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第7章「思い出せ」

(確か王城の方が北とか言ってたよな。まぁどうせ寝ないし、回転させるのもめんどくさいから北枕のままでいっか。)

[後は、部屋の壁を沿って角に押すだk]


(熱!火か⁉︎)

[いや、これは、『火魔法』だ。]

《大和魂、発動。敵へ反撃せよ。》

「【ふっ、後ろからの奇襲程度、もう慣れているに決まっているだろう!】」

錬金魔法で、体を治し火を消して、後ろに振り返る。

[ドアに覗き穴確認。そこから敵影確認。敵特定。]

(源元 幸一。この世界での父、だと?)

「う、うわあー!」

幸一が手に持っている銃を雑に乱射し、強の視界が途切れる。


ハハハッ、そうか。そうだな。そうなんだ。

こいつが親とは言え、それはこの世界の『源元 軍』の親だ。

ゆえに、俺、『松沢 強』とは何の関係もない赤の他人。

そうだ。そうじゃないか。

なぜ忘れていた?

・・・


《大和魂は不滅である!》

視界が戻った。


「【何度も言っただろう!我が力は怪我程度、なんともないと!】」

起き上がる。

「ばっ、バケモノだ!」

(始まりの敵から、)

幸一が階段の方へと逃げて行った。

「【さあ!】」

《大和魂、足へ集中。》

扉を大和魂で蹴破る。

「【我が力を知るが良い!】」

逃げる幸一の後ろから電気魔法を放つ。

その電撃を喰らい、幸一が倒れた。

(栄養へ、)


そして、その奥に居た勇人のM16から何発もの銃弾が放たれる。

《大和魂、拡散。》

が、着弾する直前の空中で、全て弾かれた。

「【ふっw、どうやら我が力は、和明相手でも勝てそうだと証明されたようだな!】」

勇人が驚きで硬直している所へ、リボルバーで頭を狙い、撃つ。

「【ヘッドショット!】」

(栄光の病へ、)


右の壁に沿って歩き、階段の手前で止まって、左手にリボルバーを持って階段の方へ出し、撃つ。

誰かが階段で倒れて、そのまま滑り落ちる音が聞こえた。

階段の下の方を確認すると、空が倒れていた。

「【ふっ、我に角待ちが気づかれない訳がないだろう!】」

〈下等人種に完璧な角待ちができるとでも思ったのか?〉

(女嫌いへ、)


騒ぎを聞きつけた執事達が階段下に集まっていたが、

この光景を見て、一斉に逃げ出した。

「【単純明快、遅い!】」

両手から電気魔法を放ち、枝分かれさせ、執事全員を倒した。

《大和魂、再度増幅。》

(無限へ、)


リボルバーをもう一度取り出し、幸一の頭を撃ち抜く。

「【確殺確認。】」

(そして・・・あぁ、)



電気魔法で倒れている執事達も、全員確殺を入れた。

その時、5度目のとある出来事が起きた。


(そうだ。思い出したぞ。あの瞬間を、、、この感覚を、、、)

〈ようこそ、人間不信人格。〉

【我々に加わる事を歓迎しよう。共に栄光を歩もうではないか。】

⦅もちろんだ。⦆


(歴史が繰り返された時、それはその歴史最後の瞬間だ。)

〈俺らが居る限り、2度目はない。〉

《そして、俺が俺らを保つ。大和魂は無限のエネルギーだ。》

⦅あぁ。そして、俺が外からの影響を断つ。⦆



完全に思い出した。



何の為の多重人格か



どうして人格が生まれるか。



全ては俺だったんだ。



分離することで尖らせたんだ。



もっと



もっと



もっと



『強い意志』にする為に。



〜〜〜回想〜〜〜



小学校低学年。まだ俺が俺でなかった時、

「〜〜〜て良いのかなあ。」

「きっと良いんだよ!」

ここで、奴は断定を避ける言葉『きっと』を使った。


もちろん、『良いのかな』とか言うくらいなものはアウトだ。

そして、当然ながら先生に呼び出されるということになる。

そこで、奴は動いたんだ。


「えっ、と・・・」

当時、先生に呼び出されるのはこれが初めてだったこともあり、俺は動揺していた。

そこに、

「ごめんなさい。私は、『やめようよ』って言った、のに、」

などと嘘泣きしながら、ほざきだした。

しかも、あろうことか先生はその嘘泣きに気づかずに優しく流した。

「注意したのはえらい。麻衣ちゃんは悪くないよ。」

当時の俺もそうだが、バカな先生だ。

まあ、いずれ俺も『都合の良い勘違いを誘う、嘘は言ってない戦法』で騙したりするが。


そして、当時の俺がバカだったのの1つが自分を信じていなかったことだ。

自分と相手の意見が食い違ったのなら、相手の方が正しい。

少なくとも、親相手にそれは当てはまっただろう。

だが、同級生相手に当てはまると思ったのはバカだった。

ただでさえ時間が経つにつれ、親よりも俺の方が正しい事が多くなるんだ。

やがて親でさえ信用できなくなるのに、その時の同級生を信用できる訳がないだろう。


自分を信じていないから、『自分の記憶が間違っているのかもしれない。』と考えた

(本当は注意していたけど、忘れたのかな?)

とか意味分からない事を考えていた。

それに、動揺していたからか奴に不信感を抱かなかった。

こいつの発言にも、先生に慰めれられている時に密かに見せた笑みにも。


大人達の叱りラッシュなんか既に慣れていた。

だから、それはダメージではなかった。

だが、それが終わって静かになった時に、考え直してみた。

(注意していたのを忘れていると思ったけど、覚えてるのは、麻衣ちゃんがやることを後押ししていた事。忘れているだけなら分かる。でも、逆の内容を覚えてる。無い事を覚えるのは無理。てことは?)

(それに、あの時の笑み。もしかして怒られなくてラッキーという笑み?)


(つまり、麻衣が嘘つき?何の為に?)

(怒られないようにする為に?どうやって?)

(強が悪いことにして。)

そうして気づいた。真実というものに。


悲しみなんてものは感じなかった。そんなことはどうでも良かった。

導き出された真実から出る結論は一つ。

『渡辺 麻衣は俺を攻撃した。』

湧いてくるのは、怒りと憎しみ、恨み、殺意。

(なんだ。『友達』って味方じゃないんじゃん。)

(味方じゃないってことは、敵じゃん。)


この結論が出るまで、どれだけバカだったことやら。

だが、失敗のタイミングは良かった。

小学校低学年。

まだまだ他人との関わりが必要な期間は長い。これ以降に失敗を繰り返すことはないだろう。というか、無くしたんだ。


最初は、単純に他人との関わりをなくした。

なぜか。まだ自分を信じていなかったんだ。

報復できるだけの能力が自分にはないと。

だから、鎖国することにしたんだ。


やがて、ゲームと出会い、ゲーム中毒人格が生まれた。

そのままゲームを続け、色々あって厨二人格が生まれた。

そして、栄光の病とその他もろもろの影響でふと思った。

俺は最強なんだ。なぜ奴らに復讐しない?

この意志をオリジナル人格から切り離す代わりに増幅させた。


そうして、

男尊女卑人格を作った。

大和魂人格を作った。


この時には、完全に怒りと憎しみ、恨み、殺意を思い出した。

だが、少し遅かったのかもしれない。

もう既に小学校は卒業し、奴はどこかへ消えた。

結果、犯罪を犯すようなことはなく、平穏にゲームを続けた。


簡単にまとめるとこうだ。


どうやら、平穏だった時期が長かったようだな。

この感情がかなり薄れるまで放置してしまうとは。



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