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咲ちゃんに諭されました。

咲ちゃんに何も言わずに行き成り押しかけてしまいました。

勿論、ウチの用心棒さんに連れられて。

その間、用心棒さんは私が家出をするのを必死で止めている。

「北の方様。このような時間に出て行くとは。お止め下さいませ。」と何度も私に言い続けていました。

でも、私は咲ちゃんの意見が聞きたいから。そして、数日は泊めてもらうつもり。


「咲ちゃん。ごめんね。急に来て。」


「いいのよ。でも、何があったの?それも鷹明様の屋敷を出てまで。」


私は咲ちゃんの顔を見た瞬間、泣いてしまった。

咲ちゃんはビックリして私を咲ちゃんの部屋に連れて行かれたの。

咲ちゃんは私が落ち着くのを待って私に聞くの。


「凛ちゃん、本当に何があったの?この事は鷹明様はご存知なの?」


「咲ちゃん。ごめんね。(ヒック、ヒック・・・)」


「・・・・泣かないの。今晩は泊まっていくでしょう。」


「咲ちゃん~~~!ワッ!~~~~~・・・」


本当に凛ちゃんは如何したんでしょう?

あのいつもの凛ちゃんじゃないわ。

いったい、鷹明様と何があったのかしら。

凛ちゃんがこのように大泣きしているし、このような遅い時間にわたくしのところに来て。

今日は凛ちゃんに理由を聞くのはムリ。

明日、聞けばいいわ。


「凛ちゃん。今日はわたくしの部屋で一緒に休みましょうね。」


「・・・・うん。ありがとう。」


凛ちゃんはわたくしの横に寝ているんだけど、あれからずっと泣いているわ。

本当に、鷹明様と何があったと言うの。

わたくしは気になって眠れない。


朝になりわたくしは凛ちゃんに昨日の事を聞いてみました。

康紀さまは凛ちゃんが昨日の夜に来たのが腑に落ちないような思いだったのでしょうね。

何も言わず宮中に行かれました。わたくしは「この事は鷹明様には内緒にして下さいませ。」と強く言い聞かせました。

さて!問題の凛ちゃんの話しを聞かないといけませんわ。


「凛ちゃん。昨日は鷹明様と何があったの?」


「咲ちゃん。ごめんね。私・・・多分・・・鷹くんとやっていけないかも。」


「いったい、何があったの?鷹明様とやっていけないなんて。」


「事の発端は新婚旅行。私は牛車がイヤだと言ったの。でも、分かってるのよ。この時代は牛車しかないことは。だから私、令に頼めば良いのではないかと言ったら、鷹くん・・・・ムリをいうなって言うの。そんな事は分かってるのに。私は何もそんな事を聞きたい訳じゃないのよ。

私もムキになった事は悪いと思っている。それに、私は黙りこんじゃって。するとね、鷹くんは令に頼んでやったって偉そうに言うの。私は・・・・そんなんじゃなくて話し合いがしたかったの。

私ってこの世界で生まれ育ったわけじゃないからこの世界の事は分からない。私は自分なりに一所懸命に鷹くんの奥さんになろうと努力もしている。それなのに・・・・鷹くん・・全然、わかってない。

やっぱり・・・・ムリ・・なのかな?私と鷹くんは・・・」


「・・・・凛ちゃん。多分、お互いに気を使い過ぎているのよね。わたくしと康紀さまも最初は凛ちゃんと同じだった。けれど、わたくしの場合は生まれ育ちはこの世界。中身は凛ちゃんと同じ世界の人間。だから、わたくしの考え方が康紀さまには全く通じなかったわ。おまけにわたくしは半分は妖。ハーフなんですもの。康紀さまにはわたくしが理解が出来ていないと思う。今でもね。でもね、夫婦ってこのようなものではないかしら。だから、あまり深刻にならなくれも良くってよ。」


「うん。でも・・・・夫婦って難しいね。私、本当は自信がないの。このままずっと鷹くんの奥さんなんか出来ない。それに・・・・私には帰る実家もないしね。本当にどうしたら良いんだろう。」


