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あの、僕男ですが、何故か聖女スキルを獲得して剣姫達と魔王を倒す旅に出ます。  作者: 三科異邦
第二章 帝国編

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――初めてのクエスト

帝国ヴァルハイム冒険者ギルド。

登録を終えた僕たち《希望の光》は、初めての依頼票を手にしていた。


「周辺森域の護衛か……」

剣火が小声で呟く。

「初回にはちょうどいいな」


リディアが頷く。

「怪我人も出ないだろうし、戦力確認には十分ね」


僕は地図に視線を落としながら、自分に言い聞かせる。

(今回は……僕が前に立つ番だ。副作用も抑えないと)


副作用――

僕の聖女スキルは強力だ。

でも光の力が剣姫たちの感情に影響を与える。

前回は密着訓練で少し抑えられたけど、実戦でどうなるかはわからない。


「……大丈夫、集中」

僕は深く息を吸った。



森の入り口。

木漏れ日が足元に影を落とす。

鳥のさえずりが聞こえる。

この穏やかな空気に油断はできない――と思った瞬間、低い唸り声が響いた。


中型の狼型魔獣が、木々の間から飛び出してきた。


「戦闘開始!」

剣火とリディアが前に出る。

アリシアも両側を固める。


僕は一歩前に出て、剣を抜いた。

(支援だけじゃない。今回は僕も戦うんだ)


まずはスキルの光を最小限に展開し、回復と強化の祝福を味方に送る。

同時に、剣を握る手に力を込める。


狼が剣火の背後に回り込む――その瞬間、僕は光の出力を微調整し、剣姫たちの動きに合わせて攻撃をサポート。

そして、僕自身も剣を振るった。


「――っ!」

狼の牙が迫る。

僕は咄嗟に斬り払う。

剣先が正確に命中し、狼は押し返される。


「僕……やれるかもしれない」

心臓が高鳴る。

支援だけじゃない、自分の力で前に立てる感覚――

それは初めて味わう手応えだった。



戦闘中、光の力で剣姫たちが反応を過剰に示しかけた。

剣火の動きが少し荒くなる。

アリシアの呼吸も速くなる。


(落ち着け、僕……意識を集中)

僕は副作用を抑えるため、光を出す対象ではなく、相手の動きと呼吸に注意を向けた。


すると剣姫たちは、自然に落ち着きを取り戻す。

初めて、自分の意思で副作用を制御できた瞬間だった。


「……前より安定してる」

リディアが小声で言う。

「まだ完璧じゃない。でも、確かに成長してる」


僕は剣を握り直す。

(守られるだけの聖女じゃない。前に立つ力も、支える力も、僕の手でコントロールできる……)



戦闘後、森の出口で僕たちは立ち止まった。

息を整える僕に、リディアが微笑む。


「これからが本番よ。

君が戦えるって分かれば、私たちも動きやすい」


「うん……僕、もっと強くなる」

僕は拳を握り、仲間を見回す。

「支援も、剣も。全部、自分の意思で使えるように」


小さくても確かな光――

《希望の光》は、確実に前に進み始めた。


夕暮れの空に、僕たちの旗が静かに揺れる。

僕は初めて、聖女として、そして戦う者としての実感を胸に刻んだ。

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