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えっなんか片膝ついて右手を胸にやってポーズを取っているんですけど。
しかも背中から何でか翼を生やして……え? 何で翼が白くなってんの?
あの黒い翼も洗脳されてたからってか、もう意味が分からん。
これはなんだ、俺はどうすれば良いんだ?
「とっとりあえず普通に立ちなよ、リアディーナ……さん?」
「分かった、マスター」
さっきからそのマスターってなんだよ。
「リアディーナさん、そのマスターっての辞めてくれないか? 俺が呼ばせてるとか思われたら色々アレだし」
「そうなのか?」
うん、少なくとも俺は誰かにマスターとかご主人様とか呼ばれて平然としてる人がいたら普通に引く。
なんかのプレイの一環かよって思ってドン引くわ。
「ならば我が主と呼べと?」
「その気持ち悪い仮面の持ち主と同じ呼び方もちょっと勘弁だな……普通にワタルって呼んで欲しい」
「分かった、なら私の事はさん付けも敬語も不要だ。普通にいつも通りに話してる感じにしてほしいな、そして名前か、リアディーナ……は少し長いか?」
「ならリディはどうで……どうだ?」
「リディ……悪くない、ありがとうワタル。今後はその名前を名乗る事にする」
俺の言葉に満面の笑みで笑うリアディーナ、いや……リディ。
なんつー破壊力だ、自称鋼の精神を持つ俺じゃないとヤバかったね。
もちろん彼女の話が全て嘘っぱちの可能性もある、しかしもうそんなのを言いだしたらきりが無い。
俺は無駄に面倒くさいのが嫌いだ、ならもうなるようになれって話だよ。
何よりあの笑顔はヤバ過ぎだろ。
もう別に裏切られてもいい気さえしてきた。
むっ俺の鋼の精神が一切仕事をしていない可能性が出て来たぞ?
「……えっと、流石にいつまでもここにいる訳にも行かないよな。ダンジョンポータルは破壊されちまったし……どうやってダンジョンから出るべきか」
「それなら私が代わりのものを出す事が出来るぞ、まあ今の私はあなたのサーヴァントだから、マスターであるワタルが行った階層しか無理だがね」
「……なぁリディ」
「んっどうした?」
俺はちょっと目の前の美少女のステータスとか手持ちのスキルが気になったのでそれを見せてほしいと頼んだ。
リディはなんて事ないと見せてくれた。
名前:リディ(リアディーナ)
種族:神族
職業:サーヴァント
レベル:1
生命力:103
精神力:154
魔力:355
筋力:112
耐久:100
俊敏:200
スキル:【神雨の光剣】【滅光の神罰】【天翼の加護】【ヒーリングライト】【キュアリング】【ディメンションゲート】
なんつーチートキャラだ。
ダンジョンって奥に進むとこんなのともやり合うの?
……本当に俺ら人類の探索者はダンジョンを攻略なんて出来るのだろうか。
あまりにもデタラメなステータスに俺はドン引きしていた、するとリディは一言。
「うぬ、分かっていた事だが有り得ないほどに弱体化してしまったな……すまないワタル」
「!?」
「しかもスキルまで殆ど失ってしまうとは……我ながら重ねて情けない限りだ」
「!?」
「しっしかし、ダンジョンとは戦う者が強く望む成長を可能とする場所だ。過去と全く同じ成長こそ不可能だが今後はあなたのサーヴァントとして新しい成長をしていけるという事でもあるのだから安心してほしい」
こんなステータスで何を言っとんねんこの神族さまとやらは。
てか神様だったの? 翼とか生えてたからてっきり天使、それも堕天使的な存在なのかもとは思ってたけど。
「まあ何はともあれ、先ずはダンジョンから出るんだろう? ならば…【ディメンションゲート】!」