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物語の裏側で  作者: ティラナ
第一章
22/105

第20話 デート:その1

デート回突入です!

 



「レオ様、この服などはどうでしょうか?」


「うん、すごく似合ってるよ。 ミリーの髪色とよく合っていると思う」


「では、こちらは?」


「うーん……。 そのデザインならこの色の方がいいと思うな」


「なるほど、こちらがお好みなのですね」



 絶賛デート中でございます、はい。

 俺たちが今いるのは街の中の服飾店。 イレースちゃんの家の店よりもカジュアルめのものが多く、お値段もリーズナブル。


 いまミリーが当てがっているのは、白と黒を基調とした落ち着いたデザインの服。

 白と黒とは言ってもスーツなどのようにキッチリカッチリとした堅苦しいものではなくて、前世で言うところの高校の制服みたいに真面目な雰囲気を残しつつも、可愛さもしっかりと共存しているものだ。

 上は白のブラウスに黒のカーディガンを合わせて、下は黒のプリーツスカート。 これにローファーを合わせれば高校に紛れ込んでもバレないかもしれない。

 ……もちろん、ミリーほどの美少女がその美しさを隠して紛れ込むのは至難の技だから、あくまでの服だけの話。



「あ、ミリー、この服とかどうかな?」


 俺はたまたま目に入ったワンピースタイプの服をミリーの元に持っていく。 ぱっと見で、ミリーに似合いそうな気がした。


「とっても綺麗です」


「ちょっと待っててね……。 うん、やっぱりミリーの可愛さを更に引き立ててくれてるね。 すっごく可愛い」


 ワンピースはわずかに艶のある水色の生地で出来ていて、装飾のないシンプルなデザインだ。

 しかし、それもミリーが身に纏うことによって物語のお姫様のドレスのように早変わりする。

 肘までをゆったりと覆い隠す袖。 膝の少ししたのあたりまでの裾は歩きやすさなどを意識したものなのだろうが、完全に覆い隠すでもなくかと言って露出するわけでもないことで不思議な色香を醸し出している。

 ミリーの短くなった髪と合わさることで、気品を漂わせつつも近寄り難くない、明るく華やかな印象になる。

 纏うオーラは『学校一の高嶺の花』のようだとでも表現すればいいのか。 親しみを覚えつつもみんなが憧れるような感じだ。 もちろんミリーは学校に一人どころか国内で数人の美少女だが。

 この服が、国内最高峰の職人をかき集めてミリーのためだけに作ったと言われても納得できるくらいに似合っていた。

 そして最高に可愛い。


「それでは、これとこれと、あとレオ様がいま選んでくださったものでお願いします」


「3着で大丈夫? もう少しあった方がいいんじゃない?」


「いえ、女将さんにいただいた分もありますから。 それに私はもうこれだけで心がいっぱいです」


「うーん。 ミリーがいいならいいんだけど。 まぁ、必要だったらまた今度買いにくればいいね」


「はい!」


「それじゃあ、お会計を済ませてくるね」


 ミリーから洋服を受け取ってレジ───とは言ってもレジスターがあるわけではなく、ウチと同じようにカウンターがあるだけだけど───で会計を済ませる。

 ちなみに我が家のお財布は俺が握っている。 まぁ、今後はその辺りも話し合って決めて行こうと考えているのだが。


 買った服にシワがつかないように気をつけながら、持ってきた袋にしまう。 ビニール袋のない今世だとマイバッグは当たり前なのだ。 エコだね。


「お待たせ」


「いえ。 ありがとうございます」


「ん、どういたしまして。 さて、次はどこに行こうか?」


「あ、あのっ、レオ様」


「ん?」


「その、し、下着。 下着を買って参りますので……その、少しだけ外していただいてもよろしいでしょうか……?」


「え、あ、わ、わかった。 じゃあ、お財布も渡すから、気に入ったのがあったら買っちゃっていいから」


「は、はい。 ありがとうございます」


 それから10分弱。

 できるだけ視野を狭めて、ミリーが視界に入らないように努めた。 逆ならまだしも、正直こんな努力初めてだ。

 まぁ、カラフル……とまではいかなくても、それ用の布を持ったミリーを視界に入れたらマズイだろうと、ミリーの方に泳ぎそうになる視線を必死に戻した。 完全に挙動不審だ。


「あの、お待たせいたしました、レオ様」


「え、だ、大丈夫、だよ。 早かったね」


「はい。 あらかじめ目星は付いていましたので」


「そ、そっか。 ……次はどこに行こうか!?」


「そろそろお昼ですし、何処かでお昼ご飯をいただきませんか?」


 ミリーに言われてみて時計を見ると、11時半くらいを指していた。

 昼飯時には少し早いかもしれないが、あと三十分もすれば料理屋以外はほとんどが閉まるから他の店に買い物に行くのは厳しい。


「そ、そうだね。 それじゃあ、たまには女将さんのお店で食べようか。 あそこの飯、結構美味しいんだよ」


 せっかく外出したんだから、外食をするのも悪くないだろう。

 ミリーがやって来る前は割と頻繁に女将さんのお店にお世話になっていたのだが、自分で作った方が安いし、ミリーがあまり外出できないからという理由で最近は行っていなかった。


「いいですね。 パーティーのときはあまり食べられませんでしたし」


「あ、そういえば あの時も並んではいたね」


「はい。 見たことのないものもあったので興味があったのですが……」


「はは、それなら今日それを頼んでみようか。 女将さんに聞けばなんの料理かわかると思うし」


「はい! 楽しみです」


 うんうん。

 ミリー可愛い。


 バッグを持っていない方の手で、ミリーの髪をそっと梳く。

 前よりもボリュームが減っているけどもウェーブは健在で、サラサラとフワフワの絶妙なバランスが気持ちいい。


「ぅん……」


 ミリーも気持ちいいのか、熱っぽい声を漏らす。 それが嬉しくて、手の動きに撫でるのも追加する。


「ミリーの髪、とっても気持ちいいよ」


 ミリーの目を見て微笑みかけながらそう言うと、ミリーも桃のように頬を薄っすらと赤らめつつこちらを見つめ返してくれる。

 濃蒼の瞳が潤みを増す。

 真っ直ぐにこちらを見つめ、キスをせがむように片手を俺の胸に乗せ、もう一方の手を俺の腰に回してくる。

 それに応えるように、ミリーを両腕に抱き身体同士を密着させる。

 ミリーの柔らかな胸がフニャリと形を変えるのがわかった。


「レオ様……」


「ミリー」


 ミリーの声に甘さが増している。

 もしかしたら俺の声も同じように甘くなっているのかもしれない。


「レオさま」


「ミリー」


 互いの双眸に互いの姿を映しつつ。


 互いの言葉は互いの唇の中に消えていった。










「………!? な、なんたる場面に遭遇」


 ────そして、少女の声が横から生まれた。

怖いもの見たさで、なろコンに応募してみました!

……一応、報告。

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