第11話「火竜」
1日2話投稿の6日目です。
やっと魔法が使えるようになります☆
「では最初は火の魔法から教えてもらおうか」
「いいですよ。さっきも言ったように火の魔法では、燃える物と熱を精霊の力を借りて造りだすんです。その為には火の精霊の存在を感じること。やってみますね」
クノップは手のひらを上に向けて瞑想をし始める。
ゆっくり呼吸して集中しているようだ。
「目を閉じて、大気中にいる炎の精霊をイメージして呼ぶんです。たいていは小人の姿をしてる」
真似をして、目を閉じて手のひらを上に向けて瞑想する。
炎の精霊よ来い、炎の精霊ちゃん寄っておいで……
しかし全くなんの気配もしない。
「だめ? 難しくはないはずですが。才能ないのかな?」
グサッ。
何をやってもだめだ、才能がないとけなされていたあの辛い現実の日々を思い出してブルーになる。
ああ、ダメだ、僕は自分が作者として造りだした世界の中でさえもダメなのか。
思わずカルロから素の自分に戻って落ち込む。
「そ、そんな落ち込まなくても大丈夫です。今度は手の上に炎を乗せるイメージでやってみて」
あまりの落ち込みようにクノップが慌てて励ましてくる。
なんとか気を取り直して、言われたようにやってみる。
するとイメージの中に突然真っ赤なトカゲが出てきた。
「うをっ!?」
驚いて目を開けると、手のひらの上に3センチほどの小さなトカゲが載っている。
イメージ通りの真っ赤な色だが目がくりっとしてちょっと可愛い。
ただ全体的にぼんやりしていて、触っている感触がない。
「どう、何か感じれた?」
「感じた、というより手の上に赤いトカゲがいる」
クノップに聞かれたので、ありのままを話す。
「またまたぁ、いいですよ、強がらなくても。何も感じなかったんでしょ?バカにしないからホントのことを言って下さいよ」
クノップがニヤついて言ってくるのがムカつく。
ネコ耳がぴょこぴょこ動くところも腹立つ。
僕は別に嘘なんかついてないし。
「そう言われても今も手の上にいる。見えないのか?」
「え、本当にいるの?!トカゲってまさかサラマンダーじゃないですよね!っていうか初めてでそんなのありえないし」
お前、サラマンダーなのか?
どう見てもただの小さいトカゲにしか見えないんだけど。
「お前、姿が見えるようにはできないのかな」
そう言った瞬間、それまでぼやけていた輪郭がはっきりして、手のひらに感触が伝わってきた。
ううう、ちょっとこそばゆいし、こうなるとちょっと爬虫類感が出てくるなあ。
「ほんとだ……」
トカゲを見たクノップは驚いて口が開いたままだ。
ほらほら猫耳娘、よだれ垂れるぞ。
「これって間違いなくサラマンダーの子供ですよ。まだ小さいけど。でもいきなりサラマンダーを呼び出すなんて……」
クノップはまだ信じられないようだ。
しばらくトカゲを茫然と眺めていたが、気が付いたように目を瞬くと僕の方を向いて真剣な表情で話しだした。
「魔法は光と闇を除くと火・水・風・土の4種類ですよね。これは四大元素、っていう考え方からきているんです。火と水と空気と土」
四大元素って古代ギリシャ・ローマからイスラム世界、中世ヨーロッパまで支持された考え方だっけ。
「四大元素には四精霊といって、それを司る霊がいます。水はウインディーネ、風はシルフ、土はノーム、そして火はサラマンダー」
おお、僕の小説で勇者は精霊ウインディーネと契約を結んで水の魔法を使うんだ。
ウインディーネって四精霊の名前だったのか。
ティン○ーベルみたいなイメージでつけたんだけど。
作者が勉強不足ですいません。
「サラマンダーは火の四精霊だから当然かなり上位の精霊です。火の精霊には炎魔人とか不死鳥とかもっと上の存在もいるけど、いきなり呼び出せるようなものじゃありません」
どう考えてもこれも作者補正だよな、いろいろズルくてすいません。
「まだ子供みたいだけど、魔力を吸収したら徐々に成長していくと思う。慣れてるみたいですしね」
うん、どう見ても懐かれてるな。
手の上でめちゃめちゃリラックスしてるし。
「問題はここからですよ。上位の精霊と契約すると、それだけ強力な呪文が使えるのはさっき言った通り。でもそれにはデメリットもあります」
デメリット?
