生まれてからが大変です。
お産をしてから一週間が経ちました。
名前は『鷹雪』やっぱりパパの一字と以前パパが気に入っていた一字を付けました。
息子の顔は今でもサルそっくりです。
でも、萩さんは「まぁ~~!鷹明様によく似て御座います!」だって!
鷹くんも生まれたての時はこんなサルみたいだったようです。
それが今は男前さん。だから、この子もパパのようなイケメンになるかもしれない!
でも、私のDNAも混ざっているから何とも言えない。
今、私の心配は私のDNAを多く持って生まれていないことを願うのみ。
そして、みんながお祝いに来てくれる日を選んでいます。
私はここの習慣が分からないから全てお・ま・か・せ。
萩さんはというと頑張って才を振るっておられます。
今や萩さんの独り相撲みたいな感じ。
私は起きて息子を抱きたいんだけど萩さんには「凛様!まだ産後の肥立ちのために起き上がらないで下さいませ!」と毎回言われる。私の子供なのに抱きたい!!
鷹くんは毎日、仕事を早くに切り上げてイソイソと帰ってくる。
もう帰ってきたの?と思うほど早い!そして帰ったら、最初に抱き上げてあやしている。
この様子はまるで現代でいう「息子と母親」のような萩さんと鷹くん。
そして私にしたら、萩さんはまるで「姑」
出産した友達が言っていたよな。「お義母さんに子供を取られるみたいな感じ。」まさにその情景のような気がする。
まぁ、私の子供であって子供でない。この子は「桐家の長男」だから割り切らないと私はかなりの過保護になってしまいそう。
現代で言うと「親離れできない子供に子離れできない親」だよね。
そして、萩さんはとんでもないことを私に言った!!
「北の方様。鷹雪様の乳母は誰が宜しいでしょうか?」
「エッ!乳母・・・!何それ?」
「北の方様。この世界では吾子様は御自分で育てる上げることは無理なのです。」
「萩さん!!この子は私の子!だから私が育てる!!良いわね!!」
「北の方様・・・我が儘を言われないで下さいませ。桐家の跡取り様で御座いますから。」
「鷹くんはどう言っているの?」
「鷹明様はわたくしに任せると。」
「断固反対です!」
私の凄い言い方で恐れをなしたのか萩さんは何処かへ行ってしまわれました。
でもね・・・・この世界は乳母制度とは知っていたけどね~~~
このことは鷹くんとしっかり話し合わないといけない!!
「鷹くん。今日、萩さんから鷹雪の乳母は誰が良いか聞かれたわ。」
「そうだな。俺は華が良いと思っている。」
「ハァ~~~~~!!馬鹿じゃない~~!!私達の子供よ!普通は母親が育てるべきでしょう!!」
「それは凛の世界。ここはここなりの決まり事がある。」
「でも、鷹くんもそうだったからだと言って鷹雪まで同じ教育をしないでね!絶対、私が見るから!」
「・・・・・・(凛は言い出したら聞かないからな!)」
「ねえ、どうするのよ?」
「分かった。では凛が育てたら良かろう。」
「ありがとう!!鷹くん!だ~~い好き!!」
そんな事で鷹雪は私が育てることにしました。
だけど、萩さんや華ちゃんにも手伝ってもらうつもりはしている。
だって、鷹雪は萩さんの孫みたいなものなんだし。お婆ちゃん孝行もしておかなくっちゃね。
そして、鷹雪が生後3ヶ月になった。
親の欲目ではあるけれど鷹雪って凄くカワイイのよね~~!
今でもサルみたいだけど。でも、サルでも何でもカワイイものはカワイイ!!
私が自分で育児をするから。と言って鷹雪はずっと私の傍。
だからかもしれないんだけど鷹くんはますます帰って来る時間が早くなった。
帰ってきたら「鷹雪。今日も元気であったか?」「母を困らせてはいないか?」とか話している。
鷹くんも自分の環境云々って言っていたけど、やっぱり現代の育児方法が良かったんじゃないの?
萩さん達も鷹雪を抱っこしたいから、頻繁に私の部屋にやって来るのよね。
勿論、私も眠いからその時は萩さん達に任せているわけ。
萩さんも華ちゃんも嬉しそうに抱っこしてる。
本当に幸せだわ!!!
