第1話
俺の名前は一色龍馬。高校一年生。
小さい頃からパズルが好きで、さまざまな種類のものを遊んでいた。なかでも、ここ数年ハマっているのが詰将棋だ。きっかけは単純で「難しいパズル」を探していたからだ。調べてみると、1000手を超えるような問題もあるらしく、「かなり奥が深そうだし、少しやってみよう」と始めてみたら、思ったより、かなり面白かった。短手数でも歯応えのある問題も多く、解いていると時間を忘れる。そんなわけで、俺は毎日、黙々と詰将棋を解いている。今解いているのは30手を超えるものが多く、なかなか平和に集中できていいものだ。しかし、将棋自体は、詰将棋を解くために覚えた最低限のルール程度しか知らない……。のだが……、
なんでこんなことを今更考えているのかというと、なんと驚くことに突然話しかけられたのだ。その人はクラスメイトの向香織だ。明るくて、行動力があり、なんというかとても派手な印象を受ける子だ。しかし、彼女は、こう言っていた。
「ねぇ、君!将棋好きなの?良ければ、一緒に指さない?なんなら、部活とか作らない?」
「将棋好きなの?」って……?
なぜ俺が将棋好きだと思われているんだ……?って、そりゃ、毎日、詰将棋の本を見てたら、そう思われても不思議ではないのか?今の時代だと、頭の回転が求められるロジックパズルの早解きの方が流行っているから、それに近い詰将棋だけ解いていても不思議じゃないはずだが……?
というのも、人工知能が発達した現代、プロの世界じゃ、どれだけ広く深く研究して、どれだけ暗記をするかにかかっているらしい。まぁ、そうなるってチラッと見ただけで、アマにはそれほど関係ない話らしいが。詰将棋を解くためにルールを覚えたが、普通の将棋に関して、興味はない。最終的に、研究と暗記の勝負になるなら、俺の求めている領域ではない。ただ、難しいパズルが解きたいだけなのだから。
そんななか指そうって誘われるって……、予想外にも程があるんだが……。しかも、結構むずいの解いているから、俺のこと将棋強いって思われてないかこれ……?
そんなことを考えている間に、彼女は、集中していて気づいていないものだと思ったらしく、メモだけを置いて、嵐のように去っていったが、これどうしよう……。
その後、授業中にそのメモの内容を確認したが、連絡先と「一緒に将棋しようね!」と、書かれているのを見て、この先どうするか、気が気でなかった。
それから、数日が経過していたが、その間も度々、香織に話しかけられたり、静かに俺の見ている詰将棋の本を覗き込んだりして近づこうとしてきた。しかし、俺は、最初の時と同様に、集中しているフリをして、気づいていない風を装っていた。
1週間が経ち、登校時、いつも通りではあるが、5分前と少しギリギリなので、周りもそう気にしていなかったのだが、誰かに挨拶された気がする……?まぁ、急いでいるし、仕方ないかと、その日はそれから特に何もなく終わった。
翌日、教室に入ったのは3分前くらいであった。自分の席に向かうと、なんと、そこに、香織がいるではないか……。びっくりして固まってしまったが、このとき俺は知らなかった、これが、俺の静かな日常が終わる合図だったなんて……。
長編として投稿予定ですが、ストックが少ないため、途中ですが、先にお届けします。更新は不定期ですので、気長にお付き合いください。




