大変です!!
私が結婚して6ヶ月が過ぎようとしています。
そして、今日、鷹くん帰ってきたから私にとんでもない事を告げられました。
「凛。明後日は日を空けておくように。」
「何かあるの?」
「そうだ。重大な事だ!」
鷹くんから聞いて驚いたと言うのかこの私でも如何したら良いのか分からない事が起こったのです。
それは、鷹くんの上司に私と鷹くんの2人が結婚報告のような事を夫婦で行かなくてはならないのです。勿論、鷹くんの職場は宮中。それに、廊下の両サイドには口うるさいであろう女房兼女官さん達の仕事場でもあるそうなんです。(楓ちゃんから聞く)
その前を私達夫婦が歩く?鷹くんは良いでしょうけど問題はこの私。
どのツラ下げて歩けばいいのやら・・・・
それに、何故?鷹くんはそんな大事な事を前もって言わないのか!私が恥をかいても良いのか!!
そう言う事で萩さん並び家の女房さん達に協力して貰って急遽リハーサルまがいの事を練習します。
ある女房さん曰く「廊下の並びの各部屋から御簾の間から女房様方は覗かれますから凛としてお歩き下さいませ。」
分かっていますとも!外部者が宮中に足を踏み入れる事は興味の対象。
ましてや「鷹明様」の北の方。だと言う事で女房さん達の眼が鋭く、厳しい、イヤミを言われる。
そのイヤミも私に聞こえるような大きな声の内緒話しだと言う事も分かっている。
私も女。以前、そのような現状に出くわした事があるかなぁ~~
でも、「高貴な女房さん方のイヤミ」ってどんな事を言われるのか少し興味もあるわよね。
そして、咲ちゃんや楓ちゃんにも聞いてみた。先輩だから経験済みでしょう。
「凛ちゃん。上司に顔見世するんだって?中々、面白いわよ。フフフフ・・・まぁ、女房達の眼が異様だけどね。でも、直ぐに慣れるわよ。そして、イヤミは覚悟しておく事ね。」
「お姉さま。御出会いする時が参りましたのね。・・・・・私、私は辛かったので御座います。女房様達のお言葉が今でも忘れる事が出来ないのです。それに、友親様は・・・ウッ、ウウウ・・・・。すみません。泣いてしまいまして。でも、思い出すと・・・・シクシクシク・・・・」
この2人に聞いても、女房さん達は凄い性格の持ち主だと思わずにいられない。
咲ちゃんは良いとして、楓ちゃんはかなり女房さん達にやられたみたい。
私の癒しの楓ちゃんを悲しめた女房さん達!この凛様が行くかには「倍」にして返してやる!!
私は結局、大した緊張もなく宮中へ鷹くんと行きました。
牛車の中で緊張もしていない私を見て鷹くんは「凛。緊張していないのか?随分と平気なのだな。」
と変に感心しておられる様子。
私は鷹くんの上司より女房さん達に興味が湧いています。
女房さん達のイヤミも興味が湧く一つ。
アレコレと考えている間に宮中に到着しました。
勿論、教えられたようにシズシズと奥へ進んでいきます。
そして、問題の女房部屋の前。
私はゆっくり、堂々として歩いています。勿論、耳は「ロバの耳」状態。
「ヒソヒソ・・・ヒソヒソ・・・ヒソ・・・」
始まっています!私の事を言ってる~~~!
どんな事を言っているのか聞きたい~~~!
そんな思いの最中、鷹くんが「凛。早く来い。」と言って私の手を握られたのです。
所々から「キャ~~!」とか「ウソ~~!」とか聞こえてきます。
私の顔は満面の笑み。フフフフ・・・・・
そして、鷹くんの上司の前に来ています。
顔は鷹くんが上げたら私も顔を上げる事が出来ます。
でも、何か私はこのような場面を数回経験しているので思ったよりは大丈夫。
上司の方は幾つか私に聞かれていますが、専門用語のような言葉なので、全く分かりません!だから、可愛らしく笑顔で首を傾げていました。何を勘違いされたかわかりませんが「凛殿。あなたは可愛らしい方だ。鷹明の事を宜しく頼む」と仰っられて。隣で鷹くんは苦笑い。
まぁ、自分ながら上手くいったと思います。
さて、帰りのあの廊下。
女房さん達の顔が見ものよね~~。何としてでも楓ちゃんを虐めた女房さん達を突き止めてやる!
私は意気揚々であの廊下を渡ろうとした時、鷹くんが先ほどの上司に呼びとめられて私1人が歩く羽目になってしまった。女房さん達は「これ、幸い」と思ったのであろう。きっと思った!
「ねえ、見まして?鷹明様の北の方様を。」
「ええ。見ましたわ。あの方よりもわたくしの方が見栄えが宜しくなくって!」
これは、私に「聞かす」為だけのイヤミ。そして、まぁ、次から次へと言われる。言われる。
「それにしたって、鷹明様は何故、あのような方を北の方にしたのでしょうか?わたくし、考えられませんわ!ホホホホ・・・・・」
「そうで御座いますわね。それに、鷹明様も御可哀想に。あのような方ですと鷹明様と釣り合わないのではないでしょうか。ホホホホ・・・・」
「そうそう、友親様の北の方。楓様も同じで御座いますわね。」
私は楓ちゃんの事を聞いたから思わず、その女房さんの部屋の前で聞いています。
「本当に、楓様は友親様をどのようにして北の方様の座を得たのでしょうか?お聞きしたいで御座いますわ。」
「それに、鷹明様も同様。あの北の方はどんな手を使われたのかしら?一度、お聞きしたく思いますわねホホホホ・・・・・・」
これが、イヤミですか!なんとまぁ、下らん内容だ事!
そして、私には良い考えが浮びました。きっと、その時の私の顔は口が曲がっていたと思います。
「あの・・・・すみません。少し、宜しいで御座いますか?女房様方!」
「・・・・・何ですの?」
「今、わたくしの事かしら?と思いましたのものですから。ホホホホ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・!・・・・・」(女房達)
「・・・・い、いえ・・・あなた様の事ではありませんわ。」
「では、お聞き致します。いったい誰の事を噂されていたのでしょうか?(ニコニコ)」
さあ~~~!!言ってみろ!!
すると、1人の派手そうな、いかにも自分に自信があるような感じの女房さんが・・・
「ええ。今、話していた方は鷹明様の北の方様の事なのです。その方はどのようにして鷹明様に言い寄られたかをお聞きしたく存じます。」
「まぁ~~!そうでしたか!では、鷹明様に聞かれると宜しいですわよ!(ニッコリ)」
「エッ!・・・・・・」(女房さん達)
やりました~~!ここで一発、私が言っておかないと!(フッフフフフ・・・思わず声が出そうです。)
「鷹明さま~~~!!こちらの女房様方が何かお聞きしたいそうです。」
「(ギョ!!・・・・・)」(女房さん達)
「鷹明様~~~♪早くこちらに来て下さいませ~~~♪」
「如何した?凛。」
「はい。この方たちは、何故?北の方がわ・た・しなのかお聞きしたいそうで御座います。だから教えて下さいませ!この女房様達に!(ニッコリ)」
ハァ~~~!! 全く!凛め!
いい加減、このような者達を相手にしなくとも・・・・・
俺はこの者達に説明しなければならないのか!