表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの、僕男ですが、何故か聖女スキルを獲得して剣姫達と魔王を倒す旅に出ます。  作者: 三科異邦
第一章 聖女(男)になりました。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/45

――聖女の副作用は、心を揺らす

異変に最初に気づいたのは、僕だった。


朝、目を覚ますと、胸の奥が妙にざわついていた。

魔力が満ちている――というより、溢れている感覚。


「……昨日、使いすぎたか?」


二人同時の全体強化。

あれは確かに、限界に近い出力だった。


宿の食堂に降りると、すでに二人は来ていた。


「おはよう、テイル」


セレナがいつも通り艶やかに手を振る。

だが――。


「……?」


視線が、やけに熱い。


「な、なにか顔についてます?」


「え? あ、ううん、なんでもないわ」


そう言いながら、彼女は視線を逸らす。

……珍しい。


アリシアも様子がおかしかった。

無言で紅茶を飲んでいるが、耳がわずかに赤い。


「アリシア、大丈夫?」


「……問題ない」


即答だが、目が合わない。


この空気、なんだ?



街道を進む途中、小規模な魔物の群れに遭遇した。


「支援を」


アリシアの合図で、僕はスキルを展開する。


《祝福付与》《感覚同調・弱》


その瞬間――。


「……っ!」


セレナが、びくりと身体を震わせた。


「せ、セレナ?」


「な、なにこれ……!」


彼女は剣を握ったまま、呼吸を乱す。


「身体が熱い……鼓動が、早……」


アリシアも同様だった。


「……集中しろ」


そう言いながらも、彼女の剣筋がわずかに乱れる。


「アリシア?」


「……問題、ない……はず、だ……」


魔物を斬り伏せた直後、二人は同時に距離を取った。


「……テイル」


セレナが、珍しく真剣な声で呼ぶ。


「あなた、今……なにをした?」


「え? いつも通り、強化と……感覚同調を少し」


沈黙。


アリシアが深く息を吐いた。


「……どうやら、聖女スキルの副作用だ」


「副作用?」


「聖女の祝福は、身体能力だけでなく――感情と高揚感も増幅する」


セレナが苦笑する。


「つまり……戦闘向きの“昂ぶり”が、変な方向に……ね」


彼女はちらりと僕を見る。

一瞬、視線が絡んだだけなのに――。


「……っ」


セレナの肩が跳ねた。


「ちょ、ちょっと! 今、目合ったでしょ!」


「え、はい……?」


「ダメ、近づかないで……近いと、その……」


言葉を濁すセレナ。

顔が、明らかに赤い。


アリシアも同じだった。

こちらを見ないようにしながら、低い声で言う。


「……テイル。しばらく、私たちに触れるな」


「触れてません!」


「視線もだ」


理不尽!


「……あなたの祝福下では、心拍数、感覚、感情……すべてが鋭敏になる」


アリシアは淡々と説明するが、耳まで真っ赤だ。


「戦闘中なら問題ない。

だが、平時では――」


「危険ね」


セレナが続ける。


「いろんな意味で」


二人の視線が、同時に僕に向く。


「……」


「……」


「……あの」


「しばらく、距離を保とう」


「賛成」


即決だった。


その日の野営。

焚き火を挟んで、妙に距離を取る三人。


「……ごめん」


僕が言うと、セレナは首を振った。


「謝ることじゃないわ。

むしろ……」


一瞬、言葉を切ってから。


「あなたの力が、それだけ“強い”ってこと」


アリシアも頷く。


「制御法を見つける必要がある。

このままでは、任務に支障が出る」


……剣姫が、聖女の副作用で動揺する世界。


「……とりあえず、感覚同調は封印します」


「それがいいわね」


「……賢明だ」


だが。


焚き火越しに視線が合うたび、

二人がわずかに身じろぎするのを、僕は見逃さなかった。


男の聖女。

その力は、剣だけでなく――心まで震わせる。


そしてこの副作用が、

後にさらに大きな波乱を呼ぶことになるのだった

お読みいただきありがとうございます。

読んで面白いと思った方は是非評価のほどよろしくお願いします。

励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