4
「う~~んどうしょうかこれ……」
俺の目の前には新たなダンジョンポータルが出現していた。
どうしてこんな状況になったのか、それはあの魔法のカードとかシールとかブーツをゲットしたその日の夜頃なら説明しよう。
俺は探索者として初めて成果らしい成果を出せて有頂天だった。
ダンジョンから住んでる二階建てのアパートに帰り、自分の部屋のベッドで寝転がりながら手に入れたレアアイテムを眺めた。
まずこれらのアイテムをスマホで調べてみた。
すると全てのアイテムの詳しい効果とかもネットには載っていた。
まず魔法カードである『封印』と『契約』のカードの効果はかなり強力で一つ目の巨人サイクロプスを封印してる動画を見つけた。
銀色の光と共に封印されたサイクロプスがカードになり、そのカードにはサイクロプスの絵が描かれていた。
あのクラスのモンスターを一瞬で封印出来るとかとんでもないカードだ、一度きりとは言え強力なモンスターに襲われた時に生き残る切り札として使えるかも知れない。
なお一度封印すると解放する手段はなく、カードにしたモンスターに利用方法はないので家に飾るくらいしか使い道はないらしい。
そして『契約』の魔法が付与された魔法カードの方だが、この『契約』と言うのはモンスターと戦かったりして自分の実力を認めさせたモンスターに使う事で主従関係を結ぶことが出来るカードらしい。
契約を結ぶ事が出来ればそのモンスターはカードに入る事が出来るようになり地上でも持ち歩く事が出来て簡単なコミュニケーションくらいは取れるらしい。
その場合カードの所有者は契約したモンスターをいつでも召喚する事が出来てダンジョンでは心強い仲間となるらしいのだが。
こっちは使いこなせる自信はない。
だって俺が実力を認めさせられるモンスターとか今のところスライムくらいしかいないから、スライムを仲間にしようとは俺は思えない。
それならいざって時に『封印』の魔法カードを使えるように取っておくべきだろう。
何しろ片方を使うともう片方は消滅するらしいからな、このカードは大事に持っておこう。
そしてストレングスシールは早速金属バットに貼ってみた、振ってみた感じはスイングのスピードが上がったような気がする。
こっちは明日、ダンジョンで試してみるのが楽しみだ。
スライムたちに進化した俺の金属バットを食らわせてやる。
トラベリングブーツも明日からはいてみる、足のサイズをみてみたら完璧に合っていた……そこは普通に怖いと感じた俺だ……。
そして翌日、俺は朝早くから小ぶりなリュックサックに荷物を入れてアパートを出て行こうとした。
その前にこのアパートの管理人をしてる婆ちゃんに挨拶をしていかなければ。
婆ちゃんは俺の婆ちゃんだ、父親の母で俺が住んでるアパートの大家さんだ。
孫の俺にただ同然で部屋を貸してくれてる太っ腹な人で、俺は高校が家より近い事を理由にこのアパートに住まわせてもらっていた。
部屋から出ると婆ちゃんはホウキでゴミをはわいていた。
白髪で小柄だけど元気な婆ちゃんだ。
「おはよう婆ちゃん、俺これからまたダンジョンに行ってくるよ」
「おはようワタルちゃん、ダンジョンに行くのは良いけど怪我がないようにね」
「分かってるよ」
婆ちゃんもダンジョンが危険な所だって事は知っている、それでも俺が探索者になってダンジョンに行けてるのは婆ちゃんが両親の反対を一喝して俺の自由にさせてくれてるからだ。
本当に婆ちゃんは俺の恩人だ、頭が上がらない。
俺と婆ちゃんが仲良く話をしているとお呼びでないヤツが現れた。
「オ~イ何を仲良く話をしてんだ? オレも仲間に入れてくれよ」
現れたのは五十過ぎの少し伸びた黒髪に大分白髪が交じった薄汚い格好をした男だった。
この男の名前は金利、俺の父親の兄貴、つまり婆ちゃんの息子だ。