――帝都騒乱
帝国の都市は、朝の光に照らされて穏やかに見えた。しかし、その平穏は長くは続かなかった。街の外れで、遠くから異様な気配が漂ってくる。煙と叫び声。僕たち《希望の光》は直感的に、ただ事ではないことを感じ取った。
「何か起きてる……?」
リディアが眉をひそめる。
「普通じゃないわね。街の方からの騒ぎ……」
「警戒を強めよう」
僕は剣を握り、光の祝福を弱く展開した。
「副作用が出る前に、距離を確保して状況を確認する」
僕たちは街の中心へ駆ける。道行く人々は驚きと恐怖でざわめき、石畳に足早に駆ける影が交錯する。小さな市場では、荷物を抱えた商人や買い物客が慌てて逃げ惑う。
「こ、この騒ぎ……どういうこと?」
セレナが後ろから声を上げる。
「街道沿いで、暴徒が暴れ出したらしい」
剣火が眉をひそめながら答えた。
「帝国内でも、こういう小さな反乱や不穏な動きはあるんだ」
遠くに、王国の紋章を掲げた使者と、教会の服をまとった者たちが現れた。街の人々は距離を置き、僕たちに警戒の視線を向ける。
「……帝国内で、王国や教会の使者まで動いてるのか」
僕は息を整え、仲間たちに目を向けた。
「彼らは……僕たちに直接関わってくる可能性がある」
その時、使者の一人が前に出て、声を張り上げる。
「男の聖女! 貴様らの行動は帝国内で監視されている! 王国の命により、行動は制限される!」
「監視……制限?」
リディアが目を丸くする。
「ここまで直接的に介入してくるとは……」
使者の言葉に、街の空気が一層緊張する。人々は僕たちの存在を恐れ、ある者は羨望の目で見つめ、またある者は警戒を隠さない。
「こういう状況でも、任務は遂行できるのか」
僕は剣先を軽く揺らし、光の祝福を周囲に広げた。
「慎重に行動しつつ、街や人々に危害が及ばないようにしよう」
「でも、圧力が強すぎると、訓練や副作用の確認も難しくなるわ」
リディアは資料を抱え、考え込む。
「帝国内での行動範囲が狭められるのは痛手ね」
僕は深呼吸をし、仲間たちに声をかける。
「ならば、情報を整理し、次の作戦を立てる。安全を確保しつつ、僕たちの力を最大限に活かすために」
宿に戻り、仲間たちと作戦会議を開いた。地図を広げ、街の警備状況や王国・教会の動向を確認する。
「街の人々やギルドから得られる情報は、帝国内での行動に直結する」
剣火が指をさしながら言う。
「慎重に、でも確実に行動する必要があるね」
「副作用もあるから、僕の光の出力を調整しつつ、剣姫たちと連携して守りを固める」
僕は仲間の顔を順に見渡す。
「今回の事件で得た経験は、次に必ず活かせる」
「王国や教会の監視は、まだ続くのね……」
リディアが小さく息をつく。
「でも、仲間と一緒なら、どんな圧力にも立ち向かえるわ」
セレナとアリシアも静かにうなずき、皆の顔に決意の光が差す。帝国内での平穏は、長く続かないかもしれない。しかし僕たちは、慎重に、確実に、力を蓄え、信頼を積み上げる。
「明日からも、街での任務と訓練を続けよう」
僕は声を張り上げ、仲間たちの士気を高める。
「帝国内での行動範囲を広げ、副作用を克服し、信頼を得る。これが僕たち《希望の光》の使命だ」
窓の外には、帝国の街灯が一つずつ灯り始める。平穏そうに見える街の影には、王国・教会の視線が潜む。だが、僕たちは知っている――慎重に、確実に行動すれば、帝国内でも力を伸ばせる。そしていつか、来る大きな戦いに備えられるのだ。




