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物語の裏側で  作者: ティラナ
後日談
104/105

アフターストーリー.7 同級生のお宅訪問!


いや、どうも更新が遅くなって申し訳ないです。

新連載を書いては消して書いては消してを繰り返し、これじゃあ良くないということでいま書いているものがある程度たまり次第投稿します!

そして折角なのでモノウラと一緒になろコンに出せたらなぁと。 なろコンって毎年の恒例行事っぽくて楽しいですね。

 


 季節は巡って、夏休み。 ……とは言っても半月も経ってないんだけどね。

 私は馬車で2日かけてフリーダちゃんの生まれ育った街を訪れた。


 王都から見て山しかないこの方角は街の数がとても少ない。 隣国に移動するにも山々を越えるのは大変だし、山岳地帯に住む人もそうそうは村から出てこない。

 そうすると王都から一番近い街でも馬車で2日もかかるという事態が起こってしまうわけだ。

 逆方向なら半日も馬を走らせれば街が見えてくるしね。


 そしてフリーダちゃんの案内でやって来たのは、周りの家よりも一回り大きな二階建ての建物だった。 比較的新しいから、子供が増えたことで増築をしたのかもしれない。

 街にしては珍しい4人兄弟姉妹らしいからね。


「ここがフリーダさんのお宅ですの?」


 建物の中は聞いていた通り本屋さんになっていて、数多くの書物が並べられている。 前世で言うところの少しレトロな本屋さんって感じだ。 シックな木材がいい味を出している。


「うん、そうだよ。 ただいま〜」


 開け放たれている入り口をくぐってお店の正面から建物の中に入って行く。 別に玄関があると言う感じではないらしい。


「あ、ねえさま! お帰りなさい!」


「おかえり、姉さん」


 フリーダちゃんの声に反応してお店番をしていたらしい2人の男の子が顔を上げる。

 1人はほんのりと茶色がかった黒髪で、もう1人はフリーダちゃんと同じ金色の髪だ。 2人ともゲームキャラに負けず劣らずのイケメンさんである。

 金髪の子はまだまだ顔立ちに幼さが残ってて、ちょっぴり可愛い。


「ん? フリーダが帰ってきたのか?」


 入り口のあたりが騒がしくなったのに反応したのか、奥の方から本を抱えたレオナルドさんが出て来た。 こうして見ると、三人ともレオナルドさんにもそっくり。


「ただいま。 クルト、アルフ、お父さん」


「ん、おかえりなさい」


「お母さんたちは?」


「ミリーとターナはちょっと夕飯の買い出しに行ってるよ。 そして君は」


 レオナルドさんが私の方に水を向けて来たので、居住まいを正してから丁寧に頭を下げる。 簡略的なものにしようか貴族向けのものにしようか悩んだけど、この国の影の支配者的なポジションらしいから貴族の礼を選んだ。


「モニカ・ライプリッツと申しますわ。 ライプリッツ公爵家の長女で、フリーダさんとは日頃から学園で仲良くさせていただいております」


 ドレスの裾を摘み、片足を後ろに下げて貴族のカーテシーを行う。

 ふふふ、中身はアレでも私は公爵家の娘なのだ。 この辺の所作は問題ないのだよ。


「これはこれはご丁寧に。 俺は以前に一度、護身術の授業で顔を合わせたことがあったかな。 まぁ、改めてレオナルドです。 フリーダといつも仲良くしてくれてありがとう。 君の話は手紙でよく聞いているよ。 それから長男のクルトと次男のアルフレッドだよ」