「うん、精霊と契約を結ぶと、他の系統の魔法は使えなくなります。ボクが低位魔法を組み合わせて威力を上げる研究をしているのも、それが理由です。そうすれば上位の精霊と契約を結ばなくてもいいから4系統の魔法が全部使える」
なるほど、そういう事か。
「どうします?そのサラマンダーと契約すれば火の魔法は使えるようになります。それが大きくなればかなり強力な魔法も使えると思う。その代わり、他の魔法は使えなくなりますけど」
うーん、ここはちょっと悩みどころかな。
でも正直それほどたくさんの魔法を覚えたいわけじゃないし、勇者が水魔法を使うことになるからライバルのカルロが火の魔法を使うのはいいかもしれない。
どうせ最後は勇者に負けることになるわけだから、相性が悪い方がいいよな。
「クノップ、こいつと契約するにはどうすればいいんだ?」
「簡単ですよ。名前を付けたらいいんです。その名前を精霊が受け入れたら契約は成立。契約しますか?」
「そうだな、火の魔法が使えるだけでいいだろう。俺は魔法使いじゃないしな」
「そっか、だったらその子に名前付けて下さい。よっぽど変じゃなきゃ懐いてるから大丈夫でしょう」
うーん、トカゲの名前かあ。
こいつはサラマンダー、日本語でいえば火竜かな。
火竜といえば、そう、やっぱりリオレ……以下略。
「決めた。お前はレウス、火竜のレウスだ。どうだ?」
僕がそう言うとトカゲはこっちを向いて、その瞬間光ったと思うと消えた。
「失敗か?」
「違うと思いますよ。名前を呼んでみて」
「レウス!」
僕が名前を呼ぶと、僕の右肩にトカゲが出てきた。
「ほら、気に入ったみたい。契約成功ですね」
「なるほど、じゃあ今日からお前はレウスだ。ハンターに狩られないように気を付けろよ」
クノップには分からないネタだったな。
「普段精霊は目に見えないけど、いつもカルロさんのそばにいます。心の中で呼びかけても出てきますから」
なるほど、携帯ペットみたいなものか。
僕の魔力で育つって言ってたから、エサ代が掛からないのはいいな。
「精霊も手に入ったことだし、炎の魔法を練習してみしょうか。まず初めはファイヤーボールの呪文から」
魔法の練習のためにまずは外に出た。
木造の小屋の中で火の魔法使ったら危ないもんな。
良く分からないままにクノップのやることをそのまま真似てみる。
「さっきも言ったように精霊から力を借りて、空気中に燃える基となる物を造ります。片手でこうやって印を結んで、集中して」
んじゃ集中するために目をつぶって、レウスよ力を貸してくれ……。
印はこんな感じだったかな。
で、空気中に燃える物で出来た玉を造る。
可燃性ガスの球、って感じかな。
「出来たらそれに熱を加えて、燃え上がったら目標に向かって放つイメージで『ファイヤーボール』と唱えて。目標はあの杭がいいかな」
レウスそうだ、いいぞ。
その球に熱を加えて剛速球を投げるイメージで。
そうだな、時速160キロ越えのストレート!
『ファイヤーボール!』
そう唱えて腕を振った途端、まさに炎の球が剛速球で飛び出して目標の杭にぶつかった。
杭は見事に木端微塵、跡形もない。
「またいきなり、しかもそんなスピードの火球が出せるなんてありえないし」
猫耳娘は驚くというより呆れて横目でこっちを見てる。
なんかもう、いろいろとすいません。
今日も2話目の投稿は10時過ぎの予定です。
よろしくお願いします!




