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あの、僕男ですが、何故か聖女スキルを獲得して剣姫達と魔王を倒す旅に出ます。  作者: 三科異邦
第二章 帝国編

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――希望の光

帝国都市ヴァルハイム。

整然とした石畳と、高く伸びる建物群。


人の往来は多いが、

王国の首都よりもどこか実務的で、落ち着いている。


武器を持つ者も多いが、

威圧感はない。


――ここは、力を“管理する街”だ。


テイルは、

通りの中央で立ち止まった。


(……この街なら)


「顔、ちょっと楽になった?」


隣を歩くリディアが言う。


「うん……少し」


「帝国はね、

感情で聖女を扱わない」


「良くも悪くも、

“役割”として見る」


その言葉に、

テイルは頷いた。



通りの先に見えたのは、

大きな建物。


掲げられた看板には、

金色の紋章。


《冒険者ギルド・ヴァルハイム支部》


中に入ると、

明るい空間が広がっていた。


掲示板には依頼書。

受付のカウンターは整然。


冒険者同士の会話も、

どこか事務的で落ち着いている。


「思ってたより、

普通だね」


アリシアが小声で言う。


「王国の噂だと、

もっと荒れてるって聞いたけど」


「帝国は規律重視だから」


セレナが答えた。


「問題を起こした冒険者は、

即資格停止」


「だから、

自然と空気も落ち着くの」


テイルは、

少し安心した。



受付に進む。


「冒険者登録ですね。

個人ですか?

それともパーティ?」


「パーティで」


リディアが即答した。


受付嬢は、

淡々と続ける。


「では、

パーティ名をお願いします」


――沈黙。


全員が、

顔を見合わせた。


「……決めてなかった」


「今から決めよう」


アリシアが、

腕を組んで考え込む。


「剣姫が三人、

聖女が一人」


「じゃあ――

《剣と祈り》とか?」


「そのまんま過ぎる」


リディアが即却下。


セレナが、

静かに案を出す。


「《白翼》は?」


「綺麗だけど、

意味が分かりづらいかも」


「《黎明の剣》」


「聖女、

どこ行った」


アリシアが苦笑する。


「《守護者たち》は?」


「……重い」


一つ一つ、

案は出るが決め手に欠ける。


受付嬢が、

苦笑しながら言った。


「よろしければ、

“どういうパーティか”を

基準にされては?」


その言葉に、

テイルははっとした。



「……俺たち」


テイルは、

ゆっくり口を開く。


「強くなりたいけど、

最初から強いわけじゃない」


「それでも、

前に進きたい」


剣姫達が、

黙って聞いている。


「守られるだけじゃなくて、

一緒に立つ」


「それが、

俺の願い」


少し間を置いて、

リディアが言った。


「……希望、か」


「?」


「大げさじゃない」


「小さくても、

あっていい」


セレナが、

微笑んだ。


「光は、

遠くまで届く」


「剣が折れそうな時でも」


アリシアが、

指を鳴らす。


「じゃあ決まりじゃない?」


「《希望の光》」


受付嬢が、

端末に入力する。


「パーティ名、

《希望の光》で登録します」


金属音がして、

冒険者証が発行された。


テイルは、

それを受け取る。


(……ここからだ)



その日の午後。


街外れの訓練場。


整備された地面。

安全結界付き。


帝国らしく、

合理的だ。


「じゃ、

始めるわよ」


リディアが剣を抜く。


「今日の目的は一つ」


「聖女が、

“前に立つ”練習」


テイルは、

深く息を吸った。


「……お願いします」


剣姫達は、

容赦しない。


だが、

決して置いていかない。


倒れても、

手は伸ばされる。


声は、

常に届く距離。


夕暮れ時。


テイルは、

息を切らしながら立っていた。


震える足。

だが、逃げない。


「……まだやれる」


その姿を見て、

リディアは小さく笑った。


「ええ」


「それでいい」


小さな光。

だが、確かにそこにある。


希望の光。


それが、

このパーティの始まりだった。

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