アフターストーリー.1 新しい物語
完結済み設定から、連載中設定に戻しました。 不定期でアフターストーリーを投稿していきます!
〜レオ視点〜
あれから、いくつもの月日が流れた。
街から王都までの平原を馬を駆って馬車を引かせる。
アリス妃とルイス陛下の断罪の時の特別手当に加えて、経済が回復したこともあって、俺たちは馬と馬車を購入した。貴族が乗るような豪華なものじゃないし、屋根のない幌馬車だ。
それでも、リアカーよりも多くの荷物を運べるしスピードもある。サラブレッドのようなスピード型ではなくて道産子のようなパワー型だけど、荷物をガッツリ積んでも2日もあれば王都と街を行き来できる。
「ねね、おとうさま。 まだ、まだ?」
「ぼくもーつかれたぁ。 かあさまぁ〜」
今年で六つになった長女のフリーダは、ちょっぴり頬を上気させて王都に着くのが待ちきれないといった様子でそう尋ねてくる。
対して、今年で四つになる長男クルトはぶーたれている。 時間的にそろそろ眠いのかもしれないね。 4歳が近くなってある程度の分別は着くようになったけど、それでも王都への馬車の旅はまだキツイようだ。
騒動の後、ミリーは街に戻ってすぐに一人目の妊娠が発覚した。 なかなか妊娠しなかったミリーだったから、出産のリスクがあるのかもしれないと前世の医学知識に加えて今世の医学書も散々読み漁った。
まぁ、結果から言えばご覧の通り。
「もう少しだよ」
「わぁーい!」
「ほらほら、クルトちゃん。 母様の膝の上にいらっしゃい?」
「はぁーい!」
「あ、でもターナちゃんとアルフちゃんを起こしちゃダメよ?」
「はーい!」
母子ともに健康そのもの。
むしろ安産型だったようで、子供はメチャクチャ多い。……いや、無計画で子供を作りまくったわけじゃないよ?
養う余裕もしっかりあるし、増築した我が家ならあと2、3人なら子供が増えても余裕。
というわけで、子供が増えても大丈夫です!
ちなみに、今のウチの家族構成は次の通り。
当然、父と母である俺とミリーは説明しなくても大丈夫だと思う。
まずは今年で六つになった長女の『フリーダ』、もうすぐ四つになる長男の『クルト』。
2歳の次男『アルフレッド』と、やっと半月になったばかりの次女『ターナ』はそれぞれミリーの隣と腕の中でグッスリだ。
ま、要するに2年おきに4人子供を授かっているわけだよね。
子供たちの相手をしながら馬を操っていると、あっという間に王都にたどり着く。
今ではもうすっかりと通い慣れたルーデイン公爵家の門をくぐる。 もう顔パスである。
門を入って馬車を少し進めると、屋敷の入り口で使用人さんたちに出迎えられる。
「うむ、よく来たな。 フリーダ、クルト、アルフ、ターナ、ミリー、レオナルド」
「うわぁ〜い! おじぃさま〜!」
ルーデイン公爵、義父さんを見るなりテテテーっと走り出すフリーダ。 人懐っこいフリーダは今日も元気いっぱいだ。
対する義父さんの方はやはり少し老けただろうか。 以前よりも目尻のシワが増えたよう気がする。 まぁ、この1年くらい、ミリーが妊婦さんだったりターナが生まれたばかりだったりでしばらく会えていなかったのだ。 少し老けたくらいでは驚くほどでもないね。
「こら、フリーダ。 走ったら危ないですよ?」
「は〜い……」
そしてミリーにやんわりと咎められてシュンとなる。
親子共々、表情豊かで可愛いぞ〜。
「ははは、いいではないか、 子供は元気なのが一番だ。 よしよし、フリーダはミリーと似て美人になるな〜」
「えへへ〜。 でも、わたし、おとうさまみたいにカッコよくもなりたいの〜」
