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物語の裏側で  作者: ティラナ
第一章
20/105

第18話 夢幻のごとくなり

砂糖を思いっきりぶちまけました。

お砂糖回がしばらく続きます。

 


 ミリーと迎える初めての休日。


 今日だけは本の宅配も行っていないから、文字通り丸一日の休みだ。

 いままでの休日はゆっくりと本の整理をしたり、面白そうな本を読んだりするのが常だったのだが、ミリーがやって来てからは手が増えたので本の整理はとっくに終わっている。


 その代わりに、今日はやっておきたいことがたくさんある。

 そのうちの一つは俺がいま現在、置かれている状況に関するものだ。


「ん……。 レオさまぁ……」


 俺が起きたことに気が付いたのか、隣で寝ていたミリーが俺の胸に抱きついて頬を擦り付けてくる。 その仕草は子猫か子犬みたいだ。

 ヤベェよ。

 可愛いよ。

 可愛すぎるよ。


 今日は店が休みだということは前もって言ってあったから、ミリーも朝特有の微睡みを楽しんでいるのだろう。

 あぁ、癒されるわ。


 ある程度いまの生活に慣れて来てから、ミリーは大人っぽくなったと言うか、おしとやかになった。 イレースちゃんとの交流もそういった部分にもいい影響を及ぼしているのだろう。

 ミリーが元気になって本来の自分らしさを取り戻していること自体はもちろんいいことだし、俺もその支えになっていけたらいいと思っている。


 だけどその反面、出会ったばかりの頃の弱々しさがなくなってきた感じかして少しさみしくもある。 いまのミリーにもか弱い一面はあるのだが、こういった小動物らしい可愛さをたまに見せてくれるとやはり嬉しくなってしまう。

 うーん、ジレンマ。


 まぁ、可愛いからいいか。



 ……あれ、なんの話だっけ?

 あ、そうそうやっておきたいことの話だ。

 念のために言っておくが、“ヤっておきたいこと”じゃないからな?

 俺もミリーも互いの純潔は守ってるよ。

 一緒のベッドで寝ながら言っても信憑性に欠けるかもしれないが、そこだけはまだ超えていない。

 “だけ”であることには突っ込まないでほしい。


 ───で、話がまた逸れたから戻すが、いい加減その辺りの我慢も限界に近づきつつある。

 だって、自分のことを好いてくれている女の子と同棲プラス同衾(文字通りの意味で、それ以上のことは示唆していない! )しているわけですよ? 男として辛いでしょう。

 ミリー自身がそういったことを望んでいるようならまだしも、ミリー自身はまだそうではないらしい。 俺が言えば応じてくれそうな気もするが、それでいいのかとも思う。


 ヘタレとでも何とでも呼んでくれて構わないが、今はまだミリーが望むまでは我慢していようと思っている。 少なくともミリーが18になるまでは。

 今世では15で成人になるのだから、もしも子供ができてしまっても周りから白い目で見られるといったことはないが、こういうあたりは前世の影響が色濃く出ているのかもしれない。

 今世では避妊具も堕ろすための医療機関も医療技術もないから、行為にはそれ相応の覚悟が必要になるのだ。 いや、現実って甘くないんだね……。


 ダメだ。

 話が前に進まない!

 それで今度こそ話を前に進めるが、そんなこんなで俺とミリーでベッドを別にしようと考えているのだ。

 スペース的には、もう一つくらいなら置けないこともない、くらいであまり余裕があるわけではないが、それとは別にテーブルとかを置くスペースは確保できるだろうから問題はない。



 その次はミリーの洋服だ。

 本来はもっと早く用意してあげるべきだったのだが、いつまでも男物や女将さんからもらったものだけでは、いくらなんでもかわいそうだ。

 少なくとも上下3セットくらいは揃えられるようにしたい。 あとはインナーもな。

 あまり高いのは無理だが、可能な限りミリーの要望には答えてあげたいと思っている。



 それから、ミリーの身の回りの小物類。

 ヘアブラシは今は俺のものを使っているが、女子としてはその辺りも拘りたいところだろうし、カバンや靴といった服以外の身につけるものなんかもミリーが望むものを買ってあげたい。

 あとは、詳しいことは知らないが生理用品なんかも必要なんだろう………たぶん。 いや、男に生まれるとそういうのってわかんないじゃん?

 あれって痛いんだっけ? 痛み止めみたいなものもあればいいんだけど、流石にないしなぁ。



 うーん。

 こうやって改めて考えてみると買いたいものって多いなぁ。

 とても一日で揃えるには時間が足りないような気がする。


「……んやぁ。 レオしゃまぁ〜……しょこはぁ〜」


 ……ミリーの声が色っぽいんだが。

 なんだこのお約束展開は。

 あれだろ?

 この後に『そこはダメです〜』的な流れになるんでしょ?

 聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなやつでしょ?


 わかってますよ、大丈夫。

 あらかじめ予想できていれば漫画の主人公みたいに度肝を抜かれる心配もないんだよ。




「しょこ〜……しょこでしゅ〜。 いいれふ〜」


「ぐはっ」


 や、やべぇ。

 予想の斜め上を狙って来やがった。

 まさかのいいんですか。

 そうですか。

 ……いや、俺の理性としては良くないけど。


 だって可愛すぎるでしょう!

 度肝どころかハートのど真ん中を撃ち抜かれたわ。

 何がいいのかは本人は言ってないけど、こういう展開のときってだいたいアレでしょう?

 いろいろと聞き辛いやつでしょ?


 ってぁぁあ!

 ミリー、人の胸に顔を押し付けて匂いを嗅がないで!

 すんすんって音が聞こえてるから!

 恥ずかしいから!





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 今日はレオ様と迎える初めてのお休みです。


 今日は本の配達もないそうですので、ゆっくりと寝ていていいそうです。

 ぼんやりとした意識の中、レオ様の背中に腕を回して抱きつきます。 程よく筋肉の付いた胸板は名状し難い安心感を(もたら)してくれます。

 今日はなんだか、いつもよりも特別にいい夢を見られたような気がします。 心なしか自分の肌のツヤも増しているようです。


 レオ様はまだよく眠っていらっしゃるようですね。


「っぁ……。 みり〜、そこ、は、だめ……」


 ………!?

 れ、レオ様は一体どのような夢を見ていらっしゃるのでしょうか?

 い、いえ。 気になるとかではなく。 あ、いえ、気になりますけど、そういうものではなく……。

 自分の顔が熱を持っているのが姿見を見ずともわかります。


 れ、レオ様も私でそのようなことを考えたりなさってくださるのでしょうか………。





本日、ユニーク数が10万を超えているのを確認しました!

2日遅れのデータなので超えたのは28日ですね。


ご愛読くださっている読者様方には本当に感謝の意でいっぱいです。

ありがとうございます!

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