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占えない日の夜

作者: 空詩
掲載日:2026/01/09

予約票を確認する。今日はなんだか頭が重い。

「今日、占えないかもしれません」予約のお客様に電話で伝えた。

「体調よろしくないんですか?」

「いえ、そういうわけではなくて…すみません」


今日の空はなんだかどんよりしている。占い師になって7年。こんな日があるのは今日が初めてだ。言葉が頭の中でうまく形にならなかった。


「分かりました。また再度予約します」


電話を切り私は一点を見つめていた。

気がつくと時刻はもう夕方になっていた。そして一通のメールが届いた。

「予約してないのですが今から伺ってもいいですか。とても緊急なんです」


メールの文字だけでとても焦っているのはつたわった。今日の私は断るべきだ。

だか指が勝手に「お待ちしております」と打っていた。なんとかなる。大丈夫と自分を信じていた。


30分後女性は勢いより駆け込んできた。

「はあ、はあ、はあ。先程メールしたものです…」

彼女は息を切らしながら言葉を発する。


「実は明日大事な手術を受ける日なんです」

「だけどすごく怖くて不安でどうにかなりそうで」


焦っている彼女を私は椅子に座らせた。

手がとても冷えている。


私は目の前にタロットカードを広げるが引けない。手が動かない。

今日の私はやはり占えない。


「あの…」彼女の目は怯えてた。

私は気づいた。今の彼女が知りたいのは、成功か失敗かじゃない。


「手、見させてください」

私は彼女の手を両手で包んだ。そして伝えた。

「手術安心して受けて大丈夫ですよ」

この言葉に確信はない。

「本当ですか?」

「本当です」

彼女の瞳には涙でいっぱいだった。

そして何度も頭を下げて帰って行った。


1週間後彼女からメールが届いた。

「手術無事成功しました。伺ったあの日、先生が握ってくれた手。今でも覚えています。先生のおかげで頑張ることが出来ました」


このメールを読みながら、私は考えた。占いとは、何なのだろう。手相を読むこと?星を読むこと?カードを引くこと?それは全て正しい答え。

だけど私が強く思うのは、誰かを信じることなのかもしれない。


連日の曇り空から一変し今日の空はとても明るい。雲が晴れ、久しぶりに星の気配を感じる空だった。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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