第二話 師との出会い
俺は禍々しく重々しい扉を開く。
そして中に入ると広い空間に出てその中央に一人の髪が長くて白い少女が佇んでいた。
(…へ?)
「む?スケルトンか?ダンジョンの魔物がボス部屋に入って来るなんて初めてだな…」
(な、何だ…彼女がボスなのか?)
「お前、私の言葉が分かるか?」
コクコク
俺は素直に頷いた。
「ふむ…スケルトンだから喋れないのか。なら」
『これで話せるのではないか?』
(ん!?頭に直接響いてくる)
『相手に伝えようと念じればこちらにも届くぞ』
『こ、こうか?これは魔法なのか?』
『ほう?やはり知能持ちか。これは念話と言う魔法だ。して、お前はどこから来た?』
『…分からない…です、気付いたらこのダンジョンに』
『なるほど、稀に来る転移者か…』
『な、何か知ってるんですか?』
『ん?何も知らんぞ?』
『そ、そうですか…。それより貴方は?』
『うむ、私はこのダンジョンを拠点としている魔女のクレアだ』
『あ、自分は%¥$です。あ、あれ?』
『それは前の世界の名前であってこの世界での名前では無いからだ』
『じゃ、じゃあ名無しですか…』
『ふむ、ついて来い』
『え、あ、はい』
俺は何となくこの人は信用出来そうだと判断し、大人しくついていく事にした。
そして、歩く事数分…。
目の前には立派な家が建っていた。
『おぉ〜!凄いですね、こんな所に家なんて』
『これぐらい大した事はない。それより早く中に入れ』
『し、失礼します』
家の中はごく普通だった。
玄関の先には階段があり、その奥には洗面所やお風呂場があり、左に曲がればリビングがあり、キッチンもあった。
『なんか、凄く普通ですね』
『む?それは褒めているのか?』
『も、もちろん!素晴らしいと思います!』
『…そうか。どっか適当な場所にでも座ってくれ。飯でも作る』
『分かりました』
『あ、お前飯食えるのか?』
『…分からないですね…でも折角なので頂きます!』
『そうか、じゃあ待っててくれ』
『はい!』
不思議な事にこの体、五感はちゃんとあり、キッチンからいい匂いが漂ってきた。
数分後、俺の目の前には美味しそうな料理が並んでいた。
『さぁ、召し上がれ』
『い、頂きます!』
俺は食べようと手を近づけた。
すると、目の前の料理がスッと消え、俺はなんとも言えない幸福感に包まれた。
『う、うんめぇ〜!!』
どうやらこの体近づくだけで勝手に吸収してくれるみたいだ。
その癖に食事も睡眠も必要としてないのだが。
『そうか、そうか。どんどん食べてくれ』
クレアは余程嬉しかったのか口元が緩んでいた。
俺はそんなこと気にせずあっという間に全て食べ終わってしまった。
『ふぅ〜食った食った。ご馳走様でした』
『ところでお前、どうやってボス部屋まで来た』
クレアは急に真剣な顔で聞いてきた。
『え、えっと…魔法を使って襲ってくる魔物を倒していたらあそこに辿り着きました』
『スケルトンが魔法…か…』
(…?どうしたんだろう?確かに俺以外のスケルトンは物理メインだったけど…)
『ちょっと待っててくれ』
そう言ってクレアはどこかへ行き、一冊の本を持ってすぐ帰ってきた。
『これを見てみろ』
渡された本を見てみる。
表紙には伝説の魔物と書いており、クレアに言われたページを開くと、真っ黒なスケルトンが描かれており骸の君主と書かれていた。
『俺に似ているような…』
『お前魔法を使ったといったな?どんな魔法だ?』
『この世界ではなんて言うのか分からないですけど黒魔法です』
『やはりか…お前は十中八九骸の君主で間違い無いな』
『え?俺がですか?』
『あぁ、気付いていないだろうがお前は既に骨が黒くなり始めている。恐らくレベルアップするにつれ黒くなっていくのだろう』
『えぇ…それ怖く無いですか』
『ふむ…まぁいい。ここであったのも何かの縁だ。私がお前の面倒を見てやろう!』
『どうしてそうなるんですか!?』
『なぁに、単に興味があるだけだ。ハッハッハ!』
(あぁ…ダメだこの人…)
そこから俺は魔女クレアに面倒を見てもらう事になった。
生活面はもちろん、魔法の技術なんかも教えてもらった。
黒魔法で出来ることが増え、攻撃以外にも物を収納したり、影に潜ったり、その中を移動できたりするようになった。
一応死霊魔法でスケルトンも呼び出す事も出来る様になったが、何でも禁術らしいのであまり使わないようにする。
その間レベル上げもちゃんと行っていた。
今のステータスはこんなところだ。
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レベル:100
体力:200000
魔力:9999999999999
攻撃力:50000
防御力2500000
魔法攻撃力:3000000
魔法防御力:3000000
精神力:200000
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『この調子で頑張るぞー!!!!!』
『ッ!?!?きゅ、急に叫ぶなぁぁぁぁっっっ!!!!』