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かくてレンドン少年は、雪の降る街をゆく

作者: 床擦れ
掲載日:2025/12/14

 ベッドの温もり。

 自分の瞼の重さに任せて毛布の中に包まった。

「アンドリュー」

 ドアの向こうから母の声がする。

 少年はうんざりと起き上がる。

 外出用のコートを羽織った。戸を開けて階段を降る。

 テーブルの上。コーヒー。トースト。

 かじったトーストはコーヒーで溶かした。

「十四なのにまだそんななの」

 母の小言が耳をつねった。

 父は座って新聞を読む。聞こえていないふりなのだろう。

「新聞屋さん。行ってきなさい」

 母が言った。少年はドアを乱暴に開けた。

 寒い。小雨が降っている。

 小雨の音が耳へと入る。

 厚く織られたフェルトのコートに雨が少し浸み込んだ。

 身を丸くして小走りをする。

 街の角。ぼろい壁。

 少年はそこで新聞の束を二個受け取った。

 走り始めた。信号を待った。青になった。歩き始めた。

 信号の向こうの二つ目の家。

 ちょうどよくレトリバーを引き連れて独身の老人が出てくるはずだ。

 ドアが開きベルが鳴る。

「おお少年。一部おくれ」

 脇から新聞を手渡した。

「今日は寒いぞ。風邪をひくなよ」

 老人が言った言葉を背にして少年は立ち去った。

 端から端へ投函をする。新聞の束が軽くなる。

 右を向いた。公園がある。

 木は毛筆で芝生はハケだと少年の目には映っていた。

 半マイルほどを仕事で歩いた。目指す先は毎日同じ。

”ウォルター通り 14番”

 5号の家が最後のポスト。新聞を持ち投函をした。

──家に帰ろう

 そう思い立ち振り返る。

 ふと雨音がないことを少年の耳が感じ取った。

 空を見た。厚い雲。

 鼻先がちょっと冷たくなった。

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― 新着の感想 ―
 朝の支度などで小言を言われはするものの、虐待などを受けることなく生活させてくれる家族に、雨から雪に天候が変わるほどの寒波の中で体を気遣うような声かけをしてくれる街の人との交流の機会にも恵まれながらの…
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