ルーキー
最終エピソード掲載日:2025/12/06
プロ入り後、期待を裏切るように堕落していった三井。
夜の街でチヤホヤされ、自覚のないまま才能を磨く姿勢を失い、二軍暮らしが当たり前になっていく。そんな彼の心のどこかには、いつも“ある人物”が引っかかっていた。
――高校時代、ともに甲子園を戦った相棒・熊野。
一方の熊野は、才能で勝負できるタイプではなかった。球速も体格も平凡。だが工場勤務と両立しながら、一球一球に全てを懸けるように社会人野球で投げ続けていた。
彼にとって三井は、特別な存在だった。自分より先にプロへ進み、大観衆の中で輝く姿を誇りにさえ思っていた。
そんなふたりの距離が大きく変わるのは、三井がどん底に沈んだときだった。
過去の栄光だけで生きてきた三井は、自分の腐りきった姿を見つめ直すため、ふと熊野の所属する東亜製鉄四日市を訪れる。そこで目にしたのは、華やかさとは無縁の、泥臭くて、汗にまみれた野球の現場。
そして、あの日のままの姿勢で野球と向き合う熊野だった。
三井はショックを受ける。
「俺は、こいつから逃げていただけなんじゃないか」
そして、あることをきっかけに三井はゼロからやり直す決意を固める。
熊野の前で、そして自分自身の前で、もう一度“ルーキー”として立つために。
だがふたりには、それぞれ別の現実が立ちふさがる。
三井にはプロとしての厳しい生存競争が、熊野には年齢と社会人選手というハンデがある。
同じ夢を追う者でありながら、同じ場所には立てないかもしれない。
それでもふたりは進む。
交わした約束を胸に、互いの背中を追いながら。
(nola・カクヨムにも投稿済み)
夜の街でチヤホヤされ、自覚のないまま才能を磨く姿勢を失い、二軍暮らしが当たり前になっていく。そんな彼の心のどこかには、いつも“ある人物”が引っかかっていた。
――高校時代、ともに甲子園を戦った相棒・熊野。
一方の熊野は、才能で勝負できるタイプではなかった。球速も体格も平凡。だが工場勤務と両立しながら、一球一球に全てを懸けるように社会人野球で投げ続けていた。
彼にとって三井は、特別な存在だった。自分より先にプロへ進み、大観衆の中で輝く姿を誇りにさえ思っていた。
そんなふたりの距離が大きく変わるのは、三井がどん底に沈んだときだった。
過去の栄光だけで生きてきた三井は、自分の腐りきった姿を見つめ直すため、ふと熊野の所属する東亜製鉄四日市を訪れる。そこで目にしたのは、華やかさとは無縁の、泥臭くて、汗にまみれた野球の現場。
そして、あの日のままの姿勢で野球と向き合う熊野だった。
三井はショックを受ける。
「俺は、こいつから逃げていただけなんじゃないか」
そして、あることをきっかけに三井はゼロからやり直す決意を固める。
熊野の前で、そして自分自身の前で、もう一度“ルーキー”として立つために。
だがふたりには、それぞれ別の現実が立ちふさがる。
三井にはプロとしての厳しい生存競争が、熊野には年齢と社会人選手というハンデがある。
同じ夢を追う者でありながら、同じ場所には立てないかもしれない。
それでもふたりは進む。
交わした約束を胸に、互いの背中を追いながら。
(nola・カクヨムにも投稿済み)