08.そのサプライズ、正直迷惑です。(牧野咲)
さあ、すべてのオーディションが終わった。
あとは誰をどの役に振り分けるかのみ。
毎年この判断は部長にほぼ任せている。
今日はその結果を発表される日なのだが……
一向に部長は来ない。
その時、スマホがピコンと鳴った。
「ん?」
スマホを見ると、部長からだった。
『ごめん、風邪ひいた!
結果だけ教えるね!南加瀬梨々花役、月宮梨瑞夢。山崎ここ役、白葉野々花。そして瀬戸美紀役は……あなただよ、牧野!』
はあああああ!?!?!?!?!?
私は思わず顔をしかめた。
迷惑にも程がある。
これではオーディションをした意味がない。
それに、佐藤明澄香さんにはどうやって伝えるんだ!!
しかも、私はあくまでマネージャーのような存在だ。
別に舞台に立つことを目的とはしていない。
「新任とはいえ、ほんっと自分勝手なやつだな……」
私は愚痴をこぼした。
そして、部長にこう送った。
『却下です。そういうことされるとほんとに困ります。やめてください。なんなら私はマネージャーです。あなたを追い出すことなど簡単なことですよ?ほんとに迷惑なんで、やめてください。』
そう打って私は送信ボタンを押した。
ただ、それだけでは気が済まなかった。
もう一度、私は字を打った。
『そのサプライズ、正直迷惑です。』
おーっと、部長作戦失敗!意外に咲ちゃんはしっかり者だったようですね……
ここまで読んでいただきありがとうございます!
それでは!