第六話 黒い悪夢①
翌日、目が覚めた俺達は早速依頼を受けていた。
薬草採取という簡単な依頼だ。
薬草をそれなりに集めて休憩している時、俺はふと気になる事があった。
俺とファルの関係ってなんだ?である。
友人ってほど仲良くはないし主従関係でもない、仲間ってのもイマイチしっくりこない。
一人で考えるのもいいが、この話題は相手からどう思われているかが大事なのでファルに聞いてみた。
「なぁ、ファル。俺達ってどう言う関係なんだ?」
「え、えぇと…どう言う意味でしょうか?」
「俺達の関係って曖昧なものだろ?だから俺達の関係はこうだ!って言うような関係を築きたいなと」
「ふむ…そうですか…なら私と契約してみますか?」
「契約…?」
「はい、契約とは二人の間で対等に行われるものなのですが、あくまでこれは二人が対等な場合です。その他はどちらかの者が優位に立つ場合です。私とガイアさんの場合は実力的にガイアさんの方が圧倒的優位なので主従関係になります」
「へぇ…そんなのがあるんだ。で契約を結ぶとどうなるんだ?」
「両者対等な場合は二人がそれぞれ同じ分だけ相手から恩恵を得られます。しかし、主従関係の場合、主は従者に自分の加護を授け、従者の能力を使えるようになります。一応両者とも与え与えられの関係なので対等とも言えますがね」
「なるほどな、で、俺達の場合は俺が優位の主従関係になるってことか。ファルはいいのか?」
「はい、問題ありません」
「そっか、なら頼む」
契約をするにはお互いの血と魔法陣が必要で俺は自分の指を切りファルが作った魔法陣に垂らした。
ファルも血を垂らし俺達の体は光に包まれ収まった頃にはファルと強く繋がった気がした。
いや、気がしたんじゃ無くて強く繋がったんだろう。
そして、俺達は主従関係となった。
その後、ギルドに戻り依頼を達成した事を報告した。
取った薬草は買い取ってもらい、銀貨5枚となった。
ギルドカードに実績が記録されるが、倒した魔物を買い取ってもらう為に冒険者は皆素材を持ってくるそうだ。
俺達はギルドを後にした。
宿に戻り食堂で夕食を食べていた時何やら不審な噂を聞いた。
最近、黒い悪夢と呼ばれる魔物がこの付近の森で暴れているらしい。
近くの村などは既に被害が出ているところもあるらしい。
噂によれば黒い悪夢と呼ばれる魔物は鬼の魔物らしく、とにかく何でも食うみたいだ。
噂が真実とは限らないが実際被害が出ているみたいだし会ってみるのも悪くないと思った。
とりあえず今日は休み、明日依頼も兼ねて森に行ってみる事にした。
☆
翌日、目覚めた俺達はゴブリン討伐ついでに黒い悪夢と呼ばれる魔物を探していた。
だが、一向に現れない。
ゴブリンは巣ごと壊滅させたので後は黒い悪夢探しに専念する。
「ガイア様、黒い悪夢とやらは見つかるのでしょうか?」
「さぁな、でもまぁ気になるし、村の方に行ってみるか」
村に向かって歩いて行くと村に近づくにつれ、血の匂いが濃くなっていった。
「これは何か起こっているな」
「そうですね、急ぎますか?」
「そうだな」
俺達は急ぎ足で村へ向かう。
村に到着した俺達は見た、黒い悪夢が村人を食っているところを。
だが、俺はなんとも思わなかった。
この体になってから日に日に俺は性格が魔物になっていた。
だからか人の死に何も感じない。
それどころか黒い悪夢にさらに興味を感じる。
村人を食い終わった鬼の魔物は俺達に標的を変え、襲いかかってきた。
俺はそれを避け、黒い悪夢を観察する。
鬼の魔物は名前の通り悪夢を見ているように苦しんで見えた。
何かしらの呪いにかけられているのだろう。
そうなったら人為的に作られた可能性が出てくる。
現時点ではそれが誰か分からず、考えるだけ無駄だ。
なのでとりあえず無力化する為に首筋めがけて蹴りをいれる。
「硬ッッ!?」
俺のステータスは全て不明だが、低い訳では無いと思う。
手加減したとはいえ、俺の一撃に耐えたのはこいつが初めてだった。
ファルも魔法をちまちま撃っているがほとんど効いていない様子だった。
そこで俺は進化した時に獲得した能力の内の一つ鑑定眼を発動する。
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レベル:???
体力:(不明)
魔力:(不明)
攻撃力:(不明)
防御力:(不明)
魔法攻撃力:(不明)
魔法防御力:(不明)
精神力:(不明)
〈称号〉
悪食
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「なるほど…分からんな」