予期せぬ客人
ピピピピ!ピピピピ!
「んー…。」
1、2、3!
3秒心の中で数えてから目を開ける。これは学生の頃からの習慣だ。今日は目覚ましベル鳥の声で目が覚めた。運が良い…夜中に呼び出されることなくぐっすり眠れたのだから。
一旦シャワーを浴びに部屋を出てから戻ってきて、冷蔵庫から昨日タントが作ってくれていたサンドウィッチを取り出して食べる。
今日はこれから仕事なので着ているのは戦闘服だ。
食べ終わってから身支度を整えて部屋を出ようとした時、連絡鳥が飛び込んできた。
「あら、病院長先生からだわ…。」
―至急病院長室に来られたし。
「えっ…。」
おもわず頭の中の引き出しを探り、早朝から呼び出される原因になりそうなことがなかったかチェックする。…該当なし。
「…何かしら。」
例え後ろめたいことが無くても、目上の人からの突然の呼び出しには誰しも不安を抱くものである。とにかく早く行くにこしたことはない。
ハルは部屋を出て、エレベーターで1つ上の階に移動した。
コンコン!いかにも重そうなドアをノックすると、すぐに中からどうぞ、と声が返ってきた。
「失礼します。」
ハルはそう言って部屋の中に入り、礼儀正しくドアを閉めた。
病院長はデスクに座ってハルを待っていた。
「朝から呼び出してすみませんね、ハル先生。」
「いいえ、どのようなご用件でしょうか?」
ハルはそう言ってしまってから、余りに単刀直入に聞いてしまったなと反省した。少しでも無駄を省こうとするのはもはや職業病だ。しかし、病院長は気にすることもなくハルの質問に答える。
「実は私の大学時代の友達がこの病院に入院していまして、今日でめでたく退院するのですが家に帰るまでに是非病院見学をしたい、と言ってきましてね…。ハル先生に、その人の案内をお願いしたいのです。」
「私に…ですか?」
いくら私が使いやすいといっても、非番でもない救急医にそれはちょっと無理じゃないでしょうか。と反論しようとした時、コンコン!とノックの音が聞こえ、ドアが開いた。そこにいたのは…。
「サーベルさん!それに…サキ!!」
そこにいたのは、つい先日ハルが担当した患者とその孫だった。