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第15話:領主の館はネタの宝庫?――4Kドローン、聖域を暴く。

ついに足を踏み入れた領主の館。

普通なら緊張で震えるところですが、森森センセンにとっては「最高の撮影スタジオ」でしかありません。

イヴの殺気と、領主の困惑。そして、やりたい放題の4Kドローン。

※今回も2500字オーバーのフルボリュームでお届けします!

視聴者の皆さんも、心の準備(スパチャの用意)はいいですか?

迷宮都市・エリュシオンの中央にそびえ立つ、白亜の城。

 それが、この地域を統治するレオポルド領主の居城だ。


普段なら、俺のような『雑用係』は門をくぐることすら許されない場所。

 だが今は、真っ赤な甲冑に身を包んだ騎士団に囲まれ、まるで国賓のような(実際は連行だが)扱いで大理石の廊下を歩いている。


「……おい、森森。さっきからキョロキョロしすぎだ。不審者だと思われて、今ここで斬られても文句は言えんぞ」


隣を歩くイヴが、低い声で釘を刺してきた。

 彼女の重剣は、俺の「配信条件」のおかげで没収されずに済んだが、周囲の騎士たちの視線は刺すように鋭い。彼女の長い耳が微かにピクピクと動いている。周囲の気配を完全に警戒している証拠だ。


「いやいや、イヴさん。これを見てくださいよ。この壁の絵、金箔ですよ金箔! 剥がして持って帰ったら何ポイントになるかなって、つい考えちゃって」


「……お前、本当にいつか死ぬぞ。それも、最高に情けない理由でな」


俺はイヴの呆れ顔をスルーし、空中に浮遊するドローンカメラの角度を微調整した。

 新しく解放された『広角シネマティックモード』。

 これで館の豪華さを映せば、視聴者のテンションも上がるはずだ。


【1.8mのメッシ:うおおお、これが領主の館か! 豪華すぎて目が潰れるw】

【隣の王さん:主播、あの壺! あれ絶対高いやつだろ。ちょっと触って割ってみてよ、リアクションが見たい】

【物理の張先生:廊下の長さから推測するに、この建物には地下室が複数存在する。魔力の流れが不自然だ。隠し通路の可能性:82%】

【課金王:よし、あの金ピカの彫像をアップで撮れ。綺麗に撮れたらギフト追加だ!】


「はいはい、リスナーの皆さん、お望み通りに。……ほら、これが領主様の趣味(金ピカ)だ。どうですか? 成功者の匂いがしますか? 俺には成金臭しかしないけどな!」


俺がドローンを彫像の鼻先数センチまで近づけると、案内していた騎士団長が顔を真っ赤にして振り返った。


「貴様! 領主様のコレクションをその妙な機械で汚すなと言っただろう! 控えろと言っているんだ!」


「おっと、失礼。でもこれ、ライブ配信の『演出』ですから。ほら、視聴者の皆さんも『もっと近くで見たい』って熱狂してますよ? 民意ですよ、民意」


俺は嘘をついた。実際は「趣味悪っ」というコメントが大半だが、こいつらにそんなことは分からない。


豪華な絨毯が敷かれた長い廊下を抜け、巨大な黒檀の扉の前で足が止まった。

 扉には禍々しいドラゴンの彫刻が施されている。

 騎士団長が一度深呼吸をし、背筋を正して扉を重々しくノックした。


「レオポルド様。例の『森の生存者』、李森森を連れてまいりました」


「……入れ」


中から聞こえてきたのは、冷徹で、地響きのような低い声だった。

 扉が開く。

 そこは、天井まで届くほどの書架に囲まれた広大な執務室だった。

 部屋の奥、巨大な執務机に座っていたのは、銀髪を後ろに流した壮年の男。

 鋭い鷹のような瞳が、真っ直ぐに俺を射抜いた。


「……君が、あの『森の番人』を鎮めたという男か。……ふん、ただの貧相な小男ではないか」


レオポルド領主がゆっくりと立ち上がる。その瞬間、部屋の中の空気が一変した。

 圧倒的な魔力のプレッシャー。

 イヴが反射的に俺の前に一歩出た。彼女の髪が、空間に満ちた魔力の干渉を受けて微かに逆立っている。


「……ほう。暗黒エルフの狂戦士か。随分と腕利きを連れているようだが……」


領主の視線が、俺の頭上でフラフラと浮いているドローンカメラに向けられた。

 彼は不快そうに眉をひそめる。


「……その、目障りな魔法道具は何だ? 私の許可なくこの部屋で魔力を展開するとは、無礼千万。失せさせろ」


領主が指を軽く鳴らした。

 次の瞬間、ドローンの周囲に真空の刃が形成され、カメラを粉砕しようとした。


「あっ、危ない!」


だが、ドローンは生き物のようにその刃を回避した。

 システムが自動で『緊急回避プログラム』を起動したのだ。


【システム通知:警告! 外部からの物理干渉を検知。反撃モードを……】


「待った待った! 反撃はなしだ! まだ撮影中!」


俺は慌ててシステムを制止し、領主に向かって両手を広げた。


「領主様、落ち着いてくださいよ。これは俺の『契約精霊』みたいなもんです。こいつが壊れたら、俺の心臓も止まる……っていう設定(大嘘)なんです。勘弁してくださいよ、俺の命、30金貨より安いんですから」