そして、私の一言で桐家が大変なことになった。
それは『パパ』という呼び名。私達ってさ、お父さんのことを「パパ」お母さんのことを「ママ」と言うじゃない。鷹くんたちの世界では「母上」「父上」だけど。
その呼び方って私はイヤなのよね。
だからつい、鷹くんを呼ぶときに『パパ』って呼んでしまった。
勿論、鷹くんにしてはクエスチョンマークだわよね。
でも、私は呼び名は譲れない!絶対に「パパ」「ママ」で行く!!
その大変な事とは。
「鷹雪。もうじきパパが帰ってこられまちゅよ~~~。」
(鷹明様。お帰りなさいませ!)
(鷹雪は?)
(まぁ~~~。ホホホホ・・・・)
「鷹雪。パパが帰ってきまちたよ~~~」
「鷹雪!今。帰った!」
「パパ!お帰りなさ~~い!」
「・・・・パパ?」
「そう。だって鷹くんは鷹雪のパパだもん。そして、私がママ。」
「凛。その呼び方は良くない!父は父だ。そしてお前は母。」
「ねぇ~!鷹雪。パパは変なことを言っていまちゅよね~~。」
「凛。そして、その『いまちゅよね~~』も止めなさい!」
「あら、どうして?鷹雪に話しかけているだけよ。」
「もう良い!鷹雪。今日も元気であったか?そうか。(ニッコリ)」
「旦那様。着替えを済ませて下さいませ。」
「ああ。分かった。」
「まぁ~~!鷹雪様は日に日に大きくなられて萩は嬉しいですわ!」
「鷹雪!萩さんも鷹雪のことが大好きなんでちゅって!良かったね~~~」
「・・・・(ちゅって?何ですの。)」
「萩さん。あとでパパに来てもらってね。」
「?・・・・(パパって?」
「鷹雪。今、ママがオムツをかえてあげまちゅからね。」
「?・・・・(ママって?)」
「あの・・・・北の方様。その、パパとかママとかは何ですの?それとあげまちゅから~と言うのは。」
「パパのこと?それは父親のことでママは母親のことよ。あげまちゅから~というのは鷹雪に話しかけているだけだから。別に意味はないわ。」
「・・・・・・北の方様。」
わたくしは凛様から何やら初めて聞かされた呼び名を耳に致しました。
「パパ」「ママ」凛様の月の世界では御両親をそのように呼ばれておられるのは良いのですが、ここは違います。貴族でおられる桐家の御長男でおられる鷹雪様。即ち桐家の跡取り様でいらっしゃいます。
そのような方に「パパ」とか「ママ」とかお呼びさせるのはちょっと良くないことで御座います。
わたくしは早速、鷹明様に抗議致しました。
「鷹明様。お聞きになられましたでしょうか!北の方様があなた様のことを『パパ』なる言い方をされました。わたくしと致しましては、それは桐家の沽券に関わると思います。」
「萩。おまえの言いたい事は分かっておる。」
「でしたら、北の方様にはっきり仰って下さいませ!」
「・・・・・分かった。だが、この話しは凛にはするな。良いな!」
「承知致しました。」
それから、私は鷹くんに「パパ」「ママ」の言い方がこの世界では合わないと説得させられました。
でも、こんな小さいうちから「父上」「母上」って言えないわよ。
私だったら舌を噛んじゃうわよね。
でも、鷹くんときたら「鷹雪は桐家の跡取りだ。これから成長して手習いもさせなければならない。そして、行く末はこの桐家を背負うのだぞ。その時に「パパ」「ママ」と呼ばれてでもしたら鷹雪は頭の可笑しな男と言われる。それでも良いのか?」
確かに、この子が大きくなったら「パパ」「ママ」は可笑しいけれど、子供って友達と遊ぶようになれば両親の呼び名も変わるのに。何で、そこまでムキになるの?
でも、変よね。鷹くん。やっぱり「パパ」「ママ」って言わさないほうが良いのかな?
・・・・・・・!じゃあ、鷹雪が鷹くん、屋敷の人達といる時は「父上」「母上」と呼ばせて私といるときだけ「パパ」「ママ」と呼ばせれば良いじゃないのさ。
「じゃあ、鷹くんと萩さん達と一緒の時は父上、母上で私と一緒の時だけパパ、ママと呼ばすわ。それで文句ないでしょう!」
「・・・・・・・・」
「決定ね!」
また、凛に負けてしまった。
まぁ、良いか。屋敷の中だけだったら良いとしよう。
これで萩も納得するだろう。
だが、これから鷹雪の成長過程で凛と衝突もすると思う。俺は鷹雪の父としてやっていけるのか?




