第8章「確実な反撃」
(さて、ヘッドショットしたとは言え、さっきはまだ寝ぼけていた状態と言えるからな。完全に目の覚めた今の状態でも確認くらいはしておこう。)
⦅俺を含め、6重の確認があれば、余程のことでなければ問題にならないだろう。⦆
(あぁそうだな。)
執事達のヘッドショットを確認した後、階段上の方へ行き、幸一の確認をしていると、
??(マァマァ、パァパァ)(父上、)(お母さん、、、)
(は?)
【我が思考に入り込もうとは、愚かな。】
《大和魂を持たぬ人格が、我らに勝てるとでも思っているのか。》
[久しぶりだな。数ある人格の内、邪魔な自分を消す戦争は。]
(そうだな。かつて、本能を消した時以来か。)
[ゲームをする上で邪魔になるような欲とかをいくつか目をつけて狙い撃ったな。]
(それでも三大欲求の内、食欲と睡眠欲は人間である限りある程度は残さざるを得なかったものの、ある程度は消す事ができた。)
[その成果こそが、『ゲームは栄養』だ。]
〈なるほど。どうりで俺の人格が脅かされるような現象が一切起きなかったのか。〉
(そういえば、男尊女卑人格は本能の消失とちょうど入れ違いくらいの頃に生まれたんだったな。)
[俺が生まれて、まず最初にやった事だからな。そう考えると、ずいぶん長丁場になったもんだ。]
(闇堕ち人格たるもの、血に飢えるというものかは分からないが、争いを求めているような気がする。)
【良い事だ。我が帝国に敵などない。この世に限らず、全てを我が帝国の支配下としようではないか。】
⦅信用できない他人ではなく、俺が頂点に立つ事で全てを上手く回す。⦆
(さあ、戦争の前準備として、内戦と行こうじゃないか。)
??(なんでぇ〜)(なぜこのような事に、、、)(あ、あぁ、あああぁ)
[ゲームの邪魔だ。消えろ。]
〈女のように弱く騒がしい奴らめ、俺にそんな奴らは不要だ。〉
《大和魂の足りぬ人格よ、その貧弱な精神によって朽ちろ。》
⦅消え失せろ。俺でない者よ。⦆
【ふっ、争いだ。戦争だ。我にあるは勝利のみ。】
(さあ、さっさと消えるが良い!)
そして、6つの意識によって3つの意識を押し潰し、
??(くはっ...)(こんなっ、おか、しぃ...)(う゛う゛う゛...)
消し去った。
[ゲームの安寧は保たれた。]
〈最後まで騒がしい奴らめ。〉
《大和魂こそ最強の精神だ。》
⦅他人がこんな近くにまで来るとはな。⦆
【ふっ、我が力をもってすれば、当然の結果。】
(フフフ、あぁ、愉快だな。)
[さて、一段落した所で見落としの確認をしておこう。]
(そうだな。少しの見落としが命取りとなることなんて十分起こりうる。)
【特に、ここは異世界。前世とは異なる世界だ。】
(更に、闇堕ちしたとなればな。)
[下手をすれば、世界が敵であってもおかしくない。]
【だが、我が世界程度に負けるようなこともない。】
(当然だ。例え数多の世界を股にかけようとも、ストロング帝国に負けはない。)
《まず、突如現れた人格達は跡形なく排除。》
【源元幸一は電気魔法で気絶させ、ヘッドショットで確殺。】
[平良勇人は遠距離からヘッドショット。命中確認済み。]
〈源元空は角待ちを予測撃ち。ヘッドショット確認済み。〉
⦅執事達は電気魔法で一斉に気絶させ、ヘッドショットで確殺。⦆
(ん?あの女はどうした。)
〈井上諒子、未確認。〉
(よし、ここの残りはあいつで最後だ。)
(ゲーム中毒人格、リボルバーを持って周囲警戒。厨二人格、電気魔法の用意。)
[把握]【了解】
(元々の部屋に向かうぞ。)
(声を傍受。聞き取る。)
「嫌。嫌。前世で自殺してまでした結果、手に入れた人生をやり直すチャンスをこんな所で逃すなんて、嫌。嫌。・・・」
(『前世』つまり、こいつも転生者か。)
[転生者であるなら、無理に敵対する必要もないだろう。]
⦅同じ転生者のよしみってくらいの情くらいであれば持てる。⦆
〈だが、奴は女だ。〉
【転生という壁を挟んでいる以上、前世が男の可能性も捨てきれない。】
〈そうだな。しかし、身体の影響は大きいと言うだろう、俺らには大和魂があるが、他もそうだとはあ限らない。〉
(まぁ、少しくらいは確認した方が良いだろう。殺すのはそれからだ。)
[演技なら俺がやろう。ちょうど返り血で出血しているようにも見えるし、やり慣れているからな。]
(任せた。)
ドアを開け、左足を引きずりながら部屋に入って、壁に寄りかかり、ドアを閉めてしゃがみこむ。
「[大丈、夫か?]」
「えぇ、大丈夫って、何があったの⁈」
「[分からない。襲撃されたというのは、確か。ゲホッゲホッ]」
「幸一さんとか、他の人達は?」
「[やら、れた。]」
「そんな、、、」
〈その程度で狼狽えるとは、弱いな。〉
「[まさか、前世でも殺されて、また殺されるとはな。]」
「『前世でも』って、あなたも転生者なの⁉︎」
「[君も転生者なのか。前世の親友に、似ているようには、思ってたんだよね。ただ、その親友は、『男』だったけど、]」
「なら違うわね。私は前世も女だったし、」
(よし、後は片付けるだけだな。)
【確か、我と男尊女卑人格で考えた奴があったであろう?】
〈万が一、女に転生したらの奴か?〉
【あぁ。表向きは女として、女を内部から崩壊させるって奴だ。】
⦅なるほど。こいつの脳を支配すれば、信用できる『自分』ができて、複数の事とかをやりやすくなるな。⦆
(なるほど。厨二人格、できるな?)
【我が力にかかれば容易い事。前世の栄光を取り戻した時と何ら変わらない。】
反錬金魔法で井上諒子の脳を消滅させ、錬金魔法で脳を作った。
「あーあー。問題なさそうだな。」
「[血液型等の異常も無さそうか?]」
「我が力であれば、その程度の問題が起きるわけないだろう。」
【当然だ。】
「[だが、案外ドッペルゲンガーというのも問題にならないな。]」
「当然だろう。俺らは元から複数の人格で成り立っている。ただ、人格同様に優先順位はオリジナルを優先だな。」
「(さてと。そしたら、識別用の名前を考えるか。)」
「隠れて密かに内部から女どもを崩壊させる。」
「【ならば、『ハイド』としよう。】」
「ふむ。そうだな。」