「……契約精霊だと? 妙な術を使う男だ」


領主は不機嫌そうに目を細めたが、それ以上の攻撃は止めた。

 どうやら、俺の背後にいる「得体の知れない力」を測りかねているようだ。


「まあ、いい。本題に入ろう。君が森で見せた力……『植物の王』の巻物を使ったそうだな。あれは本来、我がレオポルド家が代々捜し求めていた秘宝だ。君のような『余所者』が手にしていいものではない」


出た。網文(ネット小説)お決まりの「それは元々うちのものだ」発言。

 30金貨の借金を背負わせていたくせに、都合が良すぎる。


「へぇ、そうだったんですか。でも残念、あれはもう灰になっちゃいました。使い捨ての消耗品だったみたいで。俺も損した気分ですよ」


俺はしらじらしく両手を広げて肩をすくめた。

 

「……嘘をつけ。あの規模の魔力、使い捨ての巻物だけで説明がつくはずがない。君自身に、何らかの特異な適性があるはずだ。……あるいは、その『カメラ』とやらにな」


領主が机を叩き、身を乗り出した。その瞳には隠しきれない強欲さが光っている。


「李森森。君に提案……いや、光栄なる命令を与えよう。我が騎士団の『専属魔導顧問』になれ。待遇は今の百倍、金貨も領地も、望むままに与えよう」


一瞬、部屋が静まり返った。

 案内した騎士たちが、羨望と嫉妬が混ざった眼差しで俺を見る。

 

 だが、俺は視界の端に流れるコメント欄を見た。


【1.8mのメッシ:うわぁ、典型的な『飼い殺し』作戦だ。主播、騙されるなよ!】

【隣の王さん:顧問なんて言ってるけど、実質は『便利道具』扱いで最後はポイだろ】

【物理の張先生:領主の表情筋が微かに震えている。彼は君を勧誘したいのではない、君の『力』を独占し、他者に知られる前に消したいのだ】

【課金王:断れ! 自由な主播が見たいんだ! 断ったらロケット100基、今すぐぶち込んでやる!!】


「……だそうです」


「何だと?」


俺は領主の顔を指さし、ニヤリと笑った。


「領主様。俺の後ろ盾……『全世界の神々』が言ってるんですよ。そんな安っぽい契約、受ける価値なしってね」


「……神々だと? 貴様、私を愚弄するのか!」


「愚弄なんて滅相もない。ただ、俺の価値は金貨じゃ買えないってことです。……あ、でも、スパチャ(投げ銭)ならいつでも受け付けますよ? 領主様もいかがです? 今なら俺のチャンネルの『筆頭株主』になれますよ。名前、世界中に売ってあげますから」


俺がシステム経由で領主の目の前に『投げ銭用・黄金魔法陣』をホログラムで投影した瞬間——。


レオポルド領主の顔が、見たこともないような土気色に変わった。

 権力者が最も嫌うのは、自分のコントロールできない「未知」の存在だ。


「……殺せ。この無礼者を今すぐ、跡形もなく斬り捨てろ!」


「おっと、イヴさん! 予定通りの展開、きました! 第十五話のクライマックス、逃げながら撮影ライブ継続だ!!」


「……本当にお前は、史上最低の雇用主だな! あとで給料三倍だぞ!!」


イヴが叫びながら重剣を抜き放ち、一閃。

 領主の執務室の巨大なステンドグラスをブチ抜き、俺たちは夕暮れの空へと飛び出した。


「さあ、家人们(リスナーの皆さん)! 領主の館から大脱出ミッション、スタートだ! 高評価とチャンネル登録、今のうちに頼むぜ!!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


借金返済の次は、領主との真っ向勝負。

 森森センセンの図太さ、もはや魔王級を通り越して「無敵の社畜」といったところでしょうか。

 レオポルド領主も、まさか自分の権威が「投げ銭のネタ」にされるとは思っていなかったでしょうね。


今回登場した**『4Kドローンの緊急回避』**。

 実はこれも、視聴者の皆さんのポイントが貯まったおかげで解放された機能の一つです。皆さんの応援が、物理的に森森の命を救っています!


さて、窓を突き破って飛び出した二人。

 ここからは**迷宮都市エリュシオンを舞台にした、前代未聞の『全城中継チェイス』**が始まります!

 騎士団の追っ手をどう振り切るのか、そして森森の植物魔法が街中でどう暴発するのか……。


来週はいよいよ、怒涛の第50話までの連続更新期間に突入します!

 この勢いのまま、物語は誰も予想できない方向へ加速していきます。


「スカッとした!」「続きが気になる!」という方は、ぜひ評価(★★★★★)とブックマークで森森にさらなるエネルギーを分けてあげてください!


それでは、次回の第十六話でお会いしましょう!

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