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 この階層には角ウサギしか出て来ないのだがそいつらを相手にパワーアップした金属バットを試してみる。

 すると問題なく角ウサギも一撃で倒せた。


 しかし決して油断はしない。

 何故なら角ウサギとスライムは明確に危険度が違うからだ。

 スライムの攻撃は体当たりだ、当たれば普通に痛いが余程当たり所が悪くなければ病院送りになることはない。


 しかし角ウサギは額の一本角でブッサそうと突撃してくる、防具がない探索者なら何処に当たっても大怪我確定の攻撃だ。


 何しろ向こうは殺しに来てるんだから当たり前と言えば当たり前なんだけどな。

 だからこそソロ探索者の俺は油断なく角ウサギに向かって金属バットを振りかぶる。


「おおっるぁあああーーーーーっ!」


「ピギュッ!?」


 角ウサギは吹っ飛んで森の木にぶち当たると消滅した、後にはスライムの核石と大差ない大きさの物が地面に落ちる。


 ちなみにスライムの核石は水色の結晶だが角ウサギのは赤色だ。

 その赤色は角ウサギのつぶらな赤い瞳を思い起こさせる。

 可愛くても探索者を殺しにくるモンスターなので今後も躊躇なく核石に変えて俺の小遣いにしていく所存だ。


 そんな事を考えながら更に角ウサギを倒す。

 するとまたレベルアップした。


 名前:明道ワタル

 種族:人間

 職業:高校生

 レベル:2→3


 生命力:10→15

 精神力:6→9

 魔力:1→2

 筋力:10→15

 耐久:10→15

 俊敏:10→15


 スキル:【鑑定】【危険感知】


 魔力がマジで……いや、そう言う部分は見るだけ気分が落ち込むだけだ、他のステータスを見よう。

 内心、夏休みに探索者となって十日になるかどうかでレベル3というのは悪くない成長なのではと自画自賛している俺。


 自分のステータスを確認しながらニマニマしていたそんな時だ。

 そんな探索を三日間ほど繰り返しているとまたもや現れたのが。

 このダンジョンポータルである。


「………………」


 最初のダンジョンポータルで手に入れたアイテムは本物だった、あの魔法カードだけは使っていないから分からないがストレングスシールもトラベリングブーツもその効果を実感出来るレベルの代物だ。


 トラベリングブーツとか本当に疲れなくなって幾らでも歩けるかと思ったほどだ……まっ歩きすぎたら普通に疲れたが。


 とにかく、またあのダンジョンポータルの向こうに行けばまた……。


 けどっここで余計な欲を出していいのか?

 探索者としての俺の直感がそう告げる。

 二匹目のドジョウとか欲しがり出したらきりがないぞと、前回たまたま上手くいったからって調子に乗るのは危険だと。


 けど更なるアイテム、めっちゃ欲しい。

 考えてみれば俺は探索者になって十日も経っていないど素人だ、そんな俺に探索者の直感なんて備わっているものか?


 それこそ調子に乗っている考え方ではないだろうか。

 そんな感じで頭の中で屁理屈をこねくり回し、俺はダンジョンポータルを使う事にした。


 だって二匹目のドジョウが欲しいから。

 普通にここで欲望をセーブ出来る鋼の精神力なんてモブでただの高校生の俺にあるわけがないじゃないか。


 そんなのあったら練習がキツい運動部とかに入ってもっと全うな方法でカースト上位を目指してる。

 それに何より……。


 おれの頭の中にあのクズが俺を心底見下した様な汚い笑顔と声を思い出した。

 クズに見下される事ほど頭にくる事はない。

 あの時の苦虫を噛み潰した様な思いが再び俺にダンジョンポータルを使う事を選ばせた。


 俺は一刻も早く探索者として上に行く。

 必ずだ。

 そしてダンジョンポータルに乗ると再び視界が一変した。

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