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合言葉はコード・ブルー  作者: ren
天使じゃない!
14/26

見学開始

見学開始ベルさんを連れて病院長室を出て、仕事場へと向かった。サキはタントに頼んで預かっておいて貰うことにした。

「しっかし…私立病院とはみんなこのような作りなんですか?」

「えっ?」

エレベーターに乗ったところでのサーベルさんからの急な質問に、咄嗟に意味が掴めない。

「病院長室のあったフロアは、まるでホテルの様でした。初めてエレベーターから降りた時はびっくりしましたよ。病院と同じ建物とは思えない。」

「…そうですね。大きな声では言えないのですが、いわゆるVIP病棟はどこの病院にもあると思います。」

「あぁなるほど…。」

裕福な患者のために使われたり、大物政治家などがこっそり入院する時に使われる、ということだ。残念ながらどこの社会にも格差は存在する。病院の中にさえも。

チーン!ちょうどエレベーターが目的の階に到着した。時刻は8時5分。若干早歩きでサーベルさんを誘導する。

ここに限らず、病院の朝はカンファレンスから始まる。カンファレンスルームにはすでに先生方が揃っていて、私を待っていてくれたようだ。

「遅れてしまってすみません。」

頭を下げながら入室。先に簡単にサーベルさんのことを紹介する。

私達が席に座ったのを見て、司会担当の先生がカンファレンスの開始を宣言した。

司会の先生が持っている棒の様な杖をさっとホワイトボードに向けて振ると、映像が浮かび上がってきた。私の隣で、サーベルさんがこっそり懐かしいな…と呟くのが聞こえた。大学時代を思い出したのかもしれない。

司会の先生は、サーベルさんにも分かるように時々専門用語の解説を交えながら、つつがなく進行していく。質疑応答を挟みながら、カンファレンスは大体いつも通りに終わった。

カンファレンスが終わると、私達は担当の患者さんに会いに行く。まず私が向かったのは、交通事故で運ばれてきた患者さんだ。ちなみに発見者は私だ。比較的マシなので、ICUではなく個室にいる。

「エンダさん、おはようございます。」

「おはようございます。」

エンダさんは読んでいた新聞をサイドテーブルに置き、私達を迎えた。

「こちら、今日一日救急病棟を見学されるサーベルさんです。」

「おはようございます。」

丁寧に頭を下げるサーベルさんに、エンダさんは会釈を返した。

私はエンダさんに簡単に体の調子を聞いたり、世間話をした後、作業に取りかかった。

「じゃあ、包帯を代えていきますね。」

エンダさんは交通事故の際に背中全体にひどい傷を負っており、手術後もまだ傷口が塞がっていない。

エンダさんにベッドに座って背中を向けて貰うよう指示し、私は包帯をほどいていった。


「よし、これで大丈夫です!お疲れさまでした!!」

傷口を消毒したり、特殊なスポンジを形に切って包帯の下に挟んだり、なかなか時間がかかる作業だった。じっと耐えてくれていたエンダさんに労いの声をかけ、私とサーベルさんは次の患者さんのところへ向かった。

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