義父さんに撫でられて嬉しそうにはにかむフリーダ。
うんうん、我が娘ながら可愛いぞ。
「お久しぶりですね、お義父さん。 お元気そうでなによりです」
「お久しぶりです」
俺、ミリーの順で挨拶をする。
ちなみに俺は右手をクルトと、左手をアルフと繋いでいる。 ミリーはターナをしっかりと抱きかかえている。
子だくさん家族の典型みたいな感じだね。
「うむ。 皆、息災なようで何よりだ。 さ、中でアルティたちが待っているぞ」
俺たち全員の顔をしっかりと見てから、お義父さんがそう言って家の中に促す。 その進む先には道の両脇にズラッと使用人さんたちが並んでいる。 ……やっぱ貴族ですね。
「はい、ありがとうございます」
「お邪魔しますね、お父様」
「「「おじゃましま〜す!」」」
ちびっ子たちも、両方のおててを上げて元気よく挨拶をする。
流石のフリーダも家の中では走り出そうとせず、先導する案内役のメイドさんの後をルンッという足取りで進んでいる。 彼女のお祖母様と叔父さんに会えることももちろんだけど、彼女の足取りをこんなに軽くさせているのはもう一人の待ち人だろう。
しばらく歩いたところで、さほど大きくない部屋にたどり着く。 これが公式な面会などならば応接室や大きなダイニングなどを使うのだろうけど、親戚同士の面会ということでこの部屋を使うのだ。 それにこの部屋は───
「フリーダ姉様♪」
「ヴァル〜!」
───扉を開けるなりピトっとフリーダに飛びついた金髪の美少年、ドランヴァルトの部屋だ。 フリーダよりも一つ年下、クルトよりも一つ年上の彼はハルト義兄さんの一人息子であり、将来のルーデイン公爵である。
「おっひさっしぶり〜、みんな」
「お久しぶり。 ミリーさん、レオナルドさん」
「お久しぶりです、お兄様、お義姉様」
「久しぶり、ハルト義兄さん、スフィアさん」
そしてドランヴァルトの後ろに佇むのは、ハルト義兄さんと彼の奥さんとなったスフィアさんだ。
スフィアさんは元々のハルト義兄さんの婚約者で、“ヒロイン”の事件でもハルト義兄さんに愛想を尽かさずにただじっと耐えていた女性だ。 ハルト義兄さんが正気に戻り、しばらくしたのちに二人は正式に結婚した。 その間に生まれたのがドランヴァルトだ。
その後は彼を隣で支えつつ本人も社交界に出向いたりと、本当にミリーと同じく素晴らしい女性である。 彼女の忍耐力と心の広さはミリー以上かもしれない。
「お久しぶり、二人とも元気そうで何よりだわ。 その子がターナちゃん?」
そう問いかけてきたのは俺の義母であるアルティミシアさん。 もう5人の孫がいるというのに、この人は相変わらずの美しさである。 三十代後半と言ってもまだ通用するだろう。
……ミリーのチートぶりの一端は確かにこの人にありそうだ。
「はい。 先日生まれた次女のターナです、お母様」
「あぅあ〜!」
「あらあら。 うふふ、元気ね」
「うふふ、この子を見てると私も二人目を欲しくなりますね」
元気に挨拶をするターナにお義母さんは頬を緩める。
三世代に渡っての美女4人がふんわりと微笑み合っている様は、見ていて心がほっこりする。
なんてことを考えつつ、ハルト義兄さんと談笑をしているとフリーダが絵本を抱えて走ってきた。
あれはフリーダのお気に入りのやつだ。
「おとうさま、おとうさま、この本読んで〜?」
「ん、いいよ」
ハルト義兄さんに一言断ってから、子供達の方に向かう。
「みんなも一緒に読もうね〜」
「はい、ねえさま」
「「はーい」」
こちらの4人も仲が良さそうだ。
あれから、いくつもの月日が流れた。
俺たちはあの日と変わらず、いやそれ以上に幸せだ。




