第12話:巻物の正体――『植物の王』か、それとも破滅の門か?
ついに森森センセンが覚醒……!?
ただのヘタレ雑用係が、銀の宝箱から手に入れたのは『金』以上の何かでした。
イヴの絶体絶命のピンチに、彼が選んだ答えとは。
※今回、文字数増量で熱量高めにお届けします!
「……クソッ、戻るぞ! あのバカ女、一人で格好つけさせられるかよ!」
森森は森の出口、光が射し込む境界線で急停止した。手には銀の宝箱から出たあの『古い巻物』が握られている。システム画面には【換金可能アイテム:30金貨】という甘い誘惑の文字が点滅していた。これを持ち逃げすれば、借金は消え、自由の身になれる。
だが、背後から響くのは、大地を割るような重音と、イヴの鋭い気合の叫びだ。
【1.8mのメッシ:おい、何止まってんだ!? 早く逃げろって! 主播、お前の命は3枚の銅貨より軽いんだぞ!】
【隣の王さん:戻ったら確実に死ぬ! 番人のパワー、さっきのドローン映像で見たろ。ビルが歩いてるようなもんだ!】
【課金王:行け、森森! 戻るならさらにロケット20基追加だ! ただし、生きて戻れたらの話だがな!!】
【システム通知:視聴者数がさらに増加。コメントの流速が150%アップしました】
「うるせえ! 30金貨のために相棒を売ったら、俺は一生『ただの雑用係』のままだろ! それに……」
森森は画面を睨みつけ、叫んだ。
「……イヴさんに死なれたら、俺を護衛してくれる奴がいなくなるんだよ! そっちの方が死活問題なんだ!」
森森は巻物を乱暴に引きちぎるようにして開いた。その瞬間、彼の視界が白銀の世界に染まる。
(……王よ。……我らの王よ……)
それはブルーベルのような小さな花の声ではなかった。森全体の、数千年の記憶を持つ大樹の根たちが、地底深くで共鳴する荘厳な合唱だった。
【システム通知:潜在スキル『植物の共鳴』が完全覚醒。……周辺マナを燃料とし、周辺1キロ以内の全植物の制御権を獲得しました】
「……これだ。これなら……!」
森の中央では、イヴが絶体絶命の淵に立たされていた。彼女の影を纏った重剣は、番人の圧倒的な質量の前では細い針に等しい。番人の巨大な拳が、彼女を消し飛ばそうと振り下ろされる。
「伊芙姐、伏せろぉぉぉ!! 地面に這いつくばってろ!!」
森森の声が森を裂いた。彼は巻物を地面に叩きつけ、ありったけのエネルギーを注ぎ込んだ。
ドゴォォォォォン!!
番人が振り上げた巨腕を、無数の『茨の鎖』が地面から爆発的に飛び出して拘束した。それだけではない。森中の樹木が意思を持ったように不気味にうねり、番人の体を取り込み始めたのだ。数百年動かなかった巨木たちが、森森の意思に従い、巨大な檻へと変貌していく。
「……なっ!? 何をした、森森!」
黒い霧を纏ったイヴが、驚愕の表情で振り返る。彼女の目の前で、山のような番人が、無数の蔦と枝によって地面に縫い付けられていた。
「……『植物の王』、だそうです。……いや、ただの『配信者の意地』ですよ」
森森の瞳は、普段のヘラヘラしたものではなく、静かな、それでいて底知れない緑色の光を宿していた。
【物理の張先生:信じられん……森林全体のエネルギーを一つの点に集中させている。これは魔法の域を超えた、生態系の支配だ】
【JKだけど魔法使い:かっこいい……初めて、この配信者が本当のヒーローに見えた】
【システム通知:投げ銭エネルギーが限界突破。レベルアップ! 配信画質が4Kに向上しました】
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
森森は膝から崩れ落ちた。巻物は灰となって消えたが、彼の脳内にはまだ森の鼓動が響いている。30金貨の価値があった巻物は消えた。借金返済の手段は、今この瞬間に灰になったのだ。
「……借金、返せませんでしたね。イヴさん。せっかくの金だったのに」
「……バカか、お前は」
イヴは重剣を鞘に収め、泥だらけの顔で苦笑いした。彼女は森森に歩み寄り、乱暴にその頭を撫でた。
「……だが、お前が今見せた力……。ギルドも、領主も放っておかないぞ。30金貨どころか、国一つが動くレベルだ」
イヴの目は、もはや森森を「打菜の雑用係」とは見ていなかった。
「……覚悟しておけ。これからが、本当の『修羅場』だぞ。……それと、そのドローンを止めろ。私の顔が赤いのが映るだろ」
森森はへらっと笑い、カメラに向かってピースサインを作った。
「家ーい! 水友の皆さん! 借金は増えたけど、俺、レベルアップしたみたいです! 第十三章『回城と社会的な死』、乞うご期待!」
巻物を使い切ってしまった森森。
金は手に入らなかったけれど、彼はもっと恐ろしい『力』を手に入れてしまいました。
31人の戦友たち、見ていてください。ここからが本当の逆襲劇です!
面白いと思ったら、ぜひ評価とブックマークを! 筆者が森森のように滑跪して喜びます!