「凛ちゃんの気持ちも立場も分かる。でも、今は鷹明様に頼らなくてはならないのよ。私も同じだから。

本当に難しい事なのにわたくしは、何も分からない振りをしている。わたくしだって、全て康紀様に頼っているように見せているのが辛い。だけど、鷹明様は凛ちゃんの事を理解しようとなさっているじゃない。わたくしは凛ちゃんと鷹明様が羨ましい・・・」


「咲ちゃん・・・・私達が羨ましいって?」


「そう。だって凛ちゃんは自分に正直だから。それが羨ましいのよ。わたくしは自分の感情を押し殺しているから。それに今、本当のわたくしを康紀様が知ったらどう思う?考えられない事よね。わたくしは争い事を避けているの。康紀様だって同じだと思うわ。だから夫婦円満に見えるのよ。でも・・・・」


「でも?・・咲ちゃんも本当はイヤなんでしょう。こんなことを思いながら康くんと生活しているのが?」


「・・・もう、良いのよ。わたくしには今が一番幸せなのかも知れないから。フフフフ・・・」


「咲ちゃんって・・・何故、こんな事を思って夫婦をしていけるの?分からない。」


「多分、この世界に生まれたからでしょうね。この世界って現代と違うから男と女の立場が理解出来ているからかしら。凛ちゃんは現代人だと鷹明様は理解出来ているでしょう?だから、鷹明様も悩まれておられるのよ。凛ちゃんのことを理解しようと努力されているのが良く分かるわ。わたくしと凛ちゃん。康紀様と鷹明様。性格も全然違うでしょう。だから、わたくしはこのままで良いの。」


「・・・・そんなものかな!?」


「フフフフ・・・そのようなものよ。」


「私、鷹くんに私の気持ちばっかり言っていたみたい。鷹くんのことは全然、考えていなかった。鷹くんが全て悪いと思い込んでいた。現代人の私を嫁にしたんだから鷹くんが考えるのは当たり前だと。」

私は咲ちゃんに言われて初めて気が付いた。私の感情を押し付けていたんだ。

鷹くんは私のことを本当は理解しようとしていたんだ。

なのに・・・私・・・自分ばかりが我慢しているように鷹くんに訴えていたんだ。

鷹くんの気持ちに気が付かなくて。やっぱり悪いのは私なのかな・・・・


それにしても、咲ちゃんって私より大人!

咲ちゃんもいろいろ複雑なんだ。

私、咲ちゃんのようには・・・・ムリ。


鷹くん・・・・鷹くんの顔が見れない。



「おい、鷹明。どうしたのだ。今日はまた、元気がないぞ。ハァハァ~ン~~!凛殿とケンカでもしたのか?」


「・・・・・・友親。おまえには関係が無い!」


「おい!!・・・・鷹明!」


「康紀。おまえ何か知っているのか?」


「・・・・・・知らん!俺に聞くな。」


鷹明に言ったほうが良いのではないのか?

凛殿がウチにいるって事を・・・・


凛は多分、咲子殿のところだ。

居場所が分かっているのに凛を迎えには行けない。

行きたくても行けない・・・・

凛が話した事・・・俺はどのくらい凛を理解しているのか?理解していた気でいたのでは無いのか?

凛の事を向こうの人間だと思って軽く言い聞かせていたのではないだろうか?

凛が・・・本当に凛が言いたかった事を俺は軽く受け流してきたのではないだろうか。

俺が悪いのか?


凛が出て行った日から三日後、康紀に打ち明けられた。

やはり凛は咲子殿の所にいる。

康紀が言うのは凛は俺に迎えに来るのを待っていると。

そして、凛は元気が無く涙しているところを何度も見ると言っていた。

本当に俺が迎えに行っても一緒に帰ってきてくれるのか?

俺は凛の顔が見れない。

どのような顔をして迎えに行けば良いのだろうか?

そんな日を過ごしてもう、五日。

凛が家を出て八日が経った。

もう、凛は俺のところには帰って来ないつもりなのか・・・・・・


本当に、凛は月に帰ってしまうのか・・・・

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