子供の教育は大事だ。
まあこれから悪役らしくいびってやればいいだろう。
「ではメリッサ、ミレアとルチアに部屋を与え、生活に必要なものを買いそろえてやってくれ。ミレア、その分はお前の給料から引いておくからな」
「有難うございます、メリッサさま、よろしくお願いいたします」
僕は悪役だからな、そこはきっちり天引きさせてもらうよ。
ブック―マーク&評価有難うございます!
これから頑張って生きていこうという元気が出ますw
盛り上げていきますんで応援よろしくです!




