第五話 イシュガル
街を目指して歩き始めてから数日、ようやく街が見えてきた。
「やっとだな…」
「そうですね…」
二人とも疲れ切っていた。
と言うのも慣れない事ばかりで色々とあたふたした為だった。
街の周りは城壁に囲まれており、入り口の門の前には沢山の人が並んでいた。
俺達と同じような旅人も居れば商人もおり、何より俺の目を引いたのは冒険者だった。
剣を持っていたり、杖を持っていたりといかにも冒険者らしい格好をしていた。
そして、俺達の番が来て、
「身分証明書はあるか?」
「いや、持っていない」
「そうか、なら二人で銀貨2枚だな」
俺は今、金を持っていない。
ちょいと焦っているとファルが懐から銀貨2枚を取り出し、門番に渡した。
「これは仮身分証明書だ。期限は今日一日だけだ。今日中に身分証明書を作るんだな」
「ありがとう」
無事街に入る事が出来た。
この街はイシュガルと言うらしい。
「なぁ、ファル。さっきの金はどこで手に入れたんだ?」
「あ、あれはですね…盗んだやつです…」
「…だろうな、邪竜のお前が真面目に働いてる訳ないもんなぁ」
「ご、ごめんなさい…」
「いや、もういいよ。実際そのお陰で助かったんだし」
「ありがとうございます…」
その後、俺達は街の人に冒険者ギルドへの道を聞き、ギルドに来ていた。
ギルド内に入ると目の前に受付があり、左側に酒場、右側に依頼ボードがあった。
俺達は受付に行き、冒険者登録をする。
その間、冒険者達から物凄く見られていた。
「こんにちは!ギルドは初めてですか?」
「初めてだ」
「登録ですね!では二人ともここに名前を書いてください」
「分かった」
俺はそのままガイア、ファルはファルと書いた。
「では、こちらの水晶に触れて下さい」
(この類は犯罪履歴を見られるやつだな。ファルは大丈夫なのか?)
とりあえず俺が先に触れ、何も反応が無かった。
次にファルが触れると何も反応が無かった。
「二人とも犯罪履歴はないようですね」
「これだけか?」
「はい!後は説明を…」
俺達はその後長々と説明を受けた。
冒険者ランクがあり、G〜Sまであり、Aランクからは実績のみならず試験があるみたいだ。
魔物にもランクがあり、Sまでは俺達と変わらないが、その上も存在しており、災害級、厄災級、災禍級、天災級となる。
後は依頼は複数受ける事ができるが、失敗したら罰金がある事と、長い間依頼を受けていなかったらランクが下がり最終的にはギルドカードが剥奪される。
「では、これが二人のギルドカードになります」
渡されたカードにG級ガイアと書いてあった。
後、カードに実績が勝手に記録されるらしく、討伐依頼の証明部位などは要らないようだ。
偽装もできないようなので問題はない。
この日は依頼は受けずに先に宿を見つける為にギルドを出た。
近くに三日月亭と言う宿を見つけ、そこに入った。
「いらっしゃい!」
元気のいい女の人が出迎えてくれた。
「二人だ、部屋は空いてるか?」
「空いてるよ!横の階段を上がって奥の2部屋だよ!これが鍵だ!」
「ありがとう。ここは飯も食えるのか?」
「あぁ、ここから右に行くと食堂があるよ!」
「そうか、値段は?」
「2人で銀貨5枚だ!」
「わかった」
金を払い部屋に行き、各々部屋を確認して、食堂に向かった。
「注文いいかな?」
近くにいた女の子に話しかけた。
「はい!どうされますか?」
「おススメあったらそれを2つ頼む」
「かしこまりました!」
なんとなく受付の人に似ていて、親子なんだなと思った。
そして、料理が届き、俺達はそれを軽々平らげた。
「美味しかったよ」
「はい!父に言っておきます!」
どうやら親子でやっているみたいだ。
俺達は部屋に戻り、眠りについた。