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合言葉はコード・ブルー  作者: ren
天使じゃない!
13/26

剣職人

部屋に入ってきたサーベルは、まずハルに声をかけた。

「ハル先生、この度は私を救って下さりありがとうございました。お陰様で今はピンピンしております。」

「いえいえ、医者として当然のことをしたまでですから。」

―サーベルさんの虫垂炎(悪魔)手術(退治)したのは3日前のことだったから、予定通り順調に回復したということか。良かった…。

「サキ、元気にしてたかしら?」

私は少し身を屈めて目線を合わしながら、サーベルさんの後ろからついてきた少女に話かけた。

「うん!!元気だよ!!先生は?」

「私も元気よ。」

―本当に元気いっぱいに返事してくれるサキに、私は暖かい気持ちになった。あの日は不安で泣いているところしか見れなかったけど、こちらが本来の彼女なのだろう。どうか、このままサーベルさんに悪魔の呪い(合併症)が起きませんように…。

ハルはこっそり祈らずにはいられなかった。

「さあさあ、挨拶が済んだところで、私から友人の紹介をさせて下さいませんか。」

にこやかな表情で3人を見守っていた病院長が、頃合いを見て口を挟んできた。

「サーベルさんは私の大学時代の友人で、あなたも知っての通り3日前からこちらの病院に入院してらっしゃいました。彼は、実は腕利きの(メス)職人です。」

「…!剣ですか!!もしや…。」

「さすがはハル先生、察しが良いですね。あなたの剣は、このサーベルさんによって造られたものなのですよ。」

「…!!」

思わぬ展開に、ハルは素直に驚いてサーベルの方を見た。

「初めて先生にお会いした時、女性なのに救急医(ERドクター)の格好をしてらっしゃったからもしやと思ったんですよ。まさか、自分の造った剣の恩恵を受ける時がくるとは…。世間は狭いもんですな。」

感慨深そうに言うサーベル。

「サキが私の手術を見ていたく感動していましてね。私も一度、見学させて頂きたいと思ったんですよ。私の剣がどのように使われているのかをね。」

「…だから私にお声が掛かったんですね。」

「その通りです。」

ハルに答えたのは病院長だった。

「今日必ず手術が入るとは限りませんが…。」

「その時はその時。サーベルさんも分かってらっしゃいますよ。」

うなずくサーベル。病院長がダメ押しをかけてきた。

「すでに部長先生には話をつけていますから心配ありません。今日一日よろしくお願いしますね、ハル先生。」

「…分かりました。」

こうして、サーベルの一日救急見学はハルに託された。

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