「初めまして、クルトです。 よろしくお願いしますね、モニカお姉さん」


「よろしく」


 弟くん2人はそれぞれに違った反応を見せてくれて面白い。

 黒茶の子は人懐っこい笑みを浮かべながら、金髪の子は無表情でぶっきらぼうに。

 金髪の子は年齢を考えると、こうやって人に挨拶をするのが少し恥ずかしいのかな? 私も初対面の人と話すのが嫌で嫌で仕方ない時期とかあったもんな〜。


 私としては黒髪の子の将来が心配だよ。 この笑みで一体どれだけの女の子が骨抜きにされることやら……。

 いや、まぁ、フリーダちゃんの弟ならその辺りの対応もバッチリかもしれないけどさ。


「ごめんね、モニカお姉さん。 アルフは少し人見知りというか、初対面の人と話すのが苦手で……」


「ふんっ……!」


「うふふ、可愛らしいですね」


「か、可愛くない……!」


 私の可愛い発言に対して顔を赤らめて怒るアルフくん。

 そういうところが可愛いって言ったら嫌われちゃうかな〜。 これくらいの歳の男の子は繊細だからねぇ。


「ただいま戻りました〜」


「たっだっいっま〜っ!」


 振り返るとそこには金色の髪の美女と、明るめな茶色の髪の美少女が立っていた。

 美女はおっとりとした顔立ちで、母性溢れる聖女様みたいな雰囲気。 美少女の方は目尻がつり上がっているけど、その向日葵のような表情のせいかキツイ印象は受けない。


「おっ、おかえり。 ミリー、ターナ」


「「「おかえりなさ〜い」」」


「あら、貴女が」


 美女さんが私の顔を見て柔らかな笑みを漏らした。


「初めまして、モニカ・ライプリッツと申します。 フリーダさんにはいつもお世話になっております」


「うふふ、聞いていた通りの綺麗な方ですね。 私はミリアリアと言います。 良かったらミリーさんって呼んでくださいね? 私も公爵家の令嬢だったんですよ?」


「ず、随分フランクに持ち出すんですね……」


 美女さん、改めてミリーさんはまるで世間話でもするかのような口調でとんでもないことを言い放った。 いやいやいや、そんなサラッと言えるような内容じゃないからね?

 貴族社会から追い出されるのなんて本当に一大事なんですからね?


 事実、ミリーさんがいなくなってアリスさんが王妃になってから後の社交界でも、色々な憶測が飛び交っていたらしいし。

 流石に私が社交界デビューする頃にはそんな話は消え去ってしまっていたのだけれど。


「だって今さらですし、フリーダから聞いているのでしょう?」


「まぁ、そうですけど……」


 だからって、ねぇ……?

 もう第一印象からゲームの通りの悪役でないことは分かったけど、なんて言うか良くも悪くもさっぱりした人だなぁ。 過去に固執しないと言うか……。

 もしかして現実のミリーさんってこの上なく天然……?

 なんか雰囲気もフワフワしてるし。

 うーん、でも天然だったら社交界でうまく生きていくのは難しいだろうし……。


「ここまで前向きに話せるのは、ミリーだからこそだね」


「むぅ……。 それって遠回しにバカにされているのですか?」


 レオナルドさんの言葉にプクーっと頬を膨らませるミリーさん。 おかしい、大人な美女のはずなのにこんな子供っぽい仕草が似合うなんて……!


「まさか。 俺がミリーをバカにするわけがないことぐらい、ミリーが一番よく分かってるでしょう?」


「うふふ、そうですね」


「愛してるよ、ミリー」


「もう、レオ様ったら。 私も愛しています」


「ミリー……」


「レオ様……」


 …………!?

 いつの間にか、お互いの腰に手を回して顔を近づけている。

 え、は……ここで!?


「ん゛っん〜!」


 どうしたものかとアタフタしていたら、フリーダちゃんが氷のような目で2人のことを睨みつけていた。

 ふ、フリーダちゃん……助けてくれてありがとうなんだけど、怖いです。


「二人とも、まさかとは思うけどモニカさんの目の前でキスしようとなんてしてないよね?」


「………ア、アタリマエジャナイカ〜」


「も、もちろんですよ。 う、ふふ、ふふ……」


「はぁ……」


 腰に手を当てたままやれやれといった様子で首を振るフリーダちゃん。

 こ、これは聞いていたよりも何倍かすごいラブラブ夫婦みたいだ……。 と言うか、ミリーさんのキャラがゲームと違いすぎませんか?

 そしてこの状況に戸惑っていないところを見ると、これは家族にとっては日常茶飯事らしい。 恐ろしや……。


「もう姉さん、なんで止めちゃうの〜? ほらほらお二人とも、もう一度熱い抱擁からのキスを!」


 何が恐ろしいって、末っ子のターナちゃんがキラキラとした笑顔で炊きつけてるのが一番恐ろしい……。


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