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あの、僕男ですが、何故か聖女スキルを獲得して剣姫達と魔王を倒す旅に出ます。  作者: 三科異邦
第二章 帝国編

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――幕間、帝国領内、男の聖女捕獲命令

帝国領内、ヴァルハイム郊外――

街道や森を巡回する僕たち《希望の光》の存在は、

遠く、魔王軍の城にも届いていた。


玉座室。

高い天井と静謐な空気、整然と並ぶ魔導装置と書架。

魔王、アル=レグナスは書簡に目を落としている。


「……男の聖女か」

低く響く声。

帝国領内で確認された、僕の行動報告だ。


報告官が一歩前に出る。

「陛下、男の聖女が帝国領内に現れました。

剣姫二名と共に行動している模様です」


アル=レグナスは静かに目を閉じる。

「“例外”が来たか」


魔王軍幹部たちは、息をひそめ静観する。

この事態の意味を、全員が理解していたからだ。


「教会は?」

冷静に尋ねるアル=レグナス。


「勇者を放った以降動きはありません」


魔王は、指先で書簡の端を軽く押す。

「……教会は、消すつもりだな」

「はい」


しかし即座に首を振る。

「いいや。まだ、排除は早い。

彼は誰かを導くために生まれた器だ」


報告官の手元に、静かに命令が伝えられる。

「幹部たちには命じる。

男の聖女――テイル・カトレアは排除せず、

影より監視、必要なら保護せよ。

干渉は最小限、教会より先に手を出すな」


幹部たちは頷き、沈黙のまま下がる。

王の意思の重さを、全員が理解していた。


「副作用の顕在、前線での戦闘能力……興味深い」

アル=レグナスは書簡を置き、遠く帝国の街道を見つめる。

「成長すれば、我が軍にとって利用価値があるだろう」


窓の外、街や森が広がる帝国領内。

魔王軍はまだ直接動かない。

だが、幹部たちが影から監視を開始することで、

僕たちの行動にはすでに目が向けられている――


その一歩は、知らぬうちに暗い未来の布石となっていた。